“地図読み”の基本、等高線の読み方を知ろう! 地図読み(1)

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岩、沢、雪とオールラウンドに登山を楽しみ、登山教室「歩きにすと倶楽部」を主宰する太田昭彦ガイドの「大人のワンゲル部」シリーズがスタート。本シリーズでは、登山愛好者として身につけておきたい知識、技術を教えてもらう。第一回目のテーマは“地図読みにおける等高線の読み方”。地図読みのベースとなる知識なので、しっかり記憶してほしい。

 

皆さん、こんにちは。山岳ガイドの太田昭彦です。登山をしている初中級者の方へ向けて、自分の力で安心&安全に山登りが出来るようになって欲しいと願いを込め、登山の知識や技術をお伝えしていく“大人のワンゲル部”を創部しました。メンバーは、部長に太田昭彦。コーチに上村博道&絵美という経験豊富な登山ガイドです。

私は、高校生のときにワンダーフォーゲル部に入部して、顧問の先生に基本的な知識を授かりました。その後、経験を積み、山岳ガイドとして長年活躍できるようになりました。何事も土台がしっかりしていなければ先に進めません。皆さんも本シリーズ「大人のワンゲル部」で、肩の力を抜いて楽しく登山の基本を学んでください。

 

地図は道に迷う前に読め!

「なぜ、地図が読めるようになりたいのですか?」

上記の質問をすると、多くの登山者が「道に迷った時に困るから」と言います。しかし、現実問題として道に迷ってから地図を広げても遅いんです(笑)。なぜなら、現在地がわかっていないと次に進べき方向もわからないからです。

私は高校生のときにワンゲル部に所属していましたが、その頃には机上登山というものを実践していました。山を登る前日に、ガイドブックを読みながら地図を広げて、登るルートを辿ってみるのです。そのためには、まず等高線を見て、地形が想像できるようにならなくてはいけません。

そこで今回は等高線の読み方を説明していきます。資料として使うのは、ヤマケイオンライン登山地図&計画マネージャ「ヤマタイム」の“高尾山”です。

*ヤマタイム高尾山の地図は コチラから(別ウィンドウで開きます)



地図では一般的に方角は上が北、下が南、右が東、左が西となります。高尾山の山頂から北に注目すると、八王子山の会山荘があります。



等高線を確認すると、その山頂から山荘に向かって等高線が張り出しているのがわかります。このように、高い方から低い方へ等高線が張り出している場所は、尾根という地形になります。もし登山中に自分が尾根上にいる場合、自分は一番高い場所にいて、周りの地形が低くなっているはずです(ルートによっては、地図上で尾根を歩くことになっていても、尾根より少し下に道が設けられていることもあります)。



次に八王子山の会山荘から、僅かに東に進むと「林道出合」があります。そこからは水色の細い線が高尾山の山頂付近まで描かれていますが、それは沢を表しています。

ここからが本題です。その沢の周囲の等高線を見ると、今度は麓から山頂に向かって等高線が張り出しているのがわかります。これが谷です。自分が沢沿いを歩いていたら、自分が一番低い場所にいて、周囲の地形はせりあがっているはずです。



また、等高線の間隔が狭い場所は、傾斜が急であることを示しています。等高線の間隔が広くて余白部分が多い場所は傾斜がゆるい、または平坦地であるということが考えられます。


地図を見て、“尾根”or“谷”、傾斜が“急”or“緩い”を判断

まずは、地図読みの基本として等高線を見たときに、“尾根”なのか“谷”なのか。傾斜が“急”なのか“緩い”のか?ということを理解できるようにしてください。それがわかるだけで、現在地を確認するための情報として、かなりの役に立つはずですし、道迷いを防ぐための大きな武器になることは、間違いありません。

プロフィール

太田 昭彦

1961年、東京生まれ。高校ワンゲル部時代に登山の魅力にはまり、高校卒業後は社会人山岳会に入会。岩・沢・雪とオールラウンドに活躍。ヒマラヤやヨーロッパアルプスの山々にも足跡を記す。登山教室・歩きにすと倶楽部主宰。日本山岳ガイド協会認定・山岳ガイドステージⅠ、埼玉山岳ガイド協会会長。

太田昭彦部長の「大人のワンゲル部」―リーダーとしての力を身につけよう―

登山初心者や、すでに山登りをしているが登山についての基本的な知識を学ぶ機会のない方を対象に、自分の力で安心して山登りが出来るようになって欲しいとの願いを込めて、登山の知識や技術を学ぶ“大人のワンゲル部”を創部しました。メンバーは部長に太田昭彦。コーチに上村博道&絵美という経験豊富な登山ガイドです。この機会にあなたも知識を身に付け、ぜひ自立した登山者の仲間入りをして頂ければ幸いです。(部長・太田昭彦)

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