7月でも北アルプスでは岩場と雪が混在する登山道を通過する場合もある 島崎三歩の「山岳通信」 第227号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年7月15日に配信された第227号では、北アルプスで滑落事故が続発したことについて言及。北アルプスは、場所によってはまだ残雪があり、岩場と雪が混在する難しいコンディショになっていることを説明している。

 

7月15日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第227号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 7月5日、北アルプスの奥穂高岳で、7月2日から単独で入山した40歳の男性が行方不明となっていることがわかり、県警山岳遭難救助隊及び北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が捜索。6日に男性を発見して県警ヘリで救助したものの死亡が確認された。男性はザイテングラード付近を下山中、何らかの原因により、滑落した模様。

  • 7月5日、北アルプスの霞沢岳で、7月3日から単独で入山した57歳の男性が行方不明となっていることがわかり、県警山岳遭難救助隊及び北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が捜索。男性は6日に発見され、7日に県警ヘリで救助されたものの死亡が確認さた。

  • 7月6日、八ヶ岳連峰の美濃戸北沢で、2人パーティで入山した56歳の女性が、美濃戸北沢を下山中に発病して行動不能となる山岳遭難が発生。県警山岳遭難救助隊員等が出動し、遭難者を救助した。

  • 7月10日、八ヶ岳連峰の赤岳で、単独で入山した34歳の男性が入山したまま帰宅せず行方不明となっていることを確認。11日に茅野警察署山岳遭難救助隊が出動して捜索したところ、赤岳山頂付近で心肺停止の男性を発見、身元を確認している。

  • 7月11日、北佐久郡川上村の小川山で、2人パーティで入山した34歳の男性が廻り目平付近でロッククライミング中にバランスを崩して転落、負傷する山岳遭難が発生。消防署員が出動して遭難者を救助した。

  • 7月11日、北アルプスの常念岳で、2人パーティで入山した42歳の女性が、常念岳から下山中に技量不足により足を滑らせて滑落し、行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して遭難者を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月2週は、死亡遭難2件、行方不明遭難1件を含む、6件の山岳遭難が発生しました。県内の標高が高い山域では、まだまだ残雪があり、岩場と雪が混在する登山道を通過する場合があります。そのため、岩場でのアイゼン歩行や残雪期のピッケル操法など、高い技術が必要になる場合がありますので、入山前には必ず登山道の最新情報を確認するとともに、自身や仲間の技量や体力に見合っているか確認し、決して無理をしない登山をお願いします。

県内は梅雨前線の影響により、大雨となった地域があります。急激な増水により、登山道や橋が流れてしまったり、沢を横断することができなくなる場合があります。また、稜線は猛烈な風雨に曝されることとなり、夏でも低体温症になるケースもあることから、登山を計画する際には、里山といえども油断することなく、天候が悪い場合には、登山の中止等を検討しましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(7月15日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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