やりっぱなしじゃもったいない!親子登山の後は子どもと一緒に思い出を振り返ろう!

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はじめての親子登山に疑問はつきもの。子どもの野外体験や野外教育を手がけるアウトドアプロデューサーの長谷部雅一さんが、子どもと山に登る楽しみや成功のヒントを紹介します。

 

体験が経験になり、それが自信につながる

登らない山登りからはじまり、子どもが「山登りをしたい!」と思ってもらえるたくさんの場づくりをして、さらには安全管理までしっかりとしてやっと成功した親子登山。大人はもうここで充分満足なので終了…。と、ちょっと待ってください!!

子どもにとって、登山前も、登山中も大切ですが、実は登山後が一番大切なのです。子どもは登山中にたくさんのものを見て、感じて、学んでいます。また、大人と子どもの会話からもたくさんの楽しさと幸せを感じてくれています。でも、登山後、帰宅、夕食、就寝…と、体験しっぱなしではそれで終了です。体験(=やったこと)を身体と頭と心にしっかりと染み込ませる時間をつくって、経験(=知識として身体や頭にインプットする)に変換してあげる時間をつくりましょう。

 

体験を経験に変えるにはふり返りが大切

体験を経験に変えるためには、なるべく体験後早いタイミングで今回の体験をなにかしらの形でアウトプットする作業が必要になります。アウトプットの方法は、絵でも、会話でも、歌でも、詩でも、なんでも構いません。

ポイントは、家を出てから帰るまでに「どんなことが起きたのか?」「そこから何を感じたのか?」などを子どものペースに合わせてじっくり、かつ押しつけがましくないように振り返っていけばOKです。また、この時間で大人がその時感じたり学んだりしたことも子どもと共有していくことで、より深くて楽しい時間になっていきます。家庭でやりやすいふり返りの方法をいくつか紹介しますので参考にしてみてください。

 

1:お土産や地形図で振り返る

当日買って来た現地名物のお菓子を食べたり、キーホルダーなどを見て登山の思い出話をしてみましょう。お菓子の口を開ければ、自動的に山の思い出話とそのお菓子の味で盛り上がってくれます。お土産は、印象的なものであればあるほど、「○○○○の景色が綺麗だった!」「○○○○な所は少しきつかったから・・・」など、登山中の思い出が蘇ると思います。

また、地形図も併用することで、今回登ったコースはどこなのか?綺麗な景色はどこだったのか?どこでお昼を食べたのか?など、振り返るきっかけがたくさん生まれてきます。さらには、自分がどのようなコースをどのくらいで歩けたのかなどが分かるのに、自信にも繋がります。

 

2:写真で振り返る

スマートフォンやカメラなどで撮影した写真を一緒に見ると、登山中の光景が一瞬にして鮮明に蘇ります。ポイントは、登山当日に可能な限り頂上での家族写真以外にもたくさん写真を撮っておくことです。そうすることで、ストーリーを追いながら振り返っていくことができます。

「ここの先にあった急坂がつらかったよね〜」「このお店の○○○が美味しかったよね!」「そうそう!途中でガスが出て周りが見えにくかったよね」など、写真を見てすぐに思い出せることから、その時どう感じたか?思ったか?をお互い共有していきましょう。もしも話しがなかなか盛り上がらないときは、写真の自分達の顔や景色を拡大して見るのも手です。

 

3:絵で振り返る

子どもが山の思い出を絵に使用とすると、その時に一番印象的だったことを切り取って表現してくれます。この時のポイントは、子どもが絵を描き終わるのを待ってから振り返るのではなく、子どもが絵を描きながら振り返っていくことです。

「あ〜!その道って○○○だった時の道?」「そうだよ!」「あのときは○○○だったよね〜」といった具合に、子どもが描き進めている絵をベースに、その時の情景や感じたことを語り合うと、子どもが忘れていても大人が覚えてくれていたことを絵に足してくれたりと、絵が完成に近づくにつれてよりふり返りの深度が深くなっていきます。もしもできれば、大人も同様に一緒に絵を描いてみるのがおすすめです。

 


 

ふり返りの方法は人それぞれですが、大切なのはたくさんの言葉を交わす時間を持つことです。日常では「今日はどうだった?」「楽しかった!」程度で終わってしまいがちな時間ですが、貴重な体験をしたときだけでもふり返りの時間を大切にしてみてください。アフターも楽しければ、きっと次の登山にも繋がってくると思います。

 

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プロフィール

長谷部雅一

アウトドア・プロデューサー。アウトドア系プロジェクトの企画・コーディネート・運営のほか、幼稚園や保育園のコンサルタント業務も行なう。『アウトドアファブリック大全』(グラフィック社)、『自然あそびで子どもの非認知能力が育つ』(東洋館出版社)、『ネイチャーエデュケーション』(みくに出版)など著書多数。
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はじめての親子登山のヒント

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