日中に融けた雪が夜間に凍結してアイスバーンになりやすい時期 島崎三歩の「山岳通信」第216号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年3月11日に配信された第216号では、日中の気温上昇に伴い、標高が高い山域では雪面が朝晩は​アイスバーンになることを説明。転倒や滑落に対して十分に注意するよう呼びかけている。

 

3月11日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第216号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 3月3日、中央アルプス乗越浄土で、2人パーティ―で入山した52歳の女性が木曽駒ヶ岳から下山中、乗越浄土で付近で行動ができなくなる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

  • 3月4日、松本市の戸谷峰で、2人パーティ―で入山した67歳の女性が、戸谷峰から下山中に足を滑らせて滑落・負傷する山岳遭難が発生。女性は松本警察署山岳遭難救助隊員により救助された。

  • 3月4日、北アルプス唐松岳で、男性が倒れているとの通報を受け、県警ヘリが捜索して遭難者の男性(64歳)を発見して救助したものの、搬送先の病院で死亡が確認された。

  • 3月7日、飯山市の鍋倉山で、2人パーティ―で入山した55歳の男性が、スノーボードでバックカントリーを滑走中に立木に衝突して滑落、負傷して行動ができなくなる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

鍋倉山での遭難現場の状況/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)3月8日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

3月1週は4件の山岳遭難の発生があり、うち1件は死亡遭難です。県内は日中、暖かい日が続くようになったため、標高が高い山域では、日中に溶けた雪が夜間に凍結し、アイスバーンとなっています。また、稜線などの風が強い場所では、雪が固められ、非常に滑りやすくなっています。このような場所での転倒や滑落は、すぐに停止することができなければ、致命的な遭難となってしまいます。入山前には、まずは転倒や滑落をしないように、講習会や練習などで、ピッケル操法やアイゼン歩行を習得するとともに、万が一に備え、滑落停止の技術も習得しましょう。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言が発令されている地域があります。登山を考えている方は、緊急事態宣言発令の地域に限らず、各地域ごとの最新情報を確認し、慎重な計画と行動をお願いします。

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

編集部おすすめ記事