梅雨空の登山では晴天時よりも集中力・体力が必要 島崎三歩の「山岳通信」 第226号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年7月9日に配信された第226号では、梅雨の時期の気象にまつわる登山中のリスクについて言及。水分やエネルギーの補給や、着替えの準備など、入念な装備計画を促している。

 

7月9日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第226号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月27日、北アルプスの奥穂高岳で、単独で入山した66歳の男性が、奥穂高岳からザイテングラートを下山中、雪上で足を滑らせて滑落し、負傷して行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員及び県警ヘリが出動し、遭難者を救助した。

北アルプス穂高岳の遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月28日付

  • 6月29日、北アルプスの燕岳で、単独で入山した65歳の女性が、燕岳から中房登山口へ向けて下山中に滑落して負傷し行動不能となる山岳遭難が発生。安曇野警察署山岳遭難救助隊などが出動して女性を救助した。

  • 6月30日、下高井郡山ノ内町の雑魚川付近の林道で、2人パーティで入山した56歳の男性が、川沿いの登山道から滑落する山岳遭難が発生。警察と消防が出動して救助したものの死亡が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月4週は、奥穂高岳で滑落による1件の山岳遭難が発生しました。この遭難では、滑落により足を負傷したものの、ヘルメットを着用していたため、頭部への致命的な負傷を免れました。県内の標高が高い山域では、まだまだ残雪があり、転倒や滑落に備えたアイゼン・ピッケルの着装と、ヘルメットの着用が重要です。登山計画の際には、ルートの最新情報を確認するとともに、自身や仲間の技量に見合った山域を選びましょう。

6月5週は、2件の山岳遭難が発生しました。梅雨の時期は、湿度が高く、雨や汗により体が濡れても乾かず、体温とともに体力も奪われていきます。さらに、登山道が濡れていることにより、足下に注意して歩行しなければならないことから、晴天時よりも集中力・体力が必要です。自分や仲間の体力を考えた登山計画を立てましょう。行動中は、こまめに水分補給、エネルギー補給を行い、さらに着替えるなどして体温や体力が奪われないようにしてください。

県内は梅雨前線の影響により、局地的に大雨となった地域があります。登山を計画する際には、里山といえども油断することなく、天候が悪い場合には、登山の中止などを検討しましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(6月29日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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