ちょっと足を延ばして鎌倉へ。歴史薫る切通しと展望を楽しめる衣張山ハイキング

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ちょっと足を延ばして行ける東京近郊の低山は、思い立ったら行動でき、手軽に登れる利点がある。そこでおすすめしたいのが、湘南・鎌倉エリアの山。海のイメージが強いこのエリアだが、手ごろなハイキングコースが多い。今回は、見どころが多く、展望のよい鎌倉の衣張山をご紹介。

写真=根本絵梨子、文=久田一樹

コース最高地点パノラマ台からは鎌倉市街や相模湾が一望。天気がよければ富士山も!

コース最高地点パノラマ台からは
鎌倉市街や相模湾が一望。
天気がよければ富士山も!(10月撮影)


鎌倉市街の南東部に位置する衣張山は、源頼朝や北条政子にまつわる逸話があり、巡礼道としても長く歩かれてきた山。標高は121mで、初心者や子どもと一緒でも楽しめる、鎌倉エリアでも人気の低山だ。

鎌倉駅からバスで6分ほどの長勝寺バス停からスタート。JR横須賀線の踏切を渡り、住宅地を進んで名越切通登山口を目指そう。登山口を登り始めると、眼下に横須賀線の線路を見下ろしつつ、天気がよければ富士山の姿も眺められる。

名越切通の登山口は住宅地からすぐ。この案内板が目印なので、見落とさないように

名越切通の登山口は住宅地からすぐ。
この案内板が目印なので、見落とさないように

登山口から少し進むと、JR横須賀線の線路を見下ろす場所から富士山が見える

登山口から少し進むと、JR横須賀線の線路を
見下ろす場所から富士山が見える


山道に入ると、間もなくうっそうとしたシダの森となり、住宅地のすぐ近くながら、山深い雰囲気へと変わる。石段が続く道を歩いていくと、やがて国史跡で鎌倉七口のひとつ、序盤の見所でもある「名越切通」が出現。名越切通は三浦半島と鎌倉を結ぶ要所で、鎌倉時代にタイムトリップしたかのような、しっとりとした雰囲気がじつにいい。

名越切通までは、シダが生い茂るうっそうとした雰囲気の道を進む

名越切通までは、シダが生い茂る
うっそうとした雰囲気の道を進む

名越第二切通。かつては幅2.7m以上あったが、崩落等で現在は最狭幅90cmに

名越第二切通。かつては幅2.7m以上あったが、
崩落等で現在は最狭幅90cmに


名越切通の北尾根には、こちらも国史跡で約150穴もの「まんだら堂やぐら群」があり、毎年春と秋には期間限定で一般公開されている(詳細は要問合せ)。

名越切通。鎌倉時代にタイムトリップしたかのような雰囲気をしばし味わおう

名越切通。鎌倉時代にタイムトリップ
したかのような雰囲気をしばし味わおう


名越切通から来た道を戻り、名越切通との分岐を衣張山方面へと尾根道に入っていくと、20分ほどで「お猿畠の大切岸」へ。高さ3~10mの断崖が約800m続く昔の石切り場跡で、少し手前には広場もあるので、休憩にもよい。

高さ3~10mの断崖が約800m続くお猿畠の大切岸。石切り場の跡といわれている

高さ3~10mの断崖が約800m続くお猿畠の大切岸。
石切り場の跡といわれている


そこから衣張山方向に進むと、約25分でコース最高地点のパノラマ台に到着。しばらく相模湾と鎌倉市街を眺めたら、鎌倉市子ども自然ふれあいの森へ。屋根つきの東屋もあるので、こちらでひと休みするのもいいだろう。ふれあいの森からは巡礼古道との分岐を経て、短いアップダウンを越えると、いよいよ衣張山山頂だ。鎌倉の街と由比ヶ浜海岸、稲村ヶ崎などが一望でき、広々とした展望が素晴らしい。

衣張山山頂からの展望。鎌倉市街と材木座、稲村ヶ崎や江ノ島方面が一望できる

衣張山山頂からの展望。鎌倉市街と
材木座、稲村ヶ崎や江ノ島方面が一望できる

案内板の奥に見えるのは、岩をくりぬいて作られたやぐら(横穴式の墓跡)

案内板の奥に見えるのは、岩をくりぬいて
作られたやぐら(横穴式の墓跡)


衣張山からは杉林を下り、コース右手にやぐらが現れたら山道が終了。田楽辻子のみちを経て、杉本観音バス停までは近い。ハイキングの後は、鶴岡八幡宮や小町通りなど鎌倉周辺をぶらっと散策するのもまた楽しい。

*本記事掲載の写真は2021年10月撮影。

モデルコース:長勝寺バス停~名越切通~大切岸~衣張山~杉本観音バス停

衣張山地図

コースタイム:約2時間~2時間30分

⇒衣張山の地図をヤマタイムで確認する

ぶらり休日 鎌倉・三浦・湘南エリアのハイキング案内

鎌倉・三浦・湘南エリアは、街のすぐそばに低山や丘陵が広がり、初心者やファミリーでも気軽に歩けるコースが多い。富士山の展望、豊かな自然、街並みや海の眺め--。海だけではない魅力を味わいに、次の休日、でかけてみよう。

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