秋山では防寒装備を必ず携行し、天気予報を確認して無理のない行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第236号
長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年9月16日に配信された第236号では、秋の山は標高が高い山域では、ひとたび天候が崩れると冬のような寒さになり、低体温症のリスクが非常に高まることを説明している。
9月16日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第236号では、期間中に起きた9件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
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9月6日、伊那市長谷地籍の山林内で、きのこ採りのために単独で入山した79歳の男性が、行方不明となる遭難が発生。7日に捜索隊員が男性を発見したものの死亡が確認された。男性は滑落した模様。
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9月7日、中央アルプス将棊頭山で、2人パーティで入山した42歳の男性が、将棊頭山小黒川渓谷付近を登山中に滑落して負傷。また同行の37歳女性は技量不足のため行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して、男性及び女性を救助した。
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9月10日、北アルプスの赤沢山で、単独で入山した59歳の男性が、赤沢山から西岳方面へ向けて登山中に滑落して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動し、県警ヘリで男性を救助した。
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9月11日、中央アルプスの空木岳で、10人パーティで入山した77歳の女性が、登山中に発病して行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。
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9月11日、南佐久郡北相木村の山林内で、きのこ採りのために夫婦2人で入山した81歳の男性が、入山中に斜面を滑落して行動不能となる遭難が発生。佐久警察署員、佐久広域消防職員が出動して男性を救助した。
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9月11日、長野市小鍋地籍の富士ノ塔山で、きのこ採りのために2人パーティで入山した79歳の男性2人が、入山中に道に迷う山岳遭難が発生。1名は自力で下山したものの、もう1名は疲労のため行動不能となっていたところを捜索隊員が発見して救助した。
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9月12日、北アルプス北穂高岳で、8人パーティで入山した52歳の男性が、涸沢から北穂高岳東稜へ向けて登山中に落石を受けて負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して、男性を救助した。
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9月12日、北アルプス焼岳で、2人パーティで入山した52歳の男性が、新中の湯ルートを焼岳へ向けて登山中に発病して意識不明となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助したものの、その後死亡が確認された。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
9月2週は、9件の山岳遭難が発生しました。うち3件はきのこ採り中の遭難で、1名の方が亡くなられています。きのこ採りの季節となり、高齢の方が多く遭難しています。きのこ採りの遭難防止で効果的なのは、やはり家族や近所の方の声掛けです。もし、きのこ採りをされる家族や近所の方がいましたら、入山場所と行動予定を確認し、単独行動を控え、危険箇所へ立ち入らないように声掛けをお願いします。また、万が一に備えて、携帯電話やヘッドライト、携行食や防寒着などを携行しているか、確認をお願いします。
今週の県内は、台風や秋雨前線の影響を受け、荒天となる場合があります。天候がひとたび崩れると、標高が高い山域や稜線では、暴風雨となるほか、冬のような寒さになり、低体温症のリスクが非常に高まります。登山を計画する際には、防寒装備を必ず携行するとともに、天気予報を確認し、行動中も決して無理をしないようにしましょう。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、登山を考えている方は地域ごとの最新情報を確認し、十分にレベル(体力・技術)を落とした山域選びと、慎重な計画・行動をお願いします。
長野県内入山注意報発表中
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(9月13日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。