登山者なら知っておきたい地図アプリの基本機能。地形図の種類とダウンロードについて

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現在地が一目でわかって便利な地図アプリ。読図を学んで使いこなせば、さらに頼もしい山のパートナーになるはず。地図読み講習会の講師も務める佐々木亨さんの『地図アプリで始める山の地図読み』(山と溪谷社)から、地図アプリの基本機能を紹介します。

※本記事では、「ジオグラフィカ」「スーパー地形」を例に、地図アプリの基本機能を解説していきます。機能の詳細や操作方法は、それぞれの地図アプリのマニュアルを参照するようにしてください。

 

見やすい色調の国土地理院地形図を選んで表示

地図アプリで表示できる国土地理院地形図には、数段階の縮尺のほか、色調によって淡色地図標準地図があります。

淡色地図は、古くから登山で使われてきた紙の印刷地形図に近い色調です。地図記号が黒、茶、青の階調で表現され、高速道路と特定の注記(文字)に緑色が使われています。とてもシンプルで白地図のようです。

淡色地図

建物がグレーなどシンプルな色調、そのぶん等高線や地形記号の読み取りに集中できる

 

標準地図は、淡色地図に赤(橙)と黄色の階調が加わり、建物と国道に赤、都道府県道に黄色が使われています。

標準地図

国道(赤色)と都府県道(黄色)が色分けされ、とくに市街地で使いやすい

 

どちらを選ぶかは、好みで構いませんが、山間部では、茶系色で描かれた等高線と地形記号が読み取りやすい淡色地図。市街地では、道路の種類と建物がわかりやすい標準地図、と使い分けるのもよいでしょう。

 

地形図の必要な範囲を事前に取り込んでおく

登山で使われている地図アプリは、圏外でもGPSからの信号を受信し、現在地を測位することができます。ただし、新たに地形図を表示するには、データ通信が必要です。

そこで圏外になる可能性がある山へ行くときは、事前に地図データを取り込んで、スマートフォンに保存しておきます。「地図をキャッシュする」ともいう準備です。

保存した地形図は、機内モードでも表示でき、通信機能をセーブすることで、バッテリーの節約にも有効です。

通信機能をセーブしても、GPSを使うとバッテリー消費が大きくなる傾向がある。予備バッテリーは必需品と考えて備えよう

 

地形図を取り込むためには、歩くコースに沿って、必要な範囲を表示させます。このとき拡大縮小して、広域から詳細レベルまで取り込んでおくと、いずれのレベルでも、空白ができてしまうことを防げます。保存できたかどうかは機内モードにして確認します。

また範囲を指定して、一括ダウンロードする方法もあります。その場合も機内モードで地形図を表示して、保存できたかどうか確認しておくと安心です。

スーパー地形の地図一括ダウンロード画面、容量には上限があり、あらかじめ設定しておく

 

ジオグラフィカの場合、任意で範囲を指定して一括ダウンロード(キャッシュ)する

 

ノースアップとヘディングアップ 地形図の向きを設定

地図アプリでの地形図の表示方法(向きの設定)は大きく2通り、「ノースアップ」「ヘディングアップ」があります。

地図は通常、北を上にして作られています。その向きの通り、常に北を上に表示する方法がノースアップです。文字や記号が読みやすく、地図として見慣れている表示といえます。

GPS機能を使い、ノースアップに設定して歩くと、現在地(自分)を示すカーソル(矢印)が進む方向に回転します。

ヘディングアップは、自分の向きを常に上にする表示方法です。スマートフォンを体の正面に持てば、スマートフォンの向きと一致します。ヘディングアップに設定して前方へ歩いているときは、カーソルが常に上を向き、進行方向に応じて地形図が回転します。

ノースアップ

ヘディングアップ

 

ノースアップとヘディングアップの違いについては、山へ行く前に、近くの公園などで試してみてください。歩く方向やスマートフォンの向きを変えながら、地形図とカーソルがどう表示されるか、経験的に覚えていくとよいでしょう。

ヘディングアップにして、前方の登 山道と地形図を照合してみる

 

※本記事は『地図アプリで始める 山の地図読み』をWEB用に編集して掲載したものです。

 

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【著者略歴】
佐々木 亨
1961年東京生まれ。幼少のころから家族で山歩きに親しみ、 丹沢や八ヶ岳、北アルプスに登る。10代後半には社会人山岳会 に所属、オールラウンドな登山に取り組む。 1985年に編集プロダクション・フォーエバーを設立。山岳ライターとして各地の山と自然の取材を続けている。主な著書に 『ヤマケイ アルペンガイド 八ヶ岳』『山麓から登る世界文化遺産富士山』『詳しい地図で迷わず歩く! 奥武蔵・秩父354㎞ 特選ハイキング30コース』(いずれも山と溪谷社)などがある。 初級者から指導者向けまで、各地の登山教室では地図読みの講師を務める。FacebookなどのSNSでは、日常の話題とともに、読者との交流や著書のフォローアップを行なっている。埼玉県鶴ヶ島市在住。 

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