厳しい暑さで熱中症による遭難者が増加、こまめな水分&栄養補給を 島崎三歩の「山岳通信」 第228号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年7月21日に配信された第228号では、熱中症による行動不能や発病による遭難が発生していることを指摘。こまめな水分補給・栄養補給を心がけるよう呼びかけている。

 

7月21日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第228号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 7月16日、北アルプス槍ヶ岳で、単独で入山した49歳の男性が、槍ヶ岳から横尾に向けて下山に転倒して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して遭難者を救助した。

北アルプス槍ヶ岳での遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)7月19日付

  • 7月16日、北アルプス白馬岳で、単独で入山した54歳の女性が、白馬大雪渓を登山中にルートから外れて滑落して負傷、行動不能となる山岳遭難が発生。大町署山岳遭難救助隊員等が出動し、遭難者を救助した。

  • 7月16日、上田市の達磨山で、3人パーティで入山した77歳の男性が、達磨山から下山中に道に迷って滑落し、行動不能となる山岳遭難が発生。男性は無事に救助された。

  • 7月17日、北アルプス横通岳で、15日から6人パーティで入山した58歳の男性が、大天井岳を経由して常念岳に縦走している途中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して遭難者を救助した。

  • 7月18日、北アルプス北穂高岳で、単独で入山した65歳の男性が、北穂高岳へ登頂後に山小屋内で体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して遭難者を救助した。

  • 7月18日、北アルプス焼岳で、8人パーティで入山した21歳の女性が、上高地から焼岳へ登山中に体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して遭難者を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月3週は、6件の山岳遭難が発生しました。県内は梅雨明けとなり、夏本番の厳しい暑さとなっています。標高が高い山域でも日中は気温が高くなり、熱中症による行動不能や発病による遭難が発生しています。また、暑さと疲労で集中力が切れることにより、転倒や滑落のリスクも高まります。行動中は、のどの渇きを感じる前に、スポーツドリンクなどの塩分を含む飲料水をこまめに補給しましょう。
また、ハンガーノック、いわゆる「シャリバテ」にならないためには、空腹を感じる前にエネルギーを補給をすることが大切です。下山するまで体力や集中力を切らさないために、こまめな補給を心掛け、安全に登山を楽しみましょう。

なお、夏季は午後になると雷が発生する場合があります。稜線の行動は落雷の危険が伴うため「早出・早着」ができるように、ゆとりある計画を立てましょう。

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(7月15日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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