街から山までシームレスに! スリーシーズン活躍する山シャツカタログ

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山シャツは、春・夏・秋と、長いシーズン活躍してくれる登山の定番ウェア。昔ながらのデザインに見えるけれど、実は最新の高機能素材を採用したり、シルエットもトレンドを反映したものになっていたりと、進化を続けているアイテムでもある。人気登山ブランドの2023年春夏の最新モデルを紹介しよう。

構成=ヤマケイオンライン編集部

 

 

進化する山シャツ

昭和の登山者の定番コーデといえば、ツイードのニッカーボッカーズにチェックの山シャツ。平成に入ってニッカーボッカーズがストレッチ素材のスラックスに替わっても、山シャツはスタンダードであり続けた。そして現在、登山ウェアのバリエーションは飛躍的に増えたが、まだまだ山シャツファンは多い。かつてはウール一択だった素材も多様化し、シーズンや登山シーンに合わせて最適な一着を選べる時代になっている。そんな山シャツの最新モデルを、人気登山ブランドの担当者に紹介してもらった。

※掲載商品はメンズまたはユニセックスモデルです。ウィメンズモデルは各ブランドのウェブサイトでご確認ください。

 

日本の技術で生み出された新素材

ミレー ワシ+ チェック クイックドライ シャツ ロングスリーブ
ミレー ワシ+ チェック クイックドライ シャツ ロングスリーブ


[ここに注目!]
マニラ麻から生まれた和紙素材を採用した長袖シャツです。コットン以上の優れた耐久性、高い速乾性、通気性を兼ね備えた和紙繊維に、ポリエステルの耐久・速乾性とストレッチ糸の高いフィット感をミックスした糸を採用しました。それを日本で200年以上の歴史を誇る先染織物「播州織」の生地に仕上げました。さらに和紙糸繊維の中の微細な空洞によって天然の吸放湿性・消臭効果も実現。ナチュラルなクレープ感はサラリとした肌離れのよさと風通しの良さとともに、清涼感のある外観が楽しめます。丈夫で長持ち、生分解性素材である原材料を使用することで環境への負荷も考慮しています。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
高い速乾性と天然の吸放湿を持っているため、汗をかくシーンでも快適に着続けることができるおすすめの一着です。和紙の中にある微細な空洞が保湿・消臭するため、登山ウェアとして必要充分な機能を持ち合わせています。肌に優しく、環境負荷の少ない天然素材は爽やかな着心地で、アウトドアから日常まで様々なシーンで活躍してくれます。

[SPEC]
価格:14,960円(税込)
重量:334g
素材:ポリエステル66%、ワシ30%、ポリウレタン4%
サイズ:XS~XL
カラー:サファイア(写真)など全3色
商品リンク:https://www.millet.jp/c/men/tops/MIV02010

【紹介してくれた人】
ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン マーケティング 古谷 奏さん
幼い頃からスキーをするのが好きで、昔から通っている斑尾で滑ることが多いですが、ここ数年は北海道や新潟や白馬などでも滑ることが多いです。来シーズンは、ゲレンデだけでなくバックカントリーにも行きたいと思います。

 

 

メリノウールと化繊のいいとこ取り

モンベル メリノウール ライト ロングスリーブシャツ
モンベル メリノウール ライト ロングスリーブシャツ


[ここに注目!]
吸放湿性と防臭効果の高いメリノウールと速乾性に優れるポリエステルの混紡糸を使用した薄手の長袖シャツです。上質なメリノウールを使用しているので、汗冷えしにくく、においを抑えます。吸放湿性にも優れるので、暑い季節も蒸れを感じにくく快適な着心地です。夏山登山や長期縦走だけでなく、旅行や普段使いにもおすすめです。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
メリノウールの天然素材ならではの吸放湿コントロール力によって吸い取った汗を緩やかに外に逃がすため、急激な蒸発で体温が奪われることがありません。また、防臭効果により不快なにおいなども発生しにくくなっていますので、今年縦走登山を計画されている方にぜひ試していただきたいです。防縮加工を施しているため縮みにくく、ご家庭でも手洗いによる洗濯が可能なのもおすすめポイントです。

[SPEC]
価格:12,760円(税込)
重量:221g
素材:メリノウール70%/ポリエステル30%
サイズ:XS~XL
カラー:グレー(写真)、ネイビー(着用写真)など全4色
商品リンク:https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1114621

【紹介してくれた人】
モンベル広報部 狩野剛史さん
登山好きな両親の影響を受けてモンベルに。好きなアクティビティは登山全般、トレイルランニング。休日は大好きな奥武蔵エリアのどこかで遊んでいます。

 

 

冷却素材でクールに

コロンビア エンジョイマウンテンライフオムニフリーズゼロロングスリーブシャツ
コロンビア エンジョイマウンテンライフオムニフリーズゼロロングスリーブシャツ


[ここに注目!]
コロンビア独自の冷却機能「オムニフリーズゼロ」を搭載したトレッキングシャツ。独自の吸湿速乾機能「オムニウィック」も搭載しており、きめ細かなストレッチメッシュ素材を合わせて使用することで、瞬時に生地の水分を蒸発させ、気化熱による冷却効果を高めます。シャツ襟はスタンドタイプにも変形し、強い風や紫外線から首元をしっかりとガード。パッカブル仕様になので、中低地での炎天下の体温調整のシャツとして持ち歩きにも便利なアイテムです。ボタンを閉めてスタイリッシュに、開けて羽織り物としても重宝します。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
コロンビアの夏の定番テクノロジー「オムニフリーズゼロ」を、ハイキング向けのウェアに初めて搭載しました。近年の夏は高温になることが多く、低山でも熱中症の危険性があるほどです。そこで冷却機能の搭載されたウェアを着用することで快適な登山をサポートしてくれます。着用感は少しゆったりめで、肌に張り付くことも少なくサラッと着られるのもうれしいポイントです。街でも山でも、この一着で暑い夏を乗り越えましょう!

[SPEC]
価格:14,850円(税込)
重量:210g
素材:ポリエステル100%
サイズ:S~XL
カラー:ストーンブルー(写真)、ブラック(着用写真)など全3色
商品リンク:https://www.columbiasports.co.jp/shop/g/gPM0510010----S000/

【紹介してくれた人】
コロンビアサポートアスリート・登山ガイド 伊藤 伴さん
当時日本最年少でエベレスト、ローツェに連続登頂。現在は登山ガイドとして活動しながら、国内外でフリー、アルパインクライミング、バックカントリースキー、キャンプなど四季を通してアウトドアフィールドで活動している。

 

 

驚異的な風通しのよさ

アクシーズクイン ロングスリーブベンチレーションシャツ
アクシーズクイン ロングスリーブベンチレーションシャツ


[ここに注目!]
50.1cm3/cm2・sという驚異的な通気度の素材を採用した、なにも着ていないくらい風通しのいいシャツです。それならそのシャツ着なくてもいいのでは?と思うかもしれませんが、一枚あるだけで体感が違います。ちょっとだけ暖かく、それでいて暑くならない、そんな感じです。夏山縦走やハイキングでなにか一枚着ていたいというときにおすすめです。涼しさを確保しながら気になる身体のラインをカモフラージュすることができます。また、ストレッチ性のある素材なので運動のストレスがありません。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
素材の特長COOL DOTSはリップストップの交差点に小さな穴を開けることで50.1cm3/cm2・sという驚異的な通気度を実現した素材で、これによって汗の水蒸気を素早く効果的に放出します。よく見ると小さな穴が無数に開いていて、とても風通しが良いのですが、不思議と、着ている時は透けにくい高機能な生地です。蒸し暑い時期でも肌に張り付かず、サラッとした着心地でとても快適です。速乾性が高いので、汗をかく時期や、水辺のアクティビティにもおすすめです。

[SPEC]
価格:20,900円(税込)
重量:208g
素材:ポリエステル100%
サイズ:S~XL
カラー:ダークネイビー(写真)、グレージュ(着用写真)など全3色
商品リンク:https://online-store.sohshin.net/products/detail/3173

【紹介してくれた人】
双進 マーケティング 細川 淳さん
丹沢の山奥で山菜取りや渓流釣りに親しみながら育ち、今は東京とハイブリッド生活を送っています。

 

 

海から山までどこへでも!

パタゴニア メンズ・セルフガイデッド・ハイク・シャツ
パタゴニア メンズ・セルフガイデッド・ハイク・シャツ


[ここに注目!]
工場の従業員にプレミアム賃金が支払われるフェアトレード・サーティファイドの縫製で仕立てられた本製品は、トレイルや水辺、旅先などで多用途に使えるシャツで、速乾性が高くお手入れも容易です。軽量なリサイクル・ポリエステル100%のリップストップ生地はUPF(紫外線防止指数)40+のUVプロテクションを提供し、ボタン留めフラップ付きの特徴的なポケットの片方にはペンやサングラス用のスリットも備えています。クラシックなデザインのボタンダウンの襟は風の強い稜線でもバタつかず、背中の両サイド施した縦型のベンチレーションはバックパック着用時も動きやすさと通気性を確保するなど、シンプルながら山シャツとして活躍するポイントが満載。海から山までほとんどのフィールドにお供してくれる超お友達シャツです。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
街で着ても違和感のないシンプルなデザインと、存在を意識させない軽量さなので気がつけば出発のドアから帰宅まで着続けていることが多いです。ストレートではなくドロップした裾のラインでバックパックのウェストベルトなどを上からしっかり留められるので、薄着で直接肌にベルトが食い込むようなことがなく、バックパックとの相性がいいのが気に入っています。

[SPEC]
価格:9,900円(税込)
重量:173g
素材:ポリエステル100%
サイズ:XS~3XL
カラー:ジャーニーズ:ファータイルブラウン(写真)など全3色
商品リンク:https://www.patagonia.jp/product/mens-self-guided-hike-shirt/41905.html?dwvar_41905_color=JYFE

【紹介してくれた人】
パタゴニア日本支社 マーチャンダイジング 小倉隆平さん
神戸市は六甲山の麓で生まれ週末は山歩きか釣りをして育った。その後北海道での釣り、山歩き、スキーに明け暮れる日々を卒業後、パタゴニアに入社。写真は木製の山シャツを着て歩いた大峯奥駈での1枚。

 

 

シルエットと機能性の好バランス

ロジャーエーガー ヤマシャツデュアルロングスリーブ
ロジャーエーガー ヤマシャツデュアルロングスリーブ


[ここに注目!]
山シャツを再構築した全く新しいロングスリーブYAMAシャツ。立体構造3Dカットを採用し、ゆとりあるシルエット構造にすることで、オールシーズン活躍する山シャツジャケットです。軽量&撥水、4WAYストレッチの高機能ポリエステル素材を採用。ノーリップでシワになりにくいマットな風合い。持ち運びを考慮したポケッタブル仕様になっており、トレッキングだけでなくさまざまなアウトドアアクティビティ時に活躍します。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
非常に肌触りがよくシンプルなデザイン、かつポケッタブルのため携行性にすぐれています。トレッキング時のウィンドシェル代わりにもなり、アフター登山、帰りの電車などでも違和感なく使えるオールラウンドなシャツジャケットです。スナップボタンのため、体温調整がしやすい点も好印象です。

[SPEC]
価格:14,080円(税込)
重量:263g
素材:ポリエステル100%
サイズ:S~LL
カラー:ベージュ、ネイビー(写真)
商品リンク:https://rogeregger.com/collection/re23svt5610021/

【紹介してくれた人】
ロジャーエーガー プロダクト企画 勝山 徹さん
夏はランニング、トレイルランニング、冬はスキーを楽しんでいます!

 

 

タフな探検家に着てほしい一着

ジャック・ウルフスキン ディスコベラロングスリーブシャツ
ジャック・ウルフスキン ディスコベラロングスリーブシャツ


[ここに注目!]
ワッシャー加工を施したリサイクルナイロン仕立てのリップストップ素材を使用、探検家のためのコレクションであるディスコベラシリーズからのボタンシャツです。袖にはロールアップタブを搭載、衿先のボタンを留めればスタンドカラーとしても着用できる、ヘリテージで頑強なジャックウルフスキンらしいデザイン。ベンチレーションとミニポケットを備えるチェストフラップは、突然の雨からカメラなどの機材を守るシーンで活躍します。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
ジャック・ウルフスキンの本国、ドイツでDISCOVERAと呼ばれているシリーズです。かなりファッションっぽい見た目とは裏腹に、胸元や裾のベンチレーション、日焼けを防止できる首周りのボタン、袖の剣ボロもかなり合わせが深いので砂やほこりも侵入しづらいといった機能性ももっています。

[SPEC]
価格:17,600円(税込)
重量:295g
素材:ナイロン100%
サイズ:M~XXL
カラー:ミスティグリーン(写真)
商品リンク:https://www.jackwolfskin.jp/jw-jp/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%82%A2%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%AB/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%84/DISKOVERA-LS-SHIRT-M/p/1403921_5150_

【紹介してくれた人】
ジャック・ウルフスキン マーケティング担当 宮城義真さん
年20~30泊程度のキャンプに加えて、登山やサップなどアクティビティの活動領域が毎年増え、週末を満喫するアウトドア好きの人。でも、いちばん焚火が好き。

 

 

着るだけで涼しくなる高機能素材

フォックスファイヤー Cシールドプレザントシャツ
フォックスファイヤー Cシールドプレザントシャツ


[ここに注目!]
特殊セラミック繊維による遮熱効果で衣服内温度-3℃を実現した「コカゲシールド」素材のチェックシャツ。紫外線を遮断することにより、淡色でも高いUV遮蔽率を発揮します。吸汗速乾性に優れ、部分収縮糸によるナチュラルな素材感が特徴です。

[ブランド担当者の「ここがおすすめ!」]
化繊100%の素材でありながら、 目が粗くザラっとした麻のような生地感で、盛夏でも涼しく着られるので普段着からアウトドアまで重宝しています。

[SPEC]
価格:13,200円(税込)
重量:150g
素材:ポリエステル100%
サイズ:S~XL
カラー:グリーン(写真)、インクブルー(着用写真)
商品リンク:https://www.foxfire.jp/onlinestore/groups/3108

【紹介してくれた人】
ティムコ Foxfireプロモーション担当 菅野周平さん
アウトドアでの遊びといえばもっぱら渓流釣り。ルアーやフライで渓魚とたわむれています。

 

 

もう一度山シャツはいかが?

着心地がよく、高機能なアイテムがどんどん登場する登山ウェアの世界にあって、ベテラン登山者からは「昔は着ていたんだけど・・・」という声が聞かれるアイテムが山シャツ。襟がついていて、フロントとカフをボタンでとめるデザインは、ジップアップシャツなどに押されて昔ほど山で見なくなった。しかし、姿を消すどころか、じわりと存在感を増してきている印象すらある。

その理由の一つが、山シャツがもつゆとりある雰囲気だ。登山がスポーツ的になる一方で、あまりに機能を全面に押し出したスタイリングに抵抗を覚える人も少なくない。体にフィットして、どこまでも伸縮するぴっちぴちのシャツ。鮮やかな発色のウインドシェル。ヘルメットに身を固めて挑むアルプスなら似合うかもしれないが、樹林帯をのんびり歩く週末のハイキングではちょっと大仰だったりする。下山後、駅前のしゃれた店でちょっとビールでも、というときにも、周囲の人とのギャップに気が引けることもある。そんなときに羽織っているのが山シャツだったりすると、たちまち違和感なくその場の雰囲気に溶け込むことができるのだ。決して機能至上主義ではない。マイペースは崩さず、余裕を忘れない。そんな気配が漂うのが、シャツという登山ウェアだ。往年のベテランだけでなく、若い人にも愛用者が多いのは、そんなシャツならではのテイストに由来するのではなかろうか。

加えて、素材の進化もシャツの人気を後押ししている。ウール、ナイロン、ポリエステルといった登山ウェアでは定番の素材も、さまざまな織り方・編み方で、特有の機能を持たせることができる。暑い季節なら通気性や紫外線カットを重視した素材。春や秋なら防風性や、ほどよい厚みで保温性を重視した素材。和紙を織り込んだ肌触りのよい生地もあれば、ポリウレタンで伸縮性をもたせたものもある。季節や標高などに合わせて最適な一着を選べば、登山中の快適さはぐっと向上するのだ。

かつて山シャツを着ていたという人は、最新のシャツを試してほしい。これから登山を始めるという人や、まだ山シャツを着たことがないという人も、ぜひ山シャツを。不動の定番アイテムが愛されてきた訳を肌で知ることができるはずだ。

登山ギアカタログ

登山の必需品からプラスアルファのアイテムまで、注目の最新登山ギアを紹介します。

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