「近所の山で、道迷い遭難防止のために、登山道に道標を設置!」…でもそれ、法律違反かも?

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「えっ!?違法なの?」とならないために…

『アウトドア六法』(山と溪谷社)では、登山・キャンプ・焚火・釣り・シーカヤックなどアウトドアに関わる法律をわかりやすく解説。

本書より、登山に関する内容を抜粋して紹介します。

 

Q. 遭難しないために登山道に道標を設置したのですが、法的に問題はないでしょうか?

A. 勝手に道標を設置すると法律違反になる可能性があります。

 

緊急時を除いてむやみにテープを設置するのはやめておこう

 

法律に違反する場合

登山道に道標を設置する法的責任を負っているのは、登山道の所有者か管理者だけです。遭難防止のためとはいえ、勝手に道標を設置することはできません。もし、誰でも自由に道標を作ってしまうと、自然景観を損ねることにもなってしまいます。自然公園の特別保護地区や特別地域では、道標は「工作物」とみなされるため、国や都道府県の許可なく設置すると自然公園法で罰せられたり、原状回復を命じられることも考えられます。

道迷いをしそうな登山道に道標を設置したいと思ったら、自分の判断で勝手に行わず、まずは登山道の管理者に連絡を入れてみましょう。管理者がわからない場合は、所轄の地方自治体の観光課などに聞いてみるとよいでしょう。

また、道標と同じようにルートの目印として樹木にテープやリボンが設置されていることがありますが、これも無許可での設置はNG です。雪山やヤブこぎ登山では、道に迷わないための緊急避難行為として、黙認されていることも多いのですが、山の所有者や管理者が管理上の支障になると判断したら、撤去されても文句は言えません。

 

守るべきマナー

雪山やヤブこぎ登山で道迷い防止のためにテープやリボンを設置した場合、使用後は帰りに外していくのがマナーです。目立つ色の残置テープは、山の景観を損ねることになりますし、ビニールなどの素材は、自然分解しないので環境破壊につながります。また、明確にルートを示したテープではない限り、ほかの登山者に誤解を与えて道迷い遭難を誘発する危険もあります。目印テープは残置しないように気をつけましょう。

 

※本記事は、『アウトドア六法 正しく自然を楽しみ、守るための法律』を一部抜粋したものです。

 

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