荷物が増えがちな単独行。プロカメラマンはどんな工夫で軽量化に取り組んでいるのか、聞いてみた

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現在発売中の『山と溪谷』2021年2月号の第1特集では、単独行者が抱えがちなさまざまな悩みをピックアップし、山のプロたちからアドバイスをいただいた。今回は、その回答の一部を紹介しよう。

写真=中村英史、構成=伊藤洋平(『山と溪谷』編集部)

写真=中村英史
構成=伊藤洋平(『山と溪谷』編集部)


★関連記事:単独行者、不安を解消して山へ行こう! 『山と溪谷』2月号大特集

単独行を楽しむ登山者に行なったアンケートでは、「体力温存のためには荷物を軽くしたい。でも、単独だからこそ趣味のカメラも楽しみたい」というリアルな悩みが多数見られた。そこで、多くの機材を持ち運ぶプロカメラマンは、軽量化に取り組むためにどんな工夫をしているのか。読者の悩みに対して、3人のプロカメラマンにアドバイスをしてもらった。

[ 回答者 ]
宇佐美博之さん
南アルプスの山小屋で小屋番を務めた後、フォトグラファーとして独立。北端から南端まで、年間を通して南アルプスの撮影に取り組んでいる。
小関信平さん
フォトグラファー。登山やトレランを中心に、マウンテンバイク、BCクロカンなど、さまざまなアウトドアスポーツを楽しみながら撮影も行なう。
佐藤大史さん
フォトグラファー。写真家・白川義員氏の助手を務めた後、独立。アラスカの大自然や野生動物の撮影をメインに、国内では信州を中心に活動している。
[ 回答者 ]

宇佐美博之さん

南アルプスの山小屋で小屋番を務めた後、フォトグラファーとして独立。北端から南端まで、年間を通して南アルプスの撮影に取り組んでいる。


小関信平さん

フォトグラファー。登山やトレランを中心に、マウンテンバイク、BCクロカンなど、さまざまなアウトドアスポーツを楽しみながら撮影も行なう。


佐藤大史さん

フォトグラファー。写真家・白川義員氏の助手を務めた後、独立。アラスカの大自然や野生動物の撮影をメインに、国内では信州を中心に活動している。

悩み: かさばるテント泊装備とカメラ、どんなザックがいいのか悩みます。ほかの人の選び方が知りたいです。(30代・男性)

頑丈で使いまわせるものがおすすめ [小関さん]

テント泊ではcrux「AK57」(57ℓ)を使っています。AK57はアルパインクライミング向きの軽量モデルで、生地がとにかく頑丈なのと、完全防水仕様なのが気に入っています。季節やフィールドを問わず、夏山も雪山も沢も使いまわせます。

crux「AK57」
 crux/AK57
 価格:52,000円+税
 重量:1,250g
 お問い合わせ:スタティックブルーム

 メイン生地にはケブラーを使用し、
 軽量だが耐久性に優れる

 

プランやルートの特徴で選んでみては [宇佐美さん]

僕がよく使うのは、エクスペド「ライトニング60」と、ハイパーライトマウンテンギア「ポーター4400」の60~70ℓのモデルです。縦走メインなら背負い心地のいい前者、岩場メインなら頑丈な後者と、登山計画と山の特徴で選んでいます。

 

悩み: 小型のカメラなど使用頻度の高い小物を携行する工夫が知りたいです(60代・男性)

防水性のあるサブバッグが便利です! [佐藤さん]

Foxfireの「X-DRYミニショルダー」をよく使います。裏地に防水加工が施され、止水ジッパーも使われているので、多少の雨なら問題ありません。中に入れるのは、交換用レンズや薄手のダウンジャケット、手拭い、ライター、マルチツール、予備のマスクなど。

Foxfire「X-DRYミニショルダー」
 Foxfire/X-DRYミニショルダー
 価格:7,800円+税
 重量:180g
 お問い合わせ:ティムコ

 

悩み: スマホやカメラなどの電子機器をよく使う人は、モバイルバッテリーの容量はどれくらい用意しますか?(30代・女性)

1、2泊程度なら10000mAhもあれば充分です[宇佐美さん]

一眼レフ、ヘッドランプ、スマホなど、すべてモバイルバッテリーでまかないます。1、2泊なら、10000mAhのモバイルバッテリーを1つ、それ以上なら20000mAhを追加します。カメラの予備バッテリーを多数持つ人もいますが、予備を含めて2つも持てば、モバイルバッテリーで足りるので軽量化にもなります。

撮影主体の単独行では機材が増え、20000mAhの大容量を2つ用意する[佐藤さん]

カメラやスマホ、腕時計の充電のほか、可動雲台などカメラ機材でも充電が必要なものもあるので、撮影に集中したい単独行では、1、2泊でも20000mAhのモバイルバッテリーを2つ持っていきます。microUSB、type-C、ライトニングがセットになったケーブルなら、さまざまな機種に対応できるので便利です。

◇ヘッドランプも充電式が主流
近年はUSB給電式のヘッドランプが増え、モバイルバッテリーの有用性がさらに増している。専用バッテリーに直接充電するほか、乾電池で代用できるモデルもある。

充電式ヘッドランプ

充電式ヘッドランプ

 

悩み: 軽量化を意識しつつ、これはおすすめという単独行装備を教えてください(30代・男性)

単独行のプランに合わせてカスタマイズできるクッカー[小関さん]

SOTOの「サーモスタッククッカーコンボ」はおすすめです。アルミ(750ml)、チタン(400ml)、ステンレス(350ml)の3種のマグと、コジーやリフターがセットになったクッカーです。チタンとステンレスのマグを組み合わせるとダブルウォールマグとして使え、温かい飲み物が冷めにくいし、軽量化したいときはチタンのマグだけを携行するなど、自分の計画に合わせて足し引きすることで活用法が広がります。

SOTO「サーモスタッククッカーコンボ」

SOTO「サーモスタッククッカーコンボ」

SOTO/サーモスタッククッカーコンボ
価格:7,200円+税 重量:310g お問い合わせ:新富士バーナー

 SOTO/サーモスタッククッカーコンボ
 価格:7,200円+税
 重量:310g
 お問い合わせ:新富士バーナー

 

悩み: 登山用品ではないけど、あると便利で軽量化にもなるグッズがあれば教えてください(50代・男性)

小物の修繕や補強に役立つおもしろいアイテムがあります[佐藤さん]

便利で、しかもおもしろいアイテムが「FORMcard」。お湯に浸すと自由自在に形を変えられるバイオプラスチックのカードです。冷えると固まるので、カメラ機材の一部が破損したときの修繕や補強に一役買います。また、リペアだけでなく、テント内で使う小型のフックを作ってみたり、使いこなせばドライバー代わりにもなります。お湯に浸せば、繰り返し使えるのも特長です。

FORMcard

FORMcard

FORMcard
価格:1,580円+税 お問い合わせ:グローバルアジアパートナーズ

 FORMcard
 価格:1,580円+税
 お問い合わせ:グローバルアジアパートナーズ

…と、今回はここまで。これは特集内の数あるアドバイスのほんの一部。プランニングや行動中のハプニングなど、さまざまなシーンでの悩みに対するアドバイスが満載だ。ぜひ続きは雑誌で楽しんでほしい。

『山と溪谷』2021年2月号

山と溪谷2021年2月号 山と溪谷2021年2月号

特集「不安解消! 単独行者のお悩みアドバイス 75」
 ・第1部「山に行く前の悩み」
 ・第2部「登山中のお悩み」
第2特集「誰でもできる! ファーストエイド入門」
特別寄稿「ニュージーランド ミルフォードトラック 世界一美しい散歩道をゆく」市毛良枝


Amazonで見る

発売日:2021年1月15日  価格:本体価格1,100円(税別)
ページ数:200 商品ID:2820901030
https://www.yamakei.co.jp/products/2820901030.html

『山と溪谷』2021年2月号

山と溪谷2021年2月号 山と溪谷2021年2月号

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・第1部「山に行く前の悩み」
・第2部「登山中の悩み」
第2特集「誰でもできる! ファーストエイド入門」
特別寄稿「ニュージーランド ミルフォードトラック 世界一美しい散歩道をゆく」市毛良枝


発売日:2021年1月15日
価格:本体価格1,100円(税別)
ページ数:200
商品ID:2820901030

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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2024年5月号の特集は「上高地」。多くの人々を迎える上高地は、登山者にとっては入下山の通り道。知っているようで知らない上高地を、「泊まる・食べる」「自然を知る・歩く」「歴史・文化を知る」3つのテーマから深掘りします。綴じ込み付録は「上高地散策マップ」。

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From 山と溪谷編集部

発刊から約90年、1000号を超える月刊誌『山と溪谷』。編集部から、月刊山と溪谷の紹介をはじめ、様々な情報を読者の皆さんにお送りいたします。

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