本格的な雪山シーズンを迎えようとしている県内の山では万全の準備をして入山を 島崎三歩の「山岳通信」 第246号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年12月8日に配信された第246号では、本格的な冬山シーズンを迎えた県内の登山では、慎重な計画と無理のない行動が今まで以上に必要となることを説明している。

 

12月8日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第246号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 11月23日、上田市の独鈷山で、単独で入山した54歳の男性が帰宅せずに行方不明となる山岳遭難が発生。警察・消防の捜索により、24日に男性を発見・救助した。男性は下山中に滑落して負傷していた。

  • 12月5日、南アルプスの塩見岳で、単独で入山した33歳の男性が塩見岳から鳥倉登山口に向けて下山中に転倒して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。6日に飯田警察署員、飯田広域消防本部救助隊員及び下伊那地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動し、男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

11月4週は、1件の山岳遭難が発生しました。県内は厳しい冷え込みとなり、平野部でも降雪がありました。また、標高が高い山域では、数十センチの積雪となり、本格的な冬山シーズンを迎えています。今後は降雪により、登山者のトレース(足跡)が消失するため、ラッセルやルート判断を行わなければならず、夏山登山以上に時間や体力、知識や技術が必要になります。特に単独登山は、その全てを一人で行わなければならないことから、慎重な計画と無理のない行動をお願いします。

なお、県内は平地でも氷点下を観測する季節となっています。里山でも稜線などで強風に見舞われると、一気に低体温症となり、行動不能となる場合があります。観光気分の登山は、思わぬ遭難につながることから、しっかりとした装備を携行しましょう。

12月1週は、1件の山岳遭難が発生しました。県内の標高が高い地域ではまとまった降雪があり、本格的なスキーシーズンを迎えようとしています。しかし、このシーズンに例年発生するのが、バックカントリーエリアでの遭難です。同エリアは、非圧雪、非整備の斜面を滑走できることが醍醐味ですが、スキー場とは異なり、雪崩をはじめ、立木や岩への衝突、沢などに転落するリスクが伴うほか、転倒などにより深い雪に埋まった場合には、自己脱出が困難になる場合があります。これらのリスクを認識するとともに、単独での入山は控え、雪崩対策装備(雪崩ビーコン・プローブ・ショベル)を携行しましょう。また、スキー場を利用する際には、必ずルールを確認し、滑走禁止エリアには立ち入らないようにするとともに、マナーを守って楽しく安全に滑りましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(9月22日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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