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梅雨の晴れ間、八ヶ岳で大幅リニューアルされた定番テントを試す! プロモンテ/VL-16(1人用)

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2017年06月25日

今月のPICK UP プロモンテ/VL-16(1人用) [プロモンテ]

価格:43,000円+税
重量:1,210g(本体+フライシート+ポール)

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早々にテント場到着! まずは立てながら細部のパーツまでをチェック!

日本の大半の地域では梅雨入りを迎えた。しかし、いまのところあまり大雨が降ることもなく、山は明るい光とともに夏っぽさを増していっている。

そんなタイミングで僕が出かけたのは、八ヶ岳。新しいテントを試すのがひとつの目的で、そのためには少しくらい天気が悪いほうがよいくらいだ。だが好天を恨めしく思うほど僕はひねくれておらず、晴れ晴れとした気分で登山口に到着した。

出発地点の稲子湯を出発すると、すぐに森のなかに入る。一応は梅雨入りしており、しかも平日とあって、人気山域といえども登山者は少なめだ。

雲ひとつない好天で、日差しを浴びた緑がまぶしい。

標高を上げていくと、みどり池のキャンプ指定地に到着する。

時間はまだ9時ほどで、テント場には当然のように誰もいない。しらびそ小屋で受け付けをしたときに確認すると、この時期はテント泊の者が少なく、2日に1人程度のようだ。今晩は僕ひとりだけかもしれない。

さて、今回持ってきたテントは、プロモンテの「VL-16」である。「VLシリーズ」は同社の定番だが、今期から大幅にリニューアル。この一人用モデルは、名称も昨年の「VL-15」から「VL-16」へと数字がひとつ上にあがっている。

設営を進めながら、各部の確認を進めよう。
色はイエロー系からライトブルー系へチェンジ。発色もきれいで、非常に新鮮だ。

上の写真は収納の状態で、フライシートとインナーテント、ペグがひとつの袋に収められている。だがフライシート用のスタッフバッグは別途付属し、ペグも専用の袋に入れられているので、4つに分けて収納することも可能だ。

ポールは折り畳むと、長さ37㎝。これくらい短くなれば、パッキングには困らない。接続部分は色分けされてわかりやすく、透明な樹脂製のセンターハブがついている。これにより、2本のポールが直角に交わりつつ、ポールのテンションによってインナーテントの壁が高く立ち上がるわけだ。

一方、ポールの末端は樹脂製の白い球形になっている。これは、この部分をインナーテントのスリーブに差し入れたときに、生地を傷めないための配慮だ。

実際に、ポール末端をスリーブ内に入れると、以下のようになる。ポール末端が球形であれば地面と擦れても過度な摩擦は起こらず、生地は破れにくい。

よい工夫だと思う。ちなみに、VL-16のスリーブ部分は、テントのボトムに近い末端の4カ所のみ。
末端のスリーブを除けば、インナーテントはポールに吊り下げるシステムだ。その連結はポールの天井部分につけられたハブと特殊形状のフックで行なう。このフックはスクリューフックと呼ばれ、2つのフックのあいだにポールを入れ、90度ひねることによってロックされるというもの。慣れていないと少しのあいだは戸惑うが、安定性は高く、手間もかからない。

これらのフックは、取り付けられた場所の一部分にだけ力がかかりすぎないように、他のフックと連動して、インナーテントを「線」で引っ張り上げるデザインになっている。さらにその帯状の部分に使われているのは、メッシュ素材。風を受けても圧力を逃し、破損を防ぐ工夫だ。

ここまで説明すればおわかりだろうが、VL-16の組み立て方法は、いわゆるスリーブ式と吊り下げ式のハイブリッドである。構造が複雑になるので、人によっては使いにくいと思うかもしれないが、2つの方式のよい点を組み合わせた結果といってよいだろう。何度かテントを立てる練習をすれば、あとは誰でも簡単にすばやく設営できるはずだ。

換気用のベンチレーターは2か所に設けられている。
ひとつはフライシートの正面の上部。メッシュ生地の上に張りのあるパーツで屋根のような庇ができ、つねに隙間が空いているという構造だ。

こうなるとつねに風が流れ、テント上部に溜まりがちな熱気が逃げやすい。ただし、インナーテントとは連動していないので、テント上部といっても、インナーテントとフライシートのあいだの空気ということである。

もう一カ所のベンチレーターは、裏側にある吹き流し型だ。こちらはインナーテントとフライシートが連動し、雨の吹込みを避けながら、内部の熱気を逃がす役割を果たしている。

インナーテントの内側からベンチレーターを見ると、メッシュ素材で二重になっていることがわかるだろう。通気性を確保しつつも、虫の侵入は防いでいるのだ。

張り綱が結び付けられている部分や、ペグを打つときに使うループなどの取り付け箇所などは、どれも補強されている。

これらの部分に使われているロープは非常に細い反面、適度な硬さがあってほどけにくく、同時にからみにくい。だから、とても扱いやすいのだ。こういう点まで素材が厳選されているとは感心する。

ペグは12本。最近は、フロア部分などに使う最低限の本数しかペグが付属しないテントも増えていて、しっかりと強度を出すためには自分で買い足さねばならず、少々面倒だ。だが、このテントは張り綱までを含む、すべての部分に使う本数があらかじめ付属している。当たり前のようなポイントだが、好印象だ。

素材は、メーカーの表記ではアルミとなっているが、正確にはアルミニウム合金であるジュラルミンだろう。より硬度が高く、断面が「く」の字型で折れ曲がりにくいので、破損の恐れは少ない。

軽さと強さ。テントとしてバランスのよい実用的な設計

では、改めて全体を見てみよう。

昨年までのVL-15の重量は、約1,350g。今期のVL-16は約1,210gとなり、140gの軽量化を実現している。具体的には、破損の恐れが少ない本体のパネルは20デニールのポリエステルから10デニールのナイロンに変更しつつ、傷みやすいフロア部分は以前と同じ30デニールながら、タフタからリップストップにすることで強度を増している。つまり、単に素材を変えて軽量にしているわけではなく、丈夫さをもプラスさせているのだ。また、入口のパネル部分は、VL-15では全面メッシュにできる仕様だったが、今期からは半分のみに。このディテールの変更もまた軽量化に貢献している。

個人的に高評価なのは、フロア部分の生地の厚みだ。最近の軽量タイプのテントは生地が薄く、グラウンドシートを併用しないとすぐに穴が空く。すると結局、使用時のテントの総重量はグラウンドシートを含むものになり、実際は軽量テントではなくなってしまうのだ。しかも、グラウンドシートを組み合わせるには、多少なりとも時間と手間がかかる。
その点、VL-16の生地にはいくぶん厚みがあり、耐久性に富んでいるので、必ずしもグラウンドシートを組み合わせなくてもいい。もちろん森林限界を超えて岩や石が多い場所ではグラウンドシートを併用すべきだが、森の中などではグラウンドシートなしでもフロアを傷めずに使えそうだ。フロアの生地を薄くすればさらなる軽量化もできただろうが、極限までの軽さよりも、生地の厚みを生かして強度を保つという実用的な設計は、すばらしいと思う。

VL-16のフロアの大きさは、間口205㎝、奥行き90㎝である。マットと寝袋を広げ、隣に大型バックパックを置くと、ぴったりと収まる。過不足ないサイズ感で、軽量さと居住性をバランスよく考えていることが伝わってくる。

テント内でちょっとしたものを収納するポケットは前後に2か所。だが、かなり小さい。就寝時、僕はこのようなポケットにメガネやヘッドランプ、腕時計などを入れることが多いが、これではそのなかのひとつくらいしか入らないのだ。このポケットを大きくしても、さほど重量増になるとは思えない。もっとサイズアップしてもよいのではないだろうか?

前室も適度な広さで、クッカーや水筒、ブーツなどは十分に置くことができる。

今回は好天だったので換気性を高めるために、フライシートと地面との間の隙間を大きくとった。だが、雨が降っているときはフライシートの裾がもっと地面に寄るようにペグを打つとよいだろう。

テントの設営を完了すると、僕はみどり池へ。

その後、ここから中山峠へと登り、稜線を南下していった……。

しかし、八ヶ岳の稜線歩きについての話は、次回に。
今回は天狗岳西峰の山頂の写真だけ、お見せしておこう。

雲は出てきたが、梅雨とは思えない天気。気分は上々だ。

本沢温泉経由でテント場に戻る。今日はこれから夕飯を作って寝るだけだ。のんびりと山中生活を楽しみながら、ディテールのチェックを進めていきたい。

何度かテント内に出入りし、パネルを開け閉めしているうちに気になったのが、入口を開けておくときに使用するヒモ状の留め具だ。下の写真の右上にぶら下がっている白いものなのだが、これがあまりに長く、テント内でブラブラしている。

実際、こちら側に頭を向けて寝転んだり、起き上がったりするたびに頭や顔に触れ、少々不快だ。しかし、まあ我慢できるレベルではある。

だが、この部分が長すぎるゆえに、入口のパネルがたるんで留めにくくなるのにはストレスを感じてしまった。ヒモでしっかり留めようとしても、左下の写真のようにするのが精いっぱいなのだ。そして、少しすると緩んできて右下の写真のように入口のパネルがだらしなく垂れ下がる。こうなると出入りのときには非常に邪魔になり、それどころかときには自分の体が上に乗って生地を引っ張ってしまい、テントに大きな負荷を与えてしまう。入口のパネルのたるみは、山中生活に支障が出るほどなのだ。

また、留める部分が上部の1カ所しかないので、中央から下は生地を丸めておいても、少しずつほどけ、ますますたるみがひどくなる。とはいえ、留める部分が2か所になっても面倒そうで、現実的ではない。やはりもっとしっかりと締められるヒモや留め具を、中央付近にひとつつけたほうがよいのではないだろうか。

それにしても、どうしてこんなに長いのだろう? インナーテントとフライシートをいっしょにまとめられるようにとの配慮かと考え、2ついっしょに留めてみる。

すると、たしかに十分に留められる長さをもち、それどころか両方をいっしょにまとめてもまだまだ長すぎることがわかる。やはり、これが大きなメリットとは思えない。

だが、この部分が「長すぎる」という問題は、簡単に解決できるのが救いである。

最終的に僕は、余分な長さの分を結んで使うようにした。これだけのことだが、劇的に扱いやすくなり、もう何も問題はない。じつに単純な解決法なのであった。これがテスト用のサンプルではなく、僕の私物であれば、さっさと切ってしまうだろう。

しかし、この「留める」という点での問題は、出入り口だけのことだけではなかった。換気性を上げるために入口をメッシュパネルにして使う際にも、同様な問題が生じるのだ。

メッシュパネルにする場合は、その上を覆っているナイロンパネルを巻いて留める必要がある。しかし、そのときもしっかりと固定することはできず、生地がたるんでしまう。すると、そのたるんだ生地がテントのフロアの上に乗ってしまい、寝転んでいると体に引っかかってテントをゆがませる。ナイロンパネルはできるだけ上でまとめられるようにしてあれば、これほど邪魔には感じなかったかもしれない。

この部分にはもうひとつ問題がある。それは、そのナイロンパネルを留めるときに使うヒモの位置だ。

ナイロンパネルを留めていない状態だと、そのヒモはただ垂れ下がっている。しかしこれはファスナーと干渉しやすい場所にあり、そのために出入り口を開け閉めしていると、数回に一度はかんでしまって、開け閉めできなくなってしまうのだ。
とはいえ、かんでも外しやすい素材ではあり、ヒモが切れるわけでもない。だが、寒くて暗い夜にヒモがかんだのを直すのは非常に面倒だ。僕はこの夜、とりあえずヒモを小さく結んでおくことでできるだけかまないようにしておいたが、この部分は確実に修正してほしい。

空梅雨、降らない雨の代わりに…。水をかけて徹底チェック!

さて、この日、天気予報によれば、昼は晴れているものの、夕方からは雨のはずだった。だが、いっこうに降る気配はないのである。残念ながら、今回は降雨時のテントの様子は確認できなさそうだ。

雨を想定したとき、僕が気になっていたのは、フライシート正面のファスナー部分だ。この部分にはファスナーを隠すように数cmの幅を持つフラップがついているのだが、ただついているだけであって、ベロクロなどで留めるような仕組みにはなっていない。

つまり、風が吹くとめくれ上がり、風を伴う雨のときはファスナー部分から浸水しやすいのではないかと想像していた。しかし、この晴天では判断できない。

そこで、せめてものテストとして、フライシートのファスナー部分にボトルに入れた水をかけてみることにした。ついでに各ベンチレーターなど、浸水の恐れがある「弱部」にも、同様に水を振りまいていく。

最終的には全部で3リットルもの水をテント全体にかけてみた。だが、どこからも浸水はない。とくに心配していたフライシートのファスナー部分も大丈夫なようである。長時間、ジワジワと濡れていれば浸水してくる可能性はあるが、少なくてもインナーテント内部まで濡れる恐れは少なそうだと思われた。

フライシートの撥水性は上々だ。水は玉のように転がり、テントの表面を手で叩くと、ほとんどの水分ははじけ飛んでしまう。

あとはどれくらい撥水性が持つのかが気になるが、そもそも生地の撥水性というものは永続するものではない。他のテント同様に、いずれは撥水スプレーを使うことになるだろう。

できる限りのチェックを終え、夕食前には仮眠をとった。

小ぢんまりとした山中のワンルームマンションは、とても快適だ。自分以外は誰もいないテント場には、鳥の声しか聞こえない。こういう時間を過ごせるから、僕はテント泊で山を歩くのが好きなのだ。

いつのまにか薄暗くなり、僕は夕食を作り始めた。

僕は出入り口がテントの長辺についているモデルが好きだが、その理由はこのようにテント内に入ったままで調理をしやすいからだ。本当はテント外で調理をしたほうが安全だろうが、テントから離れた場所にクッカーを置けば大きな問題は起きないだろう。

夜になり、ランタンをつけ、天井を見上げる。

VL-16のテント内でいちばん高い場所は地面から100㎝だ。起き上がっても頭が触れず、快適性は充分である。頭がつくような低いテントは内部でかがまねばならず、腰が痛くなることもあって、僕は使わないようにしている。だが、VL-16ならばまったく問題はない。

就寝前には外に出て、最後のチェックをした。
VL-16の張り綱についている「自在」と呼ばれる留め具は蓄光性で、夜になるとぼんやりと光る。だから、暗い時間帯でも張り綱に足を引っかける心配が減り、張り綱の調整もしやすい。

さらに、フライシートとの連結部分には光を反射するリフレクターが張られて、ヘッドランプの光を反射し、遠くからでもテントの場所がすぐわかる。小さなパーツだが、この2つのディテールはとても効果的なのだった。

テントに寝転びながら、VL-16についての考えを深めた。

さすが定番シリーズのモデルだけあって、基本性能は確かなものだ。直観的に設営することができ、しかも時間はかからない。今回は雨に遭遇しなかったものの、降雨時にも大きなトラブルが生じるとは思えず、雨が多い日本で有効だろう。
ベンチレーターとメッシュパネルによる換気性にも問題はなさそうだ。ただ、メッシュ部分が少ないので、真夏は少々暑いかもしれない。だが反対に言えば、肌寒いときは無用な寒気が入りにくくて快適だということだ。僕個人としては、メッシュパネルが多いと、フライシートの裏側で結露した水分がテント内部に移りがちなので、むしろVL-16のようにメッシュパネルを最低限にとどめたもののほうが日本では使いやすいと思っている。
VL-16の弱点は、出入り口のパネルに集まっている。開けたときに生地がたるまず、確実に固定できる仕組みに改善されると、よりよいテントになるだろう。内部のメッシュパネル部分も同様だ。ひとたびテントを設営した後は、もっともよく使うのは出入り口付近なのだから、もっとストレスなく扱えるものにしてほしい。

いくらか改善してもらいたい点はあるが、軽量でいて、要所の強度は充分というVL-16の総合力は高そうである。僕ももう少し長く使い、悪天候下での実力を改めてチェックしてみたくなった。
VL-16のきれいなライトブルーは非常に目立つ。今年、このさわやかなカラーリングを山中で見かける機会は増えそうだ。

テント用品 記録・ルポ
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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