寒暖の差が激しくなる秋山の気象を考慮した登山計画を 島崎三歩の「山岳通信」 第235号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年9月8日に配信された第235号では、気温が下がり、寒暖の差が激しくなってきていることに言及。天気予報を確認して防寒装備を携行することを伝えている。

 

9月8日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第235号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月31日、八ヶ岳連峰赤岳で、30日から単独で入山した73歳の男性が、赤岳から県界尾根方面へ下山中にルートを誤って道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。9月1日に山岳安全対策課員及び茅野警察署山岳遭難救助隊員が出動して救助した。

  • 8月31日、浅間連峰前掛山で、2人パーティで入山した56歳の女性が、前掛山から火山館コースを下山中に、火山館付近で転倒して負傷する山岳遭難が発生。小諸消防署員、小諸市役所職員及び長野県防災ヘリが出動して女性を救助した。

  • 9月1日、北アルプス奥穂高岳で、2人パーティで入山した62歳の男性および60歳の女性が、奥穂高岳からザイテングラートを下山中、霧による視界不良で道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して遭難者2人を救助した。

  • 9月4日、北アルプス燕岳で、2人パーティで入山した70歳の男性が、燕岳から西大ホラ沢出合付近を下山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。5日に安曇野警察署山岳遭難救助隊員が、遭難者を発見して救助した。

  • 9月5日、松本市安曇地籍の山林内で、きのこ採りのために単独で入山した87歳の男性が、出掛けたまま連絡がとれなくなる山岳遭難が発生。警察、消防で捜索して男性を発見したものの死亡が確認された。男性は何らかの原因により滑落した模様。

  • 9月5日、松本市安曇地籍の山林内で、きのこ採りのために2人パーティで入山した74歳の男性が、行方不明となる山岳遭難が発生。6日に長野県警察本部山岳遭難救助隊員及び北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して男性を救助したものの死亡が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

9月1週は、6件の山岳遭難が発生しました。うち2件はきのこ採り中の遭難で、2名の方が亡くなられています。秋山シーズンとなり、きのこ採りの季節となりましたが、例年、高齢の方が多く遭難しています。もし、家族や近所の方で、きのこ採りをされる方がいましたら、入山場所と行動予定を確認し、単独行動を控え、危険場所へ立ち入らないように声掛けをお願いします。また、万が一に備えて、携帯電話やヘッドライト、携行食や防寒着などを携行しているか確認をお願いします。

県内は、寒暖の差が激しくなりました。天候がひとたび崩れると、標高が高い山域や稜線では、冬のような寒さになります。登山を計画する際には、防寒装備を必ず携行するとともに、天気予報を確認し、行動中も決して無理な行動を行わないようにしましょう。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、登山を考えている方は地域ごとの最新情報を確認し、十分にレベル(体力・技術)を落とした山域選びと、慎重な計画・行動をお願いします。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(8月25日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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