アイゼン着用での歩行時は普段との違いを意識して慎重な足運びを 島崎三歩の「山岳通信」 第248号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年1月13日に配信された第248号では、アイゼン歩行中に転倒する事故について言及。無雪期との違いを意識しながらの慎重な歩行を行うことを促している。

 

1月13日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第248号では、期間中に起きた5件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 1月4日、中央アルプスの宝剣岳で、3日より単独で入山していた47歳の男性が、山荘を出発後に行方不明となる山岳遭難が発生。山岳遭難救助隊員、駒ヶ根警察署山岳遭難救助隊員、中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会救助隊員及び県警ヘリが出動して捜索、8日に男性を発見・救助した。

  • 1月9日、八ヶ岳連峰の赤岳鉱泉で、2人パーティで入山していた46歳の女性が、中山乗越から赤岳鉱泉に向けて下山中にバランスを崩して負傷する山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊員が出動して女性を救助した。

  • 1月9日、中央アルプスの宝剣岳で、2人パーティで入山していた46歳の男性が、八丁坂付近を千畳敷に向けて下山中に転倒して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。駒ヶ根警察署山岳遭難救助隊員及び県警ヘリが出動し、男性を救助した。

中央アルプス千畳敷での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)1月11日付

  • 1月9日、下高井郡の毛無山で、野沢温泉村のスキー場を2人で訪れていた35歳の男性が、コース外をスノーボードで滑走中に友人とはぐれて、連絡が取れなくなる山岳遭難が発生。飯山警察署員、志賀高原地区山岳遭難防止対策協会救助隊野沢温泉班員、スキー場パトロール隊員が出動し、道に迷っていた男性を発見・救助した。

  • 1月10日、下高井郡の毛無山で、野沢温泉村のスキー場のコースを外れて下水内郡栄村の山林内を滑走していた男性2人(49歳及び45歳)が、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。11日に飯山警察署員、志賀高原地区山岳遭難防止対策協会救助隊員及びスキー場職員などが出動して男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

1月2週は3連休を中心に5件の遭難が発生しました。冬山登山では滑落防止のため歩行時にアイゼンを装着しますが、アイゼン歩行は前爪等をひっかけて転倒したり、いつもよりも靴底が高くなるため捻挫をしやすいなどの危険性があります。また靴の重量が増すために足に疲労がたまりやすくなります。「アイゼン歩行=危険地帯」という認識を持つとともに、歩行時には普段との違いを意識して慎重な足運びを心がけてください。

また、バックカントリー中の道迷いも2件発生しています。スキーやスノーボードで誤った方向へ入り込んでしまうと、復旧は非常に困難です。事前に地図等でエリア全体をよく確認してから滑走してください。また、緊急時に備えシェルター、コンロ、行動食等を必ず携行しましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(1月7日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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