雨が降ってもレインカバー不要。梅雨時にも活躍する防水バックパックカタログ

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天気予報に雨マークが並んでも、やっぱり登山は諦めたくない。晴れだと思っていたのに、突然雷雨が・・・。そんなときに活躍してくれる、防水タイプのバックパックをセレクトしてみました。

構成=ヤマケイオンライン編集部

目次

バックパックの中は絶対に濡らしたくない、
雨の日の登山(写真=菅原孝司)

 

 

増えてます、防水バックパック

登山用バックパックのカテゴリで、このところ増えているのが防水性を高めたモデルだ。梅雨のシーズンはもちろんだが、夏に限らず突然の雷雨が珍しくなくなった昨今、荷物の雨対策をどうしたらよいのか、ちょっとした悩みを抱えている人も多いはず。これまではバックパックの中で防水袋で小分けに防水し、さらにパック全体をレインカバーで覆うというのがスタンダードだったが、それならパック自体を防水にしてしまえば…という発想で各社さまざまなプロダクトを開発している。ここでは、個性的なバックパック8タイプを集め、各ブランドの担当者におすすめのポイントを聞いてみた。

 

背負いやすさも妥協なし

ドイター デュラセント 30
ドイター デュラセント 30


[ここに注目!]
全ての縫い目にシームテープ処理が施された生地とロールトップの開口部の組み合わせで高い防水性を誇ります。必要に応じて各種装備を外付けすることができるアタッチメントポイントを設けるだけのシンプルさが特長です。ULパックに見られる簡易なタイプのウエストベルトではなく、フルサイズのヒップフィンを備えているのは、パッキングした時の荷重はしっかりと腰で支えるというフィロソフィーを持つドイターらしさかと思います。背面に内蔵されたウレタンパッドは取り外すこともでき更なる軽量化を図ることが可能です(最小重量680g)。

[ブランド担当者のインプレッション]
1年前にはじめてサンプルを手にした時の驚きは「えっ⁈これ、ドイター?」とベタな感想と共に当惑したのを覚えています。必ずしも万人におすすめできるバックパックではありませんが、必要以上の機能を排し軽さとシンプルさに特化したこのパックは、必要なモノと削れるモノの選択ができる経験と技術を積み重ねているのであれば一目に値する存在かと思います。

[SPEC]
価格:40,700円(税込)
容量:30L
重量:730g
カラー:シナモン×インク
商品リンク:https://www.iwatani-primus.co.jp/products/deuter/items/D3364123/index.html

【紹介してくれた人】
イワタニ・プリムス 
ドイター担当 山本大貴さん

国内のドイター担当として製品の企画からプロモーション、営業を主に担当。ヒマラヤのアルパインクライミングからエル・キャピタンのビッグウォール、厳冬期の黒部横断まで広く山を楽しみ、そして挑戦を続けています。

 

防水インナーが標準装備

モンベル アルパインパック40
モンベル アルパインパック40


[ここに注目!]
モンベルでは操作性・防水性に優れるロールアップシステムを搭載したバックパックを多数取り揃えています。今回紹介するアルパインパック40は2023年春夏の新モデルです。シームテープ処理を施したアクアバリアサックを備え、高い防水性を保ちながら手早く荷室の開閉が可能です。また狭い登山道でも邪魔になりにくいスリムなシルエットながら、ショルダーハーネスの高さを3段階に調整でき、体格に応じて最適なフィッティングができるため、高い安定性を実現しています。付属のトップリッドは取り外してショルダーポーチとしても使用可能で、山頂へのアタックなどに活用できます。

[ブランド担当者のインプレッション]
ロールアップシステムの防水性の高さはもちろんですが、高さ調整ができるショルダーハーネスとともに快適な背負い心地を実現しているのもおすすめポイントです。本体には超軽量を実現するアルミニウム製ステーが背中の曲線に合わせて内臓されており、歩行時にはステーが上体の動きに追随してくれるため安定感もあります。今回紹介した40Lのほかにも100Lから30Lまで幅広いサイズを展開していますので、ぜひ多くの方に店頭で試していただきたいです。

[SPEC]
価格:26,400円(税込)
容量:40L
重量:1490g(アクアバリアサックを含む)
カラー:ブルー(写真)など全3色
商品リンク:https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1133364

【紹介してくれた人】
モンベル広報部 狩野剛史さん
登山好きな両親の影響を受けてモンベルに。好きなアクティビティは登山全般、トレイルランニング。休日は大好きな奥武蔵エリアのどこかで遊んでいます。

 

毎日使いたくなる収納力

マウンテンハードウェア 
シムコ28バックパック
マウンテンハードウェア シムコ28バックパック


[ここに注目!]
フィールドとタウン両方で使える完全防水バックパック。TPUコーティングとフルシームテープ処理を施し、止水ジッパーを採用した完全防水仕様で、日常使いしやすいデザインとマウンテンハードウェアならではの機能性をミックスしました。パックの最下部までフルオープンでき、メインコンパートメントへのアクセスや荷物の整理も簡単です。15インチのPCスリーブは面ファスナーで着脱でき、単体でも使用可能。上部にサングラスや小物の収納に適した裏地付きポケットを配し、ウォーターボトル用のサイドポケットも備えています。

[ブランド担当者のインプレッション]
完全防水なので、デイハイクなどでも活躍しますが、これからのシーズンの突然の雨や、ロードバイク乗車時などのように傘をさせないシチュエーションでも重宝します。PCスリーブもあり、ガジェットを収納するポケットも豊富にあるので、ミニマルなデザインながら非常に使い勝手がよいバックパックです。

[SPEC]
価格:27,500円(税込)
容量:28L
重量:900g
カラー:コンバットグリーン(写真)など全2色
商品リンク:https://www.mountainhardwear.jp/shop/g/gOU3325004--OZS000

【紹介してくれた人】
コロンビアスポーツウェアジャパン 
プレス 五十嵐将人さん

ニュージーランドへの留学から自然や山にはまりました。トレイルランニング、スノーボードが好きなアクティビティ。好きな山は乗鞍岳で、今年はすでに10回くらい行っています。近郊では高尾山でトレイルランニングをすることが多いです。

 

防水バッグの代名詞のバックパック

オルトリーブ エートラック
オルトリーブ エートラック


[ここに注目!]
「旅」をルーツに持つ、機能性、耐久性に優れたドイツの防水・防塵バッグメーカーのオルトリーブ。トラベルバッグとバックパックの機能を備えたエートラックは、バッグ背面に大きな開口部がある斬新なデザインで、荷物のパッキングや出し入れが素早く行えます。防水性と耐久性に優れたPVCフリーナイロン素材とTIZIPジッパーを採用し、高度な溶着技術で作られており、防水防塵等級はIP67。通気性が良く、長さを調整できるショルダーストラップと、収納ポケット付ウエストベルトは、高いフィット感と快適な背負い心地で、トレッキング、サイクリング、スキーツーリング、カヌーなどさまざまなシーンで活躍します。

[ブランド担当者のインプレッション]
特徴的な開口部は、荷物の出し入れが素早く行えるだけでなく、ファスナーが背中側にあるので中身の盗難防止にも役立ちます。防水性が極めて高く、悪天候でも中身が濡れる心配がないので、絶対に濡らしたくないカメラなども収納でき、安心してアクティビティを楽しめます。バッグと背中の間には適度な空間があり通気性も良好。体型に合わせて調整できるショルダーハーネスとヒップベルトには適度な厚みのパッドを採用し、体の動きに追従して快適なフィット感をもたらします。夏はハイク、冬はウィンタースポーツと、季節を問わず一年中アクティビティを楽しむ方におススメのバックパックです。35Lのほかに45Lも用意されています。

[SPEC]
価格:41,800円(税込)
容量:35L
重量:1470g
カラー:ペトロール(商品写真)、ルイボス(仕様イメージ写真)
商品リンク:http://g-style.ne.jp/item.php?brand_id=21&item_category_id=76

【紹介してくれた人】
ピーアールインターナショナル 
オルトリーブセールス担当 鈴木貴光さん

冬は大日岳、白馬八方尾根をメインにスキーを楽しみ、春夏は仕事仲間とMTBで近隣の山を楽しんでいます。今年からトレイルランも再開する予定です。

 

超軽量でパッカブル

マタドール フリーフライ16
マタドール フリーフライ16


[ここに注目!]
マタドールの中で、軽さ・パッカブル・防水性能を極めた高機能なシリーズ「アドバンスド シリーズ」のモデルです。重量190gで、付属のコンプレッションバッグに入れると、手のひらサイズの小ささになります。超軽量のUHMWPE強化Robicナイロンが優れた耐久性を発揮し、UTSコーティング、シールされた縫い目、シールされたジッパーが天候に左右されないデザイン軽量、コンパクトながら、ギアループ、ツール用ショックコードキャプチャー、バックル式コンプレッションストラップ、サイドポケットなど使いやすい機能が満載です。

[ブランド担当者のインプレッション]
2~3時間程度の山歩きのほか、アタックザックとして、あるいは旅行のときに小さくして持っていっています。軽くて小さくなるところ、ショルダーベルトがメッシュなので、汗抜けがよいところが気に入っているポイントです。ベルトにパッドはありませんが、幅も広めなので、肩に負担はかかりません。

[SPEC]
価格:11,000円(税込)
容量:16L
重量:190g
カラー:ブラック
商品リンク:https://aandfstore.com/products/20370044001000

【紹介してくれた人】
エイアンドエフ マタドール担当 我田文哉さん
新潟県出身。一年を通して自然とアウトドアに触れる環境で育つ。近年では渓流釣りを始め、源流域での野営が楽しみの一つに。

 

防水+タフネス

クラックス RK20
クラックス RK20


[ここに注目!]
クラックスの防水バックパックは大きく分けて2種類あり、トップリッド(雨蓋)付きのAKモデルとトップリッドなしのRKモデルがあります。トップリッド部分のポケットは完全防水ではありませんが、本体のメイン気室は両モデルともに完全防水です。今回おすすめするのはよりシンプルなトップリッドなしのRKモデル最小容量の「RK20」です。クラックスの防水バックパックは、ケブラーとナイロンを組み合わせた防水生地を使っているのが特徴です。ケブラーとは非常に強度の高いアラミド繊維で、同じ重量ベースで鋼鉄の10倍の引張強度を誇ります。そして、その生地を縫製ではなくウェルディング(溶着)で繋ぎ、バックパックを作り上げています。生地の継ぎ目だけでなく生地の破れも心配ないので安心して長くお使いいただけます。RK20は日本からリクエストしたモデルで、ほかの容量の大きなモデルにはない、ショルダーが水抜けのよいメッシュ素材になっています。日帰りのハイキングや沢登りにぴったりのサイズなので、これからの季節に活躍しますよ。

[ブランド担当者のインプレッション]
クラックスのバックパックは本当にタフな作りで安心して使用できます。岩に擦り付けても破れる心配がないので、沢登りやヤブこぎ、クライミングでも気にせず山行に集中できます。そしてシンプルで無駄のない無骨なデザインも気に入っている重要なポイントです。

[SPEC]
価格:36,300円(税込)
容量:20L
重量:895g
カラー:ペトロール(商品写真)、ルイボス(ディテール写真)など全3色
商品リンク:https://store.staticbloom.co.jp/products/crux-rk20

【紹介してくれた人】
スタティックブルーム 橋本尚紀さん
夏はテント泊縦走や沢登り、トレイルラン等、冬はバリエーションやアイスクライミング、スノーランが好き。最近の目標は家族でテント泊縦走です。

 

エコバッグのようなドライバッグ

エクスペド スプラッシュ15
エクスペド スプラッシュ15


[ここに注目!]
完全防水フルシームのドライバッグがリュックになったスプラッシュ15。背負うだけでなく、ショルダーストラップの位置を移動すれば、メッセンジャーバッグのように斜め掛けにもできる2way仕様なので、登山はもちろん、フェスや旅行などにも大活躍!100gと超軽量なので、エコバッグのように常に鞄に入れておきたいとても優秀なリュックです。

[ブランド担当者のインプレッション]
お気に入りのスプラッシュに、今年は、エクスペド40周年限定アニマルプリントバージョンが発売される予定なんです! 各色で違う動物のイラストがプリントされたデザインなので、全種類コンプリートするつもりです。

[SPEC]
価格:4,620円(税込)
容量:15L
重量:100g
カラー:ゴールド(写真)など全6色
商品リンク:https://online-store.sohshin.net/products/detail/2609

【紹介してくれた人】
双進 マーケティング 細川 淳さん
丹沢の山奥で山菜取りや渓流釣りに親しみながら育ち、社会人になってからは山岳会に所属、今は東京で働きながら丹沢とのハイブリッド生活を送っています。

 

普段使いもしやすいすっきりデザイン

アークテリクス グランヴィル 16 バックパック
アークテリクス グランヴィル 16 バックパック


[ここに注目!]
ミニマルなフォルムと独特の質感により、スタイリッシュさが光る都会派のバックパックですが、アークテリクスが厳しい環境下で培ってきた革新的な技術を盛り込んだ贅沢なアイテムのひとつ。シームテープで仕上げたAC²(高性能コンポジット構造)技術システムが優れた防水性を誇り、ウォータータイトジッパーが雨や雪の侵入を防ぎます。大容量のメインコンパートメントにはPCを保護できるパッド入りのスリーブ、付属品などを収納できるメッシュのジッパーポケットがあり、外側のトップに配置されたキークリップ付きジッパーポケットには、貴重品がしっかり収納可能。ラミネート入りバックパネルにより、背負ったときの快適さと安定性も抜群です。

[ブランド担当者のインプレッション]
シンプルでスタイリッシュなデザインなので、カジュアルはもちろんフォーマルな服装にも合わせられるのがよい。また見た目以上に容量もあり、小物の整理や取りやすさにおいても大変使いやすいです。PCや充電コードなど重量のあるものを収納しても重みを感じにくく、多少走っても体に寄り添ってくれる上、天候の変化を気にすることなく過ごすことができるため、街中でも山でも多様なシーンで活躍する使用頻度の高いアイテムです。

[SPEC]
価格:30,800円(税込)
容量:16L
重量:760g
カラー:フォレッジ(写真)など全2色
商品リンク:https://arcteryx.jp/products/x000005342

【紹介してくれた人】
アークテリクス 
マーケティング 新井望由季さん

自然に囲まれた環境で育ち、植物と生き物好き。時間のある日は自然の中へ。

 

防水バックパックを選ぶ、使う

一口に防水バックパックといっても、商品によって使い勝手も防水性能もさまざま。通勤や通学などでの使い勝手を重視したものから、高い防水性能によって沢登りでも使えるものまである。また、サブザック的に使いやすいパッカブル仕様のものもあり、これらはパック内での防水袋としても使える。まずは自分の使用シーンをイメージしてみよう。

また、防水バックパックを使うときに気をつけたいのは、防水性能が高くても、使い手のミスで浸水することもあるという点だ。いくら防水のファスナーを採用していても、自分がファスナーをきっちり閉めていなかったら水が簡単に浸入してしまうし、雨に降られながらバックパックを開け閉めしていると、雨水やレインウェアから滴る水が内部に入ってしまうこともある。絶対に濡らしたくないものは個別に防水する、出発前にはバックパックがしっかり閉じているか確認するなど、使い手側が防水性を台無しにしないための工夫をすることも重要だ。

最後に、防水タイプのバックパックを使う時のアイデアを一つ。レインカバーを使わなくて済む代わりに、パック自体はずぶ濡れになる。ぽたぽたと雫が落ちるバックパックをそのまま山小屋やテント、公共交通機関、マイカーに持ち込むのはためらわれる。そんなときに備えて、パックのいちばん取り出しやすいところに、多少汚れても構わない速乾タオルやセームタオルを一枚入れておこう。ざっとパック全体を拭き上げてしまえば、廊下やテント内、車内を濡らす心配はずいぶん軽減されるはずだ。便利なアイテムは使い手の工夫次第でもっと便利になる。防水パックを使いこなして、長雨のシーズンも登山を楽しもう。

目次

登山ギアカタログ

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