長野県内の山は厳冬期。ルート、天候、装備品の点検・確認を入念に 島崎三歩の「山岳通信」 第249号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年1月27日に配信された第249号では、県内は強い寒気が流れ込み、北部を中心に大雪となっている状況を説明。ルート、天候、装備品の点検・確認を入念に行うことを促している。

 

1月27日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第249号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 1月16日、北アルプス小遠見山で、北安曇郡白馬村のスキー場に訪れた女性2人(25歳、28歳)がスノーボードでコースを外れて滑走中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。大町警察署山岳遭難救助隊が出動して女性を救助した。

  • 1月17日、八ヶ岳連峰天狗岳で、71歳の男性、84歳の男性、71歳の女性の3人パーティが、天狗岳から中山峠方面に下山中に吹雪により行動不能となる山岳遭難が発生。18日に茅野警察署山岳救助隊員及び諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊などが出動して、3人を発見して救助したものの、女性の死亡が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

1月3週は1件、4週は1件の山岳遭難が発生しました。

スキー場コース外(バックカントリーエリア等)は、非圧雪、非整備の斜面を滑走できるのが醍醐味ですが、雪崩のリスクが高く、雪の下には樹木や岩が隠れていたり、沢の中には穴が空いていたりする場合もあります。また、転倒などにより深い新雪に埋まった場合には、自己脱出が困難になるばかりか、窒息してしまう場合もあります。
これらのリスクを認識し、単独での入山や滑走を控え、雪崩対策装備を必ず携行しましょう。また、スキー場を利用する際には、必ずルールを確認し、滑走禁止エリアには立ち入らないようにするとともに、マナーを守って楽しく安全に滑りましょう。

県内は強い寒気が流れ込み、北部を中心に大雪となっています。標高が高い山域では、積雪量が増加しており、登山中に深い新雪に埋もれた場合には、自己脱出が困難になる場合もあります。また、稜線は猛烈な吹雪により視界が無くなってしまう、いわゆるホワイトアウトになることもあります。
県内の山は厳冬期であり、気温がマイナス20度前後になる山域もあるなど、非常に過酷な環境となっています。ささいな準備不足や判断ミスが致命的な遭難につながるため、計画の際には、ルートや天候の確認、装備品の点検を入念に行い、悪天候の際には、登山の中止をお願いします。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(1月7日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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