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新発想のデイパックを亜熱帯ジャングルの山でインプレ! パーゴワークス/バディ33

高橋庄太郎の山MONO語り

今月のPICK UP PaaGo WORKS/バディ33 [パーゴワークス]

価格: 18,000円+税
容量: 33L

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新しい発想を取り入れたデイパックがPaaGo WORKSから登場

日帰り山行に向く小型パックにはさまざまなタイプがそろっている。しかし、デザインに新しい発想を加えたモデルは、年にいくつも登場してくるわけではない。そして、新機軸のモデルすべてが必ずしも成功しているともいえないようだ。製品開発とは難しいものである。

今回のテストに選んだのは、「PaaGo WORKS(パーゴワークス)」の新モデル「バディ33」。落ち着いたブラウンというカラー、しかもコットンのような柔らかな風合いの生地は、近年のバックパックでは少し珍しいタイプだ。このクラシカルな見た目だけでも、強い魅力を感じる人も多いのではないだろうか?

さて、「バディ」とは「相棒」の意味。僕は毎年3月、沖縄の八重山列島に長期旅行をしており、そのあいだに亜熱帯ジャングルの山をよく歩いている。つまり、今回の沖縄の山歩きの相棒が「バディ33」なのであった。

まずはバディ33の基本構造を確認しよう。
このモデルの最大の特徴は、トップ部分にある。背負っている状態を見ているだけではわかりにくいが、じつにおもしろい構造を持っているのだ。

一見では上部の黒い止水ファスナーが内部の荷室への入り口に思えるが、これはあくまでもトップポケット。メインの荷室には別の部分からアクセスするのである。

では、どのようになっているのか? 下の写真の1枚目は背中から下ろして、斜め上から見た状態である。左右のショルダーハーネスの上にバックルがあるのがわかるだろう。これを外すと、ポケットを内蔵するフラップを上にあげられ、2枚目の写真のようになる。

その内側はコードで開閉できる巾着式で、さらにその上をストラップと連動するバックルで締め付けられる。また、フラップの裏側は大型のメッシュポケットになっている。

巾着の開閉は簡単だ。開ける場合は、左右2か所に設けられたオレンジ色の細いストラップを両手で引くだけ。ワンアクションでフルオープンし、非常に便利である。

反対に閉めるときも容易だ。コードストッパーが巾着の部分に固定されているため、片手でコードを引くだけでしっかり締まってくれるのである。荷室部分の開閉は、この仕組みだけでも十分に有用といえるだろう。

では、どうしてこの巾着の上にわざわざバックル付きのストラップも設けているのか? じつはこのストラップは本体の外側、つまり背中からいちばん遠い部分に接続している。そのために、ストラップを引き絞れば、バックパックの厚みを抑えるような状態にコンプレッションできるのだ。荷物の少ないときでもバックパック内での荷物の揺れ動きを抑制でき、使い心地がアップするというわけである。

同時に、巾着で絞った部分をポケットのようにして使うときは、内側の荷物を抑え込んで外部に落とさない役目も果たしてくれる。一時的に脱いだウェアなどを確実に保管したいときには大いに役立つだろう。

他のバックパック同様、バディ33のサイドストラップもコンプレッションに使えるようになっている。ユニークなのは、そのストラップの位置は、トグルをストラップのスリットに通すことで移動できること。だから、入れた荷物に合わせ、好きな部分でコンプレッションできる。

ただし、このストラップは途中まで厚みが2重になるように縫われているために、バックルに引っかかって最後まで引き絞ることができず、並行に取り付けている限りは10cm以下の厚みにすることができない。この部分は最後まで絞り込めるようなものであったほうがしっかりとコンプレッションをかけられて便利だったのではないか? このようにストラップを途中まで縫い付けたのは、その間にできるスペースにトレッキングポールを通してから引き絞ることによって、固定して落ちないようにと工夫できるようにしたからのようだが、どちらがより有用だと思うかは人それぞれかもしれない。

しかし、移動できるストラップはやはり使いやすい。サイドストラップはコンプレッションのためだけにあるわけではなく、もちろん荷物を固定するのにも使える。その場合も、移動できるストラップには大きな利点があるのだ。

今回は撮影のために三脚を持っていった。バディ33のストラップであれば、このように小型で短いタイプでも2か所で留めることができ、安心感は高かった。

細かな点だが、このストラップはサイドポケットの下を通すことも、上から締めるように取り付けることもできる。

サイドストラップに入れるものに合わせ、トグルを外して付け替えるといいだろう。

バディ33はポケットも豊富で、表面に見える部分だけでも、トップ、フロント、サイドのほかに本体最下部にもポケットがある。この部分には、レインカバーなどを入れるとよさそうだ。

登山口まで移動し、これから登る山々を見上げる。

 

亜熱帯の山で真価が問われる「相棒」。背負い心地、細部の使い勝手をチェック!

今回の目標はウマヌファ岳。沖縄で7番目に高い山で、標高は450m。僕は初めて登る山だが、山頂からは大展望を楽しめるらしい。その隣には沖縄で3番目に高い桴海於茂登岳(ふかいおもとだけ)もあるが、こちらは山頂が琉球竹で覆われていて眺望は期待できないので、時間に余裕があれば立ち寄ることにする。

登山口から登り始めると、登山道の左右にはシダ科のオオタニワタリ。いかにも南国らしい風景だ。

気温は20℃を越え、僕はショートパンツ姿。まさに夏を先取りである。

バディ33の背負い心地は、まったく問題ない。むしろ容量33Lの小型パックとは思えないほどすばらしく良好だ。その秘密は、背面パッドとウエストハーネス。どちらにも適度なクッション性があり、ベルクロで完全にはがすこともできて、ある程度の調整が可能なのである。

取り外せば簡単に水洗いでき、今回のような沖縄をはじめ、蒸し暑い本州の夏山でも清潔を保てる。僕は今回、外した背面パッドを休憩中のクッションにも利用したが、硬い石の上でも快適だった。

もうひとつの背負い心地のよさの秘密は、内部に入れられたフレームだ。金属などのフレームは大型パックでは珍しくないが、バディ33のような小型パックではそれほど多くはない。

しかし、このフレームがあるからこそ、荷物の量にかかわらず、つねに荷重は背中全体に分散され、疲れにくい。こんなフレームが入っていても、バディ33の重量は1050g。容量のわりに、かなり軽量といってよいだろう。

ハーネス類の調整方法も気が利いている。ショルダーハーネスのストラップはバックパックの下部2箇所と連結しているが、ストラップ1本を引くだけで全体を引き絞られる。これにより、バックパック下部のフィット感が増し、安定感が増していく。

ウエストハーネスのストラップも本体に対し、少し下向けに取り付けられている。引けば引くほどウエストハーネスは下向きになり、荷重が上がる効果が期待できるのだ。

亜熱帯ジャングルのなかを歩き続けていくと、とうとうウマヌファ岳頂上の岩場に。この山の山頂付近は背丈以上の竹で覆われ、ルートを見失いやすい。視界が開けるのは岩の上だけである。

山頂標もなにもないが、南国の暖かな風が吹き抜ける山頂はじつに気持ちよかった。

 

ヤブ漕ぎでもへこたれない丈夫さ。スリムなシルエットも◎

北側に見えるのは、桴海於茂登岳。その裏側には海も広がっている。

まだ時間には余裕があるので、やはりあちらにも行ってみることにする。遠くからはなだらかで優し気な雰囲気の山だが、ルート上のヤブはかなり激しそうである。

沢に沿った場所にある分岐から桴海於茂登岳に向かうと、案の定、ルートは完璧にヤブのなかだった。ところどころにあるピンクのテープを頼りに、深いヤブを漕いでいく。

ルートを見失いそうで大変だったが、それよりもTシャツとショートパンツで歩いていた僕はむき出しの手足が痛くてたまらない。擦り傷が少ないうちに手を打つことにする。

僕はレインジャケットなどを取り出し、ヤブから肌を守るために身に着けた。バディ33はトップだけではなくサイドも開くようになっており、奥に入れたものもすぐに取り出せるのだ。しかし、下の1枚目の写真のようにストラップが開口部にかかってしまうと、ファスナーの上げ下げがしにくくなる。

その場合は、上の2枚目の写真のように、ファスナーと干渉しない部分にストラップを移動するとよいだろう。このようなことを少し考えて調整するだけでも、使い心地は大きく変わる。

だが、どうすれば使いやすくなるのか、僕にはわからないパーツもあった。フロントポケットを閉じるためにつけられた金属のフックである。

これを細かく縫われたストラップに引っかかれば固定できるのだが、フックは少し角度がついた形状で、しかもストラップの縫いのピッチが狭いために、どのように工夫してもなかなかかけることができないのだ。荷物が多くて膨らんでいるときでも、少なくてつぶれているときでも、同じように引っかけにくいのである。正直なところ、この点はいくらかストレスを感じすにはいられなかった。もう少し、簡単にかけられるタイプだともっとよいのだが・・・。

ヤブをかき分けて到着した桴海於茂登岳は、予想通り、頭上まで竹で覆われていた。山頂から少し進んだ石の上では視界が開けたが、眺望という点ではウマヌファ岳のほうが上である。

山頂ではかろうじて三角点を確認し、僕の今回の「バディ」を置いて記念撮影。それから下山を開始していった。

フロントのフックなどは改善してほしいが、総じていえばバディ33の使い心地はすばらしいものだった。背負ってみると容量が33Lには思えず、45Lほどの大きさがあるようにも見えるが、これは厚みを抑えた分だけ高さが増しているからだろう。

今回、桴海於茂登岳ではヤブに苦しめられ、じつは下山時には完全に道を見失い、1時間以上も踏み跡すらないヤブや沢のなかをさまよった。その際、深く密生した竹林の中で体を反転させねばならないときも、厚みがないバディ33は邪魔にならなかった。また、あれだけ周囲の木や竹に引っかかり、擦り続けられていたのに、ソフトな風合いに見えていた表面の生地にも大きな傷みはない。もちろんなにかの植物による緑や茶の汚れはだいぶついてしまったのだが・・・。ルート不明瞭でヤブが深く、本州の山よりも難易度が高い亜熱帯ジャングルのウマヌファ岳、桴海於茂登岳で十分に通用したのだから、バディ33は多くの人の山の相棒になりえるはずだ。

 

ザック
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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