残雪の残る山・ルートでは、特に入念な情報収集と準備を 島崎三歩の「山岳通信」 第223号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年6月3日に配信された第223号では、残雪での遭難事故について言及。残雪に備えた計画と装備の徹底を呼びかけている。

 

6月3日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第223号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月14日、中央アルプスの経ヶ岳で、単独で入山した84歳の男性が経ヶ岳山頂から下山中にルートを誤って道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。伊那警察署山岳高原パトロール隊が出動して男性を救助した。

  • 5月25日、八ヶ岳連峰の赤岳で、3人パーティで入山した30歳の男性が、テント泊中に発病して行動不能となる山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊および諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊が出動して、26日、男性を救助した。

  • 5月26日、八ヶ岳連峰の阿弥陀岳で、単独で入山した41歳の男性が、阿弥陀岳山頂から御小屋尾根を下山中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

八ヶ岳連峰阿弥陀岳での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)5月31日付

  • 5月28日、長野市内に住む男性(82歳)が、家族に「荒倉山に行く」と伝えて家を出た後、帰宅せずに行方不明となる山岳遭難が発生。29日に戸隠地区山岳遭難防止対策協会救助隊員、長野市消防局員、長野県警察機動隊員、長野中央警察署員が捜索を行い、30日に同山中で遭難者を発見したものの死亡が確認された。男性は滑落した模様。

  • 5月30日、北アルプス蝶ヶ岳で、単独で入山した46歳の男性が、蝶ヶ岳山頂から三股へ下山中に転倒して負傷し行動不能となる山岳遭難が発生。30日に北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員及び県警ヘリが出動して男性を救助した。

北アルプス蝶ヶ岳での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)5月31日付

  • 5月30日、北アルプス後立山連峰の爺ヶ岳で、2人パーティで入山した56歳の男性および22歳の女性が、爺ヶ岳山頂から下山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。大町警察署員が救助に向かい、2人を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

5月3週は1件、4週は0件、5週は死亡遭難を含め、5件の山岳遭難が発生しました。この時期は、標高の高い山域では、残雪により夏のルートが出ていない場合があり、自らルートファインディングを行う必要があるほか、雪渓などを横断する場合には、滑落を防止する技術や装備が必要になります。
登山を計画する際には、ルート情報をしっかりと調べるとともに、残雪に備え、地図やGPS、ピッケルやアイゼンなどを携行しましょう。また、標高が低い里山登山でも、油断は禁物です。急峻で危険な登山道や入山者が少ないため、ルートが不明瞭になっている場合もあります。里山登山であっても、入念な下調べを行うとともに、もしもに備えたビバーク装備を携行しましょう。

梅雨前線等の影響により、天気も急に変化することがあり、県内のアルプス等の高山では、雨が雪になる場合もあります。最新の天気予報を確認の上、慎重な判断をしましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(5月27日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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