トレッキングシューズの選び方を解説! ハイカット、ローカット…いったいどれがいいの?

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トレッキングシューズは、土や木道が多い山道を得意とする登山靴です。でも市場にある商品は、足首周りの高さでハイカットやミッドカットなど、いくつか種類があるみたい。この違いはいったい何? 特長から用途に合った選び方を説明します。

尾根上の整備された登山道(平標山周辺)

 

トレッキングシューズとは?

トレッキングシューズは、土や木道がメインの山道で、水平方向に長く歩くようなシーンを得意とする登山靴です。共通する特長から見ていきましょう。

トレッキングシューズの特長

  • 防水機能が備わっている
  • 凹凸の多いブロックパターンにより強いグリップ力が生まれる
  • つま先が反り上がるソール形状で歩きやすい

 

ブロックパターンはモデルによってさまざま

 

反り上がったつま先で転がるように足を出せる

 

トレッキングシューズの種類と特長

足首周りの高さで3つのタイプに分かれる

しかし、ひと口でトレッキングシューズといっても、足首周りの高さでハイカットとミッドカット、ローカットに分かれます。

 

左から、ハイカット、ミッドカット、ローカット。高さの違いは一目瞭然

 

実際に履いて歩いてみると、いったいどんな違いがあるのでしょうか?それぞれのタイプの特長を紹介します。

【ハイカット】力を入れやすくバランスを保ちやすい

ハイカットは、足首のグラつきを抑えてくれる点が特長です。段差に立ち込むとき足に力を入れやすくなり、大きな石が転がる路面でもバランスを保ちやすくなります。

【ミッドカット】サポート力と歩行性のバランスに優れる

ミッドカットは真ん中に位置する、バランスに優れるタイプといえるでしょう。でも、中にはサポート力や歩きやすさに物足りなさを感じる方がいるかもしれません。

【ローカット】自由に動く足首で軽快に歩ける

ローカットは、足首を自由に動かせる点が特長で、軽快に歩くことができます。ただし、ハイカットのようなサポート力はないので、登山で使うには相応の筋力やバランス力が必要です。

 

トレッキングシューズの選び方

最初の一足はハイカットかミッドカットがおすすめ

最初の一足を選ぶなら、まずはハイカットかミッドカットをおすすめします。サポート力があるので、疲労の軽減や安全面でローカットに勝るからです。

 

メレル/モアブ 2 ミッド GTX
ミッドカットはハイカットより軽く、ローカットよりサポート力がある

 

ハイカットとミッドカット、どちらを選ぶか悩む場合は、実際の山行で背負う荷物の重さを担いで、それぞれのタイプを履き比べてみるといいでしょう。

夏山を想定して、1泊2日のテント泊と山小屋泊、そして日帰りの山行で背負う重さの目安を紹介します。
(※必要装備、水、食料をすべて含めたおおよその重さです。テント泊と山小屋泊では、水を2L、日帰りでは1Lで計算しています)

山行で背負う重さの目安

  • テント泊:7kg前後
  • 山小屋泊:4.5kg前後
  • 日帰り:3kg前後
※詳しい内訳はコチラ

 

目的の山行に当てはまる重さを背負ってみて、もし店内に登山道を模した段差やゴツゴツした路面があれば、そこを実際に歩いてみましょう。サイズなどが合う合わないはもちろん、段差に立ち込むとき足首がグラつかないか、凹凸のある路面でバランスを崩しにくいか、この2点をチェックします。

登山に慣れればローカットもあり

中にはローカットの靴を履き、縦横無尽に山を歩き回る人もいます。すいすいと前に進む軽快な足運びに憧れる人もいるでしょう。でも、登山経験ゼロでローカットを選ぶと、必要以上に疲れてしまったり、バランスを崩してあわや転倒など、危険なケースも考えられます。

理想としては、ハイカットかミッドカットで登山を経験して、筋力やバランス力や体力をきちんと身に着けてから、自分の欲しい登山靴がイメージできるようになったタイミングで、ローカットを検討するといいでしょう。

経験を積んで山歩きに慣れてくると、もっと軽くて歩きやすいモデルが欲しいなど、自分に見合った靴を具体的にイメージできるようになります。

ここまで経験を積めば、あとはイメージ通りの靴を選んでOK。そこでローカットがぴったりとなれば、たとえテント泊でもローカットを選択するのもありです。

ソールの硬さは疲労の軽減につながる

さまざまなモデルを履き比べると、ソールの硬さも違うことにも気が付くはずです。ソールが硬いほど地面の凹凸を感じにくくなり、これも疲労の軽減につながります。覚えておくといいでしょう。

一般的に、重い荷物を背負う1泊2日以上の山行を想定したモデルが多いハイカットは硬くなり、逆に主に日帰りを想定したモデルが多いローカットは柔らかくなる傾向にあります。
 

ハイカットのソールはしっかりしたものが多い

 

ローカットはグニャッと曲がるものが多くなる

 

「トレッキングシューズ」と「ハイキングシューズ」は何が違う?

世の中には「ハイキングシューズ」と呼ばれる靴もあります。「トレッキングシューズ」との違いが気になりますが、残念なことに明確な違いはありません。強いて言えば、国内でハイキングシューズと呼ばれる靴は、標高差が少ない短距離のコースを想定しているモデルが多いようです。半日程度のコースタイムで野山を歩く計画なら、最初からハイキングシューズを検討してもいいでしょう。

 

写真=福田 諭

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プロフィール

吉澤 英晃

1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出会い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンを約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。

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