このエントリーをはてなブックマークに追加

「歩行時間」「総距離」「累積標高差」から算出される指標『コース定数』で、登山コースの体力的難度を把握しよう

From 山と溪谷編集部
基礎知識 2018年05月14日

 

登山計画を行う際の難易度の目安として、「コースタイム」「標高差」「難所の有無」などさまざまな要因が考えられる。その1つの指標として、「コース定数」を取り入れてみてはいかがだろうか?

イラスト=芦野公平 文=伊藤洋平(山と溪谷編集部)

 

登山計画を立てる際に、ガイドブックを利用するケースは多いだろう。登山ガイドブックを確認すると、以下のような表記をよく目にしないだろうか。

技術度★★★☆☆
体力度★★★★☆

技術度とは求められる登山技術を示し、コース上のガレ場やザレ、ヤセ尾根の通過など、危険箇所が多いほど、★の数が多くなる。

一方の体力度は、体力面での厳しさを示していて、急傾斜の登りが長時間続いたり、アップダウンが多かったり、距離が長かったりするほど★の数が多くなる。

この星の数については、数値的なガイドラインがあるわけではない。そのため、技術度に比べ体力度はガイドブック著者の“主観”によるものが大きく、同じ★の数でもガイドブックにより違いがあるケースが散見された。

そこで近年、注目されているのが「コース定数」である。

弊社刊行の登山ガイドブック「分県登山ガイド」には、コース定数が表記されている

 

コース定数とは、「歩行時間(参考コースタイム)」「総距離」「累積標高差」の3つの要素から算出される指標で、1~100前後の数値でコースの体力的難度を示している。これまでの★に比べ、客観的に体力面の厳しさを把握できる新たな試みだ。なお、本定数は鹿屋体育大学・山本正嘉教授により定義づけられたものだ。

 

コース定数の計算方法は、下記のとおりとなっている。

1.8×行動時間(h)+0.3×歩行距離(km)+10.0×登りの累積標高差+0.6×下りの標高差(km)=コース定数

計算式は難しくはないが、見てのとおり自分で計算するのは、少し、いや、かなりめんどうだ。そこで、ヤマケイオンライン内の「登山地図&計画マネージャ・ヤマタイム」を使っての登山計画を行えば、コース定数は自動で算出できるようになった。

ヤマタイム内に掲載されている標準コースタイムに合わせて、コース定数は自動的に算出されるようになっている。

ヤマケイオンライン内の「ヤマタイム」でコースタイム付きの計画を立てると、自動的にコース定数が算出される

 

また、過去に自分が歩いたことのあるコースの数値がわかれば、その経験をもとに、いま計画しているコースの体力的難度を把握しやすい。つまり、自分の登山経験を数値化でき、自分に合った計画を立てやすくなるのだ。

なお、1日あたりのコース定数の目安は下記だ。

  • 10前後 体力的にやさしく初心者向き
  • 20前後 一般的な登山者向き
  • 30前後 日帰り登山の場合、健脚者向き
  • 40以上 日帰りでは困難。1泊以上の計画が必要

また、本定数からは、登山に必要なエネルギー量や水分補給を算出する目安を求めることができる。

疲労の防止や熱中症予防に役立てたり、予想消費カロリー/水分の目安を算出できるのも特徴だ。ちなみに、その計算式は以下のとおり。

行動中のエネルギー消費量(kcal)=コース定数×(体重+ザックの重量)

こちらも、ヤマケイオンライン内の「登山地図&計画マネージャ・ヤマタイム」を使っての登山計画を行えば算出される。

なお、水分消費量については、エネルギー消費量と同様(単位はミリリットル)で、体力の消耗を防ぐためには、算出したエネルギー消費量(脱水量)の7~8割を目安に補給すると良いとされている(夏季の場合は、補給水分は多めに設定することをオススメする、としている)。

登山計画を立てる際に、このコース定数をぜひ参考にしてもらいたい。

 

登山計画
教えてくれた人

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2019年10月号の特集は「心に残る秋の山35コース」。夏山シーズンが終わってから、冬が訪れるまでの約3カ月。夏よりも静かな山をゆっくりと歩いたり、鮮やかな山の紅葉をめざしたり――。心に残る「秋の山歩き」を、読み物とコースガイドで紹介します。

⇒ 山と溪谷最新号はこちら

同じテーマの記事
電子地図の時代だからこそ必要な地図を読み取る技術。道なき山を歩くプロの地図読み技術とは?!
山岳遭難で最も多いのが「道迷い」。地図を正確に読み、地形を理解しながら計画を立てたり、登山中に場所を把握したりする技術は、電子時代の今こそ大切なのではないだろうか?
大きくて深い山脈――。南アルプスの特徴を知って、ちょっと“大人な”山行へ
長い長い梅雨がようやく明け、一気に夏らしくなってきました。やっぱり夏はアルプスへ!そんなことをお考えのみなさん。南アルプスの魅力を知って、より楽しい山行に出かけませんか?
今がベストシーズン!山に登って高山植物ウォッチングを楽むための6ヶ条
一斉に咲いた高山の花畑は、何度見ても飽きることはなく、気づいたらその美しさに時間を忘れるほど。だからこそ、なんとなく見て終わるのはもったいない! 高山植物を楽しむためのポイントを知って、登山の魅力を広げてみよう
憧れの剱・立山連峰、どこを歩く?何を楽しむ? 3つの定番コースから魅力を探る
北アルプスを代表する山岳エリア「剱・立山連峰」。無雪期に楽しめるのは7月から10月のわずか4カ月ほど。だからこそ、自分にあったコースを見つけて、夏の剱・立山を楽しみたい。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇一時雨
明後日

曇一時雨
(日本気象協会提供:2019年9月19日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW パタゴニア キャプリーン・ミッドウェイトを刷新
パタゴニア キャプリーン・ミッドウェイトを刷新 独自の立体構造で優れた吸汗速乾性と伸縮性を備えた「キャプリーン・ミッドウェイト」。アンバサダー3人の評価にも注目!
NEW 生きるための道具選び。シチズン「プロマスター」
生きるための道具選び。シチズン「プロマスター」 すべての道具の選択基準が「生きるために役立つ」ということ。K2登頂をめざした写真家石川直樹氏が本格志向の道具選びを語る
NEW モンベル「ストームクルーザー」の秘密に迫る
モンベル「ストームクルーザー」の秘密に迫る 定番レインウェア「ストームクルーザー」。日本の登山者に向けた雨具はどのように生まれ、どう進化したのか? その秘密に迫る
NEW 丈夫で伸縮性の高い、ハイブリッドなパンツを試す
丈夫で伸縮性の高い、ハイブリッドなパンツを試す 高橋庄太郎さんの連載「山MONO語り」。今月はホグロフスの「ラグドフレックスパンツ」を、岩場もある恵庭岳でチェック!
NEW 飛騨から登る北アルプス フォトコン優秀作品発表
飛騨から登る北アルプス フォトコン優秀作品発表 2部門に554点を投稿いただいたフォトコンテスト。審査員2名が選んだ優秀作品4点ほか、受賞作品が決定!
NEW 秋山PICK UP ITEM! シリオ
秋山PICK UP ITEM! シリオ 『秋山JOY』連動企画!ストレスフリーの軽量トレッキングシューズ、シリオの「P.F.46-3」を紹介
NEW カリマー「クーガー」モニターレポート公開!
カリマー「クーガー」モニターレポート公開! レポート第1弾は、まりりんさん。日帰りと二度のテント泊縦走で背負って感じた「身体に吸い付くような一体感」の理由とは?
令和の秋、紅葉登山の季節が到来!
令和の秋、紅葉登山の季節が到来! 秋の足音が少しずつ聞こえてきました。いよいよ山が最も色づく、紅葉シーズンの到来!
NEW 山の麓に住む。大町市に移住した家族の物語
山の麓に住む。大町市に移住した家族の物語 山好きが高じて大町市に移住した2つの家族。移住の経緯や大町暮らしの魅力を聞いた。移住体験会では参加者を募集中!
NEW 山と自然を感じる2日間!丹沢 山モリ!フェス
山と自然を感じる2日間!丹沢 山モリ!フェス 10月5~6日に開催される、山とアウトドアのイベント「山モリ! フェス」。スタンプラリー、ワークショップ、自然観察ツアー...
毎日が絶景! 小岩井大輔の富士山頂日記
毎日が絶景! 小岩井大輔の富士山頂日記 富士山頂でしか見られない絶景が、ほぼ毎日! 写真家・小岩井大輔の富士山頂日記は今年もCool!
ロープウェイで登れる百名山
ロープウェイで登れる百名山 ロープウェイやリフトなどを使って、一気に標高を稼げる百名山はいくつあるかご存知?
王道の北アルプス縦走コースを歩こう
王道の北アルプス縦走コースを歩こう 森林限界を越えた稜線に、果てしなく続く縦走路。稜線歩きの醍醐味を思う存分楽しめる、北アルプスの縦走コースを紹介。
名峰・那須岳登山へ! 個性豊かでダイナミック
名峰・那須岳登山へ! 個性豊かでダイナミック 活火山の茶臼岳、峻険な朝日岳、最高峰の三本槍岳ほか、花畑の稜線や温泉など魅力満載の那須連峰。ほかにも湿原・お花畑・温泉と...
山で便利・安心! 登山用アプリ&GPS
山で便利・安心! 登山用アプリ&GPS スマートフォンの普及で高価で手の届かなかったGPS機器が誰でも使える! 初心者向けのノウハウから裏技まで、登山アプリとス...
ツラく、キツく、長い急登の登山道を制す
ツラく、キツく、長い急登の登山道を制す 長い急登を汗水流し、気合と根性を振り絞って、延々と登った先にある素晴らしい景色と充実感を味わいたいなら、ココに決まり!