福岡近郊の低山・雷山で樹齢400年の大カエデの紅葉と展望を楽しむ

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九州でも紅葉は1000m級の山へと下りてきました。福岡近郊の低山・雷山で大カエデの紅葉と展望を楽しむハイキング。

 

駐車場から雷山千如寺に立ち寄る

 

九州の屋根と呼ばれる久住山などの標高の高い山の紅葉が終わると、地元の1000m級の山にも紅葉が降りてきます。

福岡近郊の低山で紅葉を楽しむなら、福岡・佐賀の県境を東西に走る脊振山地の西にある雷山(らいざん)を思い浮かべます。

雷山自然歩道を飾る紅葉と、山頂からの展望。そして山麓には奈良時代開山の名刹・雷山千如寺大悲王院(だいひおういん)にある樹齢400年以上の大カエデと千如寺の少し上にある雷(いかずち)神社の推定樹齢1000年の観音杉や、大銀杏など紅葉の名所とともに山をも楽しめます。

見頃は11月初旬から中旬です。雷神が住むと言われた霊峰を彩る紅葉と、山頂からの展望を楽しみに登ってみます。

 

モデルコース:雷山観音前~清賀の滝~雷山(往復)

浅間山外輪山地図

コースタイム:3時間20分

⇒雷山周辺の地図


 

雷山の登山口となる「雷山観音前」バス停までは、公共交通機関利用であれば筑前前原駅からコミュニティーバスが運行されていますが、大カエデのシーズンになると渋滞必至です。平日を狙うか朝早く駐車場につくようにしましょう。コミュニティーバスの時刻表は糸島市のホームページで確認できます。

車の場合は、「雷山観音前」バス停付近に広い駐車場とトイレがあります。駐車場の山ナビBOXには、登山の参考になる「糸島の山歩き」リーフレットがあります。

駐車場には登山コースや花名が掲載されたリーフレットがある

 

リーフレットを手に、混み合う前に大カエデの紅葉を見ることにします。雷山千如寺大悲王院は、1000年を超える歴史を持つ名刹です。入山料(100円)を支払い前庭にある大カエデの紅葉を楽しみます。樹齢400年の堂々たる存在感の大カエデは、福岡県の天然記念物でもあります。

下山時に立ち寄るのであれば、ゆっくり堂内を拝観(拝観料400円)することをおすすめします。

雷山千如寺の大楓

 

大カエデの紅葉を楽しんだら、来た道を少し戻り「雷山自然歩道」の案内板から右へ曲がります。これより先も案内板が整備されていて安心です。

最奥の民家を過ぎると、沢沿いの岩がゴロゴロした道に代わり、林道を2回横断すると雷山千如寺を開山した清賀上人にゆかりの清賀の滝に着きます。ベンチで滝を見ながらひと休みして、これからの急坂に備えます。

これからの上りに備えて清賀の滝のベンチで一休みしよう

 

滝にかかる木橋を渡ると、尾根の急坂が始まります。やがて、傾斜が緩むと山腹を巻き頭上には紅葉が広がります。

頭上に気を取られていると、クサリが設置された右は崖になった場所が現れ、ここは慎重に通過し、2箇所の枯れた谷を過ぎると木々に囲まれた中に立派な石祠が祀られた雷神社上宮につきます。最後の休憩ポイントです。

山頂へは更に急坂になり、岩や木の根を掴んで山頂にたどり着く険しい道になります。

雷山自然歩道の紅葉。危険箇所もあるので足元には注意を

 

尾根にブナが現れるとまもなく山頂です。三角点と大岩のある山頂は、北に玄界灘、遠くは雲仙岳が望まれ、岩に立てば井原山からの縦走路や、その先に続く脊振山系の長い尾根が一望できる素晴らしい展望が楽しめます。

時間が止まったような静かな場所に雷山神社上宮はある

 

山頂の巨石からは、博多市街や玄界灘が見渡せる

展望に満足したら、来た道を登山口まで戻ります。時間があれば、登山口から最初に出合う分岐の雷山周回自然歩道を通り、雷神社の観音杉や大銀杏を見に行くこともできます。

 

 

プロフィール

池田浩伸

佐賀県佐賀市在住。8年間NPOで登山ガイドや登山教室講師を務めた後、2019年くじゅうネイチャーガイドクラブに所属し、阿蘇くじゅう国立公園をメインに登山ガイドや自然保護活動を行なう。著書に『九州百名山地図帳』『分県ガイド 佐賀県の山』(山と溪谷社・共著)がある。

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