BCのリスクとマナーを今一度確認して、十分な準備をしてから入山を 島崎三歩の「山岳通信」第211号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年1月29日に配信された第211号では、期間中にあった遭難事故3件すべて、バックカントリー(BC)スキー中の事故であったことから、改めてBCのリスクと安全対策を呼びかけている。

 

1月29日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第211号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 1月13日、木曽郡木祖村小鉢盛山で、バックカントリースキーのために単独で入山した50歳の男性が、滑走中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。男性は翌14日に県警ヘリで救助された。

  • 1月20日、北アルプス唐松岳・八方尾根で、バックカントリースキーのために5人パーティー入山した35歳の男性が、滑走中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

  • 1月21日、下高井郡野沢温泉村の毛無山で、19日からスキーのために野沢温泉村に訪れていた24歳の男性が、帰宅せずに行方不明になっている事案が発生。飯山警察署及び志賀高原地区山岳遭難防止対策協会が捜索をしたところ、22日に山林内で男性が死亡しているのを確認した。男性はバックカントリーを単独で滑走中に、何らかの原因により、行動不能となったと思われる。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

1月2週は0件、3週は1件、4週は2件の山岳遭難の発生があり、いずれもバックカントリー遭難でした。小鉢盛山の遭難では、バックカントリースキーで行動中、クライミングスキン(スキーシール)が効かなくなってしまい、滑走できる方向へ行動を続けていたところ、道に迷ってしまったものです。

バックカントリーエリアは、非圧雪、非整備の斜面を滑走できるのが醍醐味ですが、スキー場とは異なり、雪崩のリスクが高く、雪の下には樹木や岩が隠れていたり、穴や沢が空いている場合もあるほか、転倒などにより深い雪に埋まった場合には、自己脱出が困難になることもあります。これらのリスクを認識するとともに、単独での入山は控え、雪崩対策装備を携行しましょう。また、スキー場を利用する際には、必ずルールを確認し、滑走禁止エリアには立ち入らないようにするとともに、マナーを守って楽しく安全に滑りましょう。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言が発令されている地域があります。登山を考えている方は、緊急事態宣言発令の地域に限らず、各地域ごとの最新情報を確認し、慎重な計画と行動をお願いします。
長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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