アルパインブーツはトレッキングシューズと何が違う? 特長と選び方を詳しく解説!
アルパインブーツはトレッキングシューズと並ぶ登山靴のひとつ。姿形はハイカットのトレッキングシューズと似ていますが、得意とするシーンは異なるようです。特長と選び方のポイントを解説します。
- 小さな足場に立ち込みやすい硬いソール
- 広く摩擦力を得るためのクライミングゾーン
- 歩くルートの状況を調べよう
- 季節によって靴を使い分ける
アルパインブーツとは?
北アルプスに連なる穂高連峰や、槍ヶ岳、剱岳の周辺には岩場が延々と続くルートがあります。アルパインブーツは、このような岩場が多い登山道で、垂直方向へ移動するシーンを得意とする登山靴です。
アルパインブーツの特長
- 防水機能が備わっている
- 凹凸の多いブロックパターンによって強いグリップ力が生まれる
- トレッキングシューズと比べてソールが硬い
- クライミングゾーンがデザインされている
⇒岩場が多く、よじ登るような場所がある登山道に向いている
防水機能と強いグリップ力は登山靴に共通する項目です。ここではアルパインブーツならではの特長と選び方のポイントを見ていきましょう。
アルパインブーツの特長
アルパインブーツの外見はハイカットのトレッキングシューズと似ていますが、想定するルートを安全に踏破するために、独自の機能を備えています。
小さな足場に立ち込みやすい硬いソール
アルパインブーツにはトレッキングシューズよりも硬いソールが備わっています。これは、岩場でつま先を置けるほどの小さな足場しかない場合でも、立ち込みを容易にするための特長です。
このようなシーンでソールが柔らかい靴を履いていると、かかとが落ちてしまいつま先に力を集中することができず、足元が不安定になり滑落の危険性が増してしまいます。
立ち込みをサポートするために多くのモデルがハイカットを採用している点も、アルパインブーツの特長といえるでしょう。
広く摩擦力を得るためのクライミングゾーン
アルパインブーツのアウトソールには、つま先に平坦なブロックパターンがデザインされています。これがクライミングゾーンと呼ばれるポイントで、接地面積が広がり、アウトソールの摩擦力を最大限に生かすことができます。
アルパインブーツを使いこなすには?
アルパインブーツはハイカットが一般的で、背負う荷物や重さや経験値で種類を選ぶ必要はありません。ここでは視点を変えて、選び方に関わるルートの状況や季節について説明します。
歩くルートの状況を調べよう
アルパインブーツの硬いソールは岩場での登攀性が高いというメリットがある一方、なだらかな地形では歩きにくいというデメリットがあります。岩場が現れないルートでは歩行性に優れるトレッキングシューズを選んだほうが良いかもしれません。
季節によって靴を使い分ける
アルパインブーツには、かかとやつま先に10~12本爪アイゼンを装着するための「コバ」と呼ばれる凹がデザインされています。しかし、国内の無積雪期にアイゼンの出番はほとんどありません。これはモンブランやマッターホルンなど、夏でもアイゼンを使う必要のある海外の山での使用を想定しているからで、コバがあるほうがなにかと都合がいいのです。
3シーズン用のアルパインブーツは「ライトアルパインブーツ」と呼ばれることもあり、冬期の雪山に対応するモデルには、ゴアテックスインシュレーションに代表される断熱材や保温材が使われていることが一般的です。計画する季節に応じたモデルを選びましょう。
写真=福田 諭
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プロフィール
吉澤 英晃
1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出会い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンを約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。
はじめての登山装備。基礎知識と選び方
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