那須・茶臼岳 快晴・微風の那須岳で大展望を楽しむ
冬季は比較的晴天率が高い那須岳ですが、晴れていても猛烈な風が吹き荒れることで知られています。数少ない冬型気圧配置の小休止の晴れ間を狙って茶臼岳に向かいました。
厳冬期の雪山登山は、気象条件が厳しく登頂に至らず撤退することも珍しくありませんが、ようやく冬型気圧配置が小休止するタイミングをねらって那須岳・茶臼岳山頂をめざしました。
冬季は那須ロープウェイが運休、また、県道17号(那須高原線)が大丸温泉から冬季通行止めになるため、大丸駐車場から歩きだします。
大丸駐車場には、駐車の列と、早くも出発の準備をする登山者たちの姿が見られました。すでに登山指導所までのトレースもできています。登山口の鳥居は人の背丈まで雪に埋もれていました。
しかし、峰の茶屋跡まで来ると、雪は風で吹き飛ばされて黒い地面がところどころ露出しています。ゴロ石が露出しているのでアイゼンではかえって歩きにくいほどです。晴れでもある程度の強風は覚悟していましたが、この日は、いつもはすさまじい風の吹く峰の茶屋跡避難小屋までもほとんど無風でした。
茶臼岳山頂ではさすがに風が出てきましたが、那須岳では微風といってよいでしょう。茶臼岳の山腹を巻くようにガレ場を登っていきます。火口壁に出て、祠が見えてくると、まもなく山頂です。山頂からは360度の展望と雪に覆われた三本槍岳と荒々しい岩がむき出しになった朝日岳が対照的に並ぶ様が見て取れます。
帰路は往路をもどり、外輪山を半周して峰の茶屋跡避難小屋へ戻ります。剣が峰の雪の斜面には朝日岳へ向かうトレースがついていました。
天候に恵まれて、撤退が続いた今冬季、雪山の初のピーク登頂を勝ち取り、爽快な青空と雪山の360度の大展望を楽しむことができました。(取材日=2019年2月3日)
※積雪期の山は、雪の状態や天候によって、難易度、コースタイムが大きく変わります。計画時には必ず出発前後の天候やエスケープルート、山小屋などの避難できる場所を確認しておきましょう。
プロフィール
奥谷晶
30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。
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