登山用レインウェアの選び方。基礎知識と選ぶポイント

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山道具には“登山の三種の神器”と呼ばれている装備があります。「登山靴」「バックパック」、そして最後のひとつが「レインウェア」です。皆さんは、どうして山登りにレインウェアが欠かせないか分かりますか? 今回はレインウェアの必要性と選び方を解説します!

文=吉澤英晃、写真=福田 諭

Contents

■レインウェアは山登りの必需品

突然の雨に備えよう
ウインドブレーカーや保温着的な役割も
ビニールガッパや傘じゃダメ?

■4つのポイントで分かるレインウェアの選び方

1.上下セパレートタイプを選ぶ
2.フードの大きさとフィット感をチェック
3.パンツの裾が短くないかチェック
4.靴を履いた状態でパンツをはけるか?

■基本を押さえて、高機能レインウェアを準備しよう!

レインウェアは山登りの必需品

レインウェアは、雨などで服を濡らさないために着るウェアです。そのため、防水性があり、登山専用のモデルには内側に発生した湿気を逃がす透湿性も備わっています。

突然の雨に備えよう

山では晴れていても突然雨が降ることがあり、麓が晴れていても山頂付近は雨、という状況も珍しくありません。

雨が降る山道でレインウェアを持っていないと、着ている服が濡れてしまい、急激に体温を奪われてしまいます。これは、低体温症につながる危険な状況。雨による低体温症を防ぐために、レインウェアは山登りに欠かすことができない大切な装備なのです。

ただし、このように紹介すると「晴れている日に山に登れば必要ない」と思われるかもしれません。でも、用途は本当に雨を防ぐだけでしょうか?

ウインドブレーカーや保温着の役割も

9月下旬の巻機山。早朝、山頂付近はガスに包まれ、風も強かったためレインウェアを着て下山した

稜線で風が強いとき、レインウェアを羽織ると冷たい風を防ぐことができるので、ウインドブレーカーの代わりとして活躍します。

一方、風が吹いていなくても標高が高くなるにつれ気温が下がり、寒さを感じたら、レインウェアを着ると内側に体温がこもるので、暖かいと感じます。この場合は、保温着のような役目を果たしていると考えられるでしょう。

このように、レインウェアは雨の日だけでなく、さまざまなシーンで出番が多い、万能ウェアでもあるのです。

ビニールガッパや傘じゃダメ?

とはいえ、レインウェアは高価なアイテム。購入に躊躇する方もいるでしょう。

しかし、傘や数百円のビニールガッパは、レインウェアの代わりになりません。傘は雨を完全に防げず、風にあおられてバランスを崩す危険もあり、片手が塞がってしまうなど、山登りで使うには少々不都合。ビニールガッパは透湿性がないため、立ち止まっているだけでも体の熱で内側が蒸れてしまい、着ているウェアがかえって汗で濡れてしまいます。

ビニールガッパを羽織ると、数分も経たずに内側が汗でベトベトなってしまった

山に登るには、防水性と透湿性を持つ高機能なレインウェアが必要不可欠。私生活でも使えるアイテムなので、前向きに購入を検討しましょう。

4つのポイントで分かるレインウェアの選び方

市場にはたくさんの高機能レインウェアがありますが、押さえておきたいポイントは4つ。基本となるレインウェアの選び方を見てきましょう。

1.上下セパレートタイプを選ぶ

最近は上下別々に購入するモデルが主流。中には上下セットの商品もある。モンベル/トレントフライヤージャケット Men's、ストームクルーザーパンツ Men's

稜線では風によって雨が下から舞い上がることもあるため、山で着るレインウェアは、ジャケットとパンツが分かれるセパレートタイプを選びましょう。

ポンチョはバックパックの上からかぶれるようにサイズが大きい。モンベル/トレッキングレインポンチョ

ただ、アウトドア用のレインウェアのなかには、ポンチョと呼ばれる上からかぶるタイプもあります。主に樹林帯の中を歩くトレッキングなどを楽しむに場合には、ポンチョを選ぶのもありでしょう。

2.フードの大きさとフィット感をチェック

フードの大きさには種類があり、ヘルメットの上からかぶれる「ヘルメット対応フード」と、そうでないものがあります。とくにヘルメット対応フードは作りが大きいので、きちんとフィット感をチェックしましょう。

後頭部にあるドローコードを絞ったとき、フードが頭にピタッとフィットするか確かめます。サイズを調整した状態で上下左右に頭を動かしたとき、フードが視界を遮らないことも確認しましょう。

ちなみに、ヘルメット未対応のフードでヘルメットを装着するときは、写真のようにヘルメットの下にかぶって使います。ヘルメットの上にかぶると首周りが突っ張ってしまうので注意しましょう。

3.パンツの裾が短くないかチェック

レインウェアでサイズ選びは重要です。とくにパンツをはいて足を上げたとき、裾がずり上がらないかチェックしましょう。

もし、写真のようにレインパンツの裾が短い場合は、足を上げるたびに登山靴の中に雨水が侵入してしまうので注意が必要です。

4.靴を履いた状態でパンツをはけるか?

レインパンツは雨が降り出したらはくものなので、靴を履いたまま着用することもあります。そのため、靴を履いた状態でスムーズに足を入れられるか確かめておきましょう。

確認したいポイントは、裾の外側にあるファスナーの長さです。長いほど着用しやすく、短いほどはきにくいといえます。

両サイドが開くタイプは立ったままはくことができ、内側も靴に付いた泥などで汚れない。モンベル/ストレッチレインフルジップパンツ Men's

なかには両側がファスナーで完全に開くパンツもあります。重量が重くなる欠点はありますが、もっとも着脱しやすいタイプといえるでしょう。

基本を押さえて、高機能レインウェアを準備しよう!

ほかにも、耐水圧、透湿性、重量など、気になるポイントはあるものの、とりあえず以下の4つの条件を満たしていれば、登山用のレインウェアは、デザインやシルエット、ポケットの数などで選んでも問題ありません。

①防水性と透湿性がある高機能モデルを選ぶ
②上下セパレートタイプがベター
③フードがフィットするもの、体に合うサイズをチョイス
④靴を履いたままパンツを脱ぎ着できる

私生活でも役立つアイテムなので、ぜひお気に入りを手に入れてください!

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プロフィール

吉澤 英晃

1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出会い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンを約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。

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