自身や仲間の体力を把握した上でゆとりのある計画を立てて入山を 島崎三歩の「山岳通信」 第224号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年6月17日に配信された第224号では、高年齢層の登山者の遭難が続発していることについて言及。時間的・体力的に十分ゆとりのある計画を立てることを改めて推奨している。

 

6月17日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第224号では、期間中に起きた5件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月5日、北アルプスの蝶ヶ岳で、3人パーティで入山した61歳の女性が、三股登山口から蝶ヶ岳へ向けて登山中に雪渓で滑落して行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して遭難者を救助した。

北アルプスの蝶ヶ岳での滑落遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月7日付

  • 6月10日、御嶽山で、3人パーティで入山した77歳の男性が、五ノ池から二ノ池へ向けて縦走中に摩利支天乗越付近で滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して遭難者を救助した。

御嶽山・摩利支天乗越付近での滑落遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月14日付

  • 6月9日、高山村大字牧地籍の山林内で、山菜採りのため単独で入山した79歳の女性が行方不明となる遭難が発生。10日に須坂警察署員及び県警ヘリが出動して同山林内で女性を発見したものの死亡が確認された。女性は滑落した模様。

  • 6月12日、奥秩父連峰の甲武信ヶ岳で、5人パーティーで入山した63歳の女性が甲武信ヶ岳に向けて登山中に発病し、行動不能となる山岳遭難が発生。県防災ヘリが出動して女性を救助したものの、搬送先で女性の死亡が確認された。

  • 6月13日、八ヶ岳連峰赤岳で、16人パーティーで入山した60歳の女性が、赤岳から南沢を経由して下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。茅野警察署員及び茅野消防署員が出動して遭難者を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月1週は1件、2週は4件の山岳遭難が発生し、2名の方が亡くなられています。5月から6月にかけて高年齢層登山者の遭難が後を絶ちません。滑落、転倒は、体力やバランス力の低下に伴うものです。コロナ禍で外出を控えていた方が、健康づくりや夏山に向けたトレーニングのために登山を計画することもあるかと思いますが、これから登山を計画される方は、時間的・体力的に十分ゆとりのある計画を立て、現在の自身や仲間の体力を把握した上で、徐々に難易度の高い山へ挑戦をするようにしてください。

また、山菜採りに行かれる方は、必ず家族等に行き先を伝えるとともに、単独での入山は控え、仲間とともに行動するようにしてください。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(6月4日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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