同じルートでも季節や天候により難易度は大きく変化、慎重な行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第244号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年11月18日に配信された第244号では、同じルートでも、季節や天候により、難易度が大きく変化することを説明。慣れたルートでも緊張感を持って準備・行動することを促している。

 

11月18日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第244号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 11月4日、八ヶ岳連峰の天狗岳で、単独で入山した70歳の男性が、東天狗岳から天狗の奥庭方面へ下山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

八ヶ岳連峰天狗岳の遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)11月8日付
 
  • 11月7日、北アルプスの燕岳で、3人パーティで入山した46歳の男性が、登山中に山頂付近で肉離れにより行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

北アルプス燕岳の遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)11月8日付
 
  • 11月8日、東筑摩郡筑北村の京ヶ倉で、2人パーティで入山した33歳の女性が、おおこば見晴台付近を下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。松本広域消防局消防署員及び群馬県防災ヘリが出動して女性を救助した。

  • 11月13日、浅間連峰の黒斑山で、2人パーティで入山した33歳の男性が、トーミの頭付近を下山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

浅間連峰の黒斑山の遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)11月15日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

11月1週は、2件の山岳遭難が発生しました。登山に出掛ける際に、心配する家族や友人に「いけるところまで行ってみる」「ダメだったら引き返す」「前も登ったから大丈夫」と言っていませんか? 同じルートでも、季節や天候により、難易度が大きく変化します。
また、体調や加齢による体力の低下により、以前のように計画が進まない場合も考えられます。登山は、急に引き返そうとしても、疲労や天候の悪化(吹雪・暴風雨)により、戻ることが困難な場合があります。慣れたルートでも事前の下調べを十分に行い、自身や仲間の体力・技量に見合った、無理のない計画を立てましょう。

11月2週は、2件の山岳遭難が発生しました。下山中に「あれっ!?登るときにこんな所を通ったかな?」と、ヒヤッとしたことはありませんか。登山の際、登りと下りでは、登山道や景色の見え方が違うものです。特に、広い尾根や沢、登山道が大きく屈折する場所などでは迷い込みやすいため、特段の注意が必要です。
また、この季節は落ち葉や積雪などにより、登山道やマーキングが不明瞭になっている場合があります。登山計画を立てる際には、あらかじめ危険箇所や道迷いしやすい箇所を確認しておくとともに、登山中には分岐点やポイントごとで、地図や登山アプリを確認しましょう。

県内では紅葉の見頃を迎えていますが、平地でも氷点下を観測する季節となっています。里山でも稜線などで風の吹き曝しに合うと、一気に低体温症となり、行動不能となる場合があります。観光気分の登山は、思わぬ遭難につながることから、しっかりと下調べを行い、準備をしましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(9月22日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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