秋晴れの那須岳を歩いて姥ヶ平の紅葉を眺め、大丸温泉旅館で野天風呂と地酒を楽しむ

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第33回は那須岳と奥那須温泉へ。

写真・文=月山もも

那須岳の主峰であり、関東地方を代表する活火山の茶臼岳は、那須ロープウェイを使って気軽に火山らしい地形が楽しめる人気の山です。

茶臼岳の少し先にある「姥ヶ平」周辺は紅葉が美しいことでも知られており、10月上旬から中旬ごろに見頃を迎えます。10月の秋晴れの下、那須岳を歩くことにしました。

 

茶臼岳を鮮やかに彩る姥ヶ平の紅葉に感動

普段はロープウェイを使わずに峠の茶屋から歩くことが多いのですが、今回は紅葉をじっくり眺める時間を確保したいので、ロープウェイを活用します。

那須ロープウェイ山頂駅から歩き始めると、快晴の秋晴れです。

茶臼岳にはまずは登頂せず、巻き道を通って「牛ヶ首」分岐に向かいます。

牛ヶ首に向かう途中、山肌が赤い絨毯を敷いたように鮮やかに紅葉していました。分岐からは20分ほど、姥ヶ平に向けて下っていきます。

平日だというのにたくさんの人が歩いていて驚きましたが、茶臼岳を彩る姥ヶ平の紅葉は混雑も納得の美しさ。

少し先にあるひょうたん池で、茶臼岳が鏡のように映る「逆さ茶臼」を楽しんでから来た道を戻ります。

牛ヶ首からは峰の茶屋方向に向かい、茶臼岳の山頂へ。登る途中に振り返ると、三本槍岳に向かう途中の山肌も赤く染まっていて、あちらの山もまた歩きたいなと考えたり。

山頂に着いてもずっといい天気で、幸せな気持ちでロープウェイ山頂駅に戻ります。

 

畳敷きで椅子もベッドも快適なベッドルーム

ロープウェイで山麓駅に着いた後は、15分ほど歩いて本日のお宿「大丸温泉旅館」へ。今回は歩きましたが、那須塩原駅行きのバスに乗って向かうこともできます。

 

宿泊するお部屋は、畳敷きのお部屋にダブルベッドを置いた和ベッドルーム。

ベッドは広く寝具はふかふか。窓際に置かれた椅子も座り心地が良く快適です。

部屋の一角にはライティングデスクが置かれていて、ライトやコンセントも設置してあります。Wi-Fiも完備なのでワーケーションでも利用できそうですし、とても気に入りました。

 

広い野天風呂で自然の中の湯浴みが楽しめる

浴室は「男女別の内湯」「女性専用の露天風呂」「混浴の野天風呂」「宿泊客専用の貸切浴室」があり、いずれも夜通しの利用が可能です。

女性専用の露天風呂は2つあり、1つは内湯から少し階段を上ったところにある「石楠花の湯」です。

屋根付きなので雨天時にも安心して入ることができるのがうれしいですね。
もう1つの「山ゆりの湯」は、石楠花の湯からさらに階段を上った場所にあり、屋根や塀など周囲を遮るもののない、開放的な露天風呂です。

メタケイ酸豊富な美肌の湯が大量にかけ流され、まるで川の中で湯に浸かっているような気分を味わえます。

2つの露天風呂でも十分楽しめますが、さらに広々とした混浴の野天風呂も利用可能です。

肩紐のあるワンピースタイプの湯浴み着が用意されており、宿泊客は滞在中、何枚でも新しい湯浴み着を使うことができます。男性も湯浴み着を着けていますので混浴のハードルは低めです。開放的な混浴野天風呂を存分に楽しむことができました。

宿泊客限定の貸切風呂は内湯ですが、1人で使うにはもったいないほど広いです。予約不要で空いているときに鍵をかけて入ります。

大浴場が混んでいるタイミングで貸切風呂を利用させてもらい、1人でゆったりと極上のお湯に浸かることができました。

 

地酒飲み比べを楽しみつつ源泉しゃぶしゃぶ

食事は朝夕共に食事処でいただきます。個室っぽい造りになっており、1人でも人目は気になりません。

ドリンクオーダーは卓上のタッチパネルで行うようになっていました。さっそく、利き酒セットの「茶臼」をオーダー。

利き酒セットは3種類用意されており、1人でもさまざまな種類のお酒が楽しめるのでありがたいですね。

お刺身は「鮪、鯛、かんぱち、ヤシオマス」です。ヤシオマスは、栃木県で品種改良されたニジマスだそうですが、脂がのっていてとろけるおいしさでした。

焼き魚は「鰆のポテト焼き」。
上品な味付けでお皿も素敵。添えられた金柑の甘煮も爽やかな甘さでした。

メイン料理は「栃木県産黒毛和牛の源泉しゃぶしゃぶ」です。左が温泉水を使った出汁で、白いほうは白味噌ベースのオリジナルの出汁だそう。野菜も新鮮です。

揚げ物は「メヒカリと山菜の天ぷら」を山椒塩で。
日本酒がすすむお味で利き酒セットも飲み終わり、ご飯とデザートをいただいてお腹いっぱいになりました。
 

朝食も昨夜と同じ個室食事処で。ご飯と温泉粥の用意があり、お粥をいただきます。

鍋の中身は鶏団子の入った具沢山の味噌汁。食欲の湧いてくるおいしい朝食でした。

 

*紹介した食事、サービスの情報は2022年4月取材時の内容です。
 

大丸温泉旅館

料金:1泊2食付き/1室1名利用18,700円~ ※プラン、時期によって変動
住所:栃木県那須郡那須町湯本269
電話:0287-76-3050
HP:http://www.omaru.co.jp/

那須岳データ

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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