このエントリーをはてなブックマークに追加

ツツジ・シャクナゲ前線異常あり! ツツジの花の見分け方のポイントを知る

高橋 修の「山に生きる花・植物たち」
たしなみ 2018年05月01日

春から初夏にかけて、山の斜面を彩る代表的な花の1つが「ツツジ」だ。一口にツツジと言っても、さまざまなも種類があるが、その見分け方をご存じだろうか? 花の雄しべ・雌しべを見ると、その違いを見分けられるかもしれない。

 

ミツバツツジの花。今年は開花が異常に早い!

春の花を楽しむ山の花のひとつにツツジの咲く山がある。関東地方ではミツバツツジから咲き始まり、さらにアカヤシオ、ヒカゲツツジ、トウゴクミツバツツジ、シロヤシオと咲き進んで行くのが通例だ。

しかし、今年はソメイヨシノなどサクラの花が早いように、ツツジやシャクナゲの開花も異常に早く、例年とはだいぶずれている。

先日登った栃木県の石裂山(おざくさん)は、アカヤシオが咲き残り、ミツバツツジとトウゴクミツツツジ、シロヤシオがまとめて咲いていた。本来はそれぞれ別々の時期に咲くはずのツツジたちが、集中してまとめて咲いてしまったようだ。

このように2018年の春は、関東各地の山々で、ツツジの仲間の例年にない異常な開花が進んでいる。ツツジを見る山歩きを予定されている方は、1週間以上早めに行くといいだろう。

 

見分けるポイントは「雄しべと雌しべ」

ツツジやシャクナゲは、なかなか見分けるのが難しい植物だ。特にミツバツツジの仲間はよく似ていて、初心者にはとっつきにくいようだ。花の時期には葉がほとんどないことも多く、何とか葉が3つあることがわかる程度。ミツバツツジの仲間(ミツバツツジ類)には「ミツバツツジ」という名前が付いていて、「トウゴクミツバツツジ」や「キヨスミミツバツツジ」などがあることが、より複雑で理解しにくくしている。

こちらの写真はトウゴクミツバツツジだ

 

ミツバツツジの見分け方のポイントは花の中心にある雄しべと雌しべを見ることだ。関東地方に生えるのはミツバツツジ、トウゴクミツバツツジ、キヨスミミツバツツジの3種。ミツバツツジは雄しべが5個で雌しべには毛がない。

トウゴクミツバツツジは雄しべは10個で雌しべに毛がたくさん生えている。キヨスミミツバツツジは雄しべが10個で雌しべには毛がない。関東で見られるミツバツツジ類は雄しべと雌しべを見るだけで見分けられる。これからはミツバツツジ類を山で見たら、必ず雄しべと雌しべを見る習慣をつけるといいだろう。

こちらはミツバツツジ。雄しべが5個で雌しべには毛がない

こちらはキヨスミミツバツツジ。雄しべが10個で雌しべには毛がない

トウゴクミツバツツジは雄しべは10個で雌しべに毛がたくさん生えるのが確認できる

 

こうして自分で見分け方を書いていて思ったことだが、やはりややこしい。しかし、植物の名前がわかるようになるとより楽しみは増すものだ。とりあえず、山でミツバツツジ類を見たら「ミツバツツジだ」で終わらせないで、まずはオシベの数を数えてみてはいかがだろうか。

ちなみに関東地方で見られるアカヤシオやシロヤシオ、アシタカツツジは葉が三つ葉ではなくバラバラに出ているので、葉で簡単に見分けることができる。

こちらはアカヤシオ、葉で違いが確認できる

アシタカツツジは葉が3枚だったり5枚だったりする

 

山に持っていくにに丁度いい! ツツジ・シャクナゲハンドブック

ツツジ・シャクナゲハンドブック 

写真:髙橋 修 解説:渡辺洋一  新書判  108ページ
2018年4月2日発売
定価:1,512円(本体1,400円+8%税)
文一総合出版

⇒詳細はこちら!

 

ツツジ・シャクナゲハンドブックは、本コラムを担当している髙橋修が写真を担当する近書。日本で唯一、山に持っていくことができるサイズでツツジ属だけの植物図鑑。身近に生えている野生のツツジが、どんな種類かわかる内容となっている。

日本で見られる野生のツツジとシャクナゲのほぼすべてである65種を掲載している。生える環境が分かる生態写真や部分アップ写真を多用し、種の違いが比較しやすい内容となっている。

分類が難しいと言われるミツバツツジ類も見分けるポイントと詳しい分布図でわかりやすく解説。検索表があるので、種名にだいたいの見当を付けられる。園芸品種や世界のツツジの概略も紹介した山にも、持っていきやすいフィールド図鑑となっている。

高橋修さんのツツジ・シャクナゲハンドブック撮影記

ハンドブックの生態写真のほとんどは、野生の生息地で撮影しています。多くの写真は2年間という短い期間で撮影を強行しました。

やはりツツジは咲いている環境は大事です。日本のツツジは北海道から沖縄まで広い場所に分布しているので、春はいつもツツジを追いかけていました。ミツバツツジ類の分布の中心は九州のため、3か月で5回も九州に飛んだほどです。

夏は北海道や高山のツツジを追いかけました。いくら追いかけても、ツツジは自然の植物ですから、花の時期が違ったり、咲かなかったりする年があることには悩まされます。北海道ではエゾムラサキに振られ、宇和島ではトキワバイカツツジが一株も咲かないという残念な体験もありました。ヒュウガミツバツツジの撮影には断崖から落ちそうになりました。

今ではそのほとんどが楽しく、よい経験となっています。この本を作るために多くの方に協力いただきました。ここで感謝申し上げます。

 

自然観察
教えてくれた人

高橋 修

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。

⇒高橋修さんのブログ『サラノキの森』

同じテーマの記事
高山植物の楽園、北海道・大雪山。豊かで変化の大きい自然環境に咲く花たち――
今年は花の当たり年だったという高山植物の楽園、北海道・大雪山。夏の短い北海道にあって、8月初旬にはもう秋の足音が聞こえてきていたが、植物たちは足早に花を付け、その美しい姿を見せてくれていた。
トガクシショウマを見て考えたこと―― 珍しい植物を守るため自生地を詳しく書かない、自生地に踏み込まない
珍しい植物を見たら、写真を撮ってSNSやブログにアップしたい気持ちは理解できるが、その前に少しだけ考えてほしい。写真を撮る前、そして撮ってからの行動は慎重に行う必要がある。登山、そして植物愛好家の“たしなみ”として知ってほしいこと――。
沙羅双樹の花の色は? 野生のサラノキが咲くネパール・ヒマラヤで満開のシャクナゲと共に楽しむ
「沙羅双樹の花の色」という平家物語の冒頭の一節は有名だが、沙羅双樹はどんな木で、どんな花の色か知っているだろうか? 植物探検家の高橋修氏は、沙羅双樹すなわちサラノキ(シャラノキ)を見にネパール・ヒマラヤ山中に向かった。
「山歩きしながらの植物写真撮影」に向いた、オススメのカメラとレンズ
図鑑に載っている写真のように、植物を撮影するのは意外と難しい。うまく撮影するには、やはりカメラ機材にも気を使いたい。今回は、植物写真に向いたカメラについて説明する。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇のち晴
明後日

晴時々曇
(日本気象協会提供:2019年8月24日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW モンベル「ストームクルーザー」の秘密に迫る
モンベル「ストームクルーザー」の秘密に迫る 定番レインウェア「ストームクルーザー」。日本の登山者に向けた雨具はどのように生まれ、どう進化したのか? その秘密に迫る
NEW プレゼント盛りだくさんの大アンケート!
プレゼント盛りだくさんの大アンケート! みなさんはどんな山道具を使ってますか? 情報源は? 購入方法は? プレゼントも当たる大アンケートにご協力お願いします
NEW ホーボージュンさんが語るグレゴリー「バルトロ」
ホーボージュンさんが語るグレゴリー「バルトロ」 『山と溪谷』の連載「GTR」を担当するホーボージュンさんが、その裏話と、グレゴリーの大型バックパックについて語る!
NEW 移住説明会も開催! 大町市に移住した家族の物語
移住説明会も開催! 大町市に移住した家族の物語 子育ての環境を優先して長野県大町市に移住したという屋田さんご家族。自然が近く、生活も便利という大町暮らしを聞いた。
NEW トラブル知らずの快眠ギア。ニーモ ケヤン35&スイッチバック
トラブル知らずの快眠ギア。ニーモ ケヤン35&スイッチバック 画期的な新商品が、すべての登山者に快眠を約束してくれる。ニーモの革新的シュラフと高機能マットを紹介。
NEW 760g! 最新ソロテントをテスト/山MONO語り
760g! 最新ソロテントをテスト/山MONO語り 山岳ライター高橋庄太郎さんの連載では、ダブルウォール自立式のニーモ「ホーネットストーム1P」をテスト! その実力は?
レベル別! 飛騨から登る北アルプス登山ガイド
レベル別! 飛騨から登る北アルプス登山ガイド 小林千穂さんを案内役に、乗鞍、槍、双六、笠など6つの山を紹介! タイトルフォトは写真コンテストの作品から順番に!
カリマー「クーガー」がアップデート!
カリマー「クーガー」がアップデート! 中・大型バックパック「クーガー」は、パッド類を刷新しフィッティングや快適性が向上。
NEW 毎日が絶景! 小岩井大輔の富士山頂日記
毎日が絶景! 小岩井大輔の富士山頂日記 富士山頂でしか見られない絶景が、ほぼ毎日! 写真家・小岩井大輔の富士山頂日記は今年もCool!
NEW ロープウェイで登れる百名山
ロープウェイで登れる百名山 ロープウェイやリフトなどを使って、一気に標高を稼げる百名山はいくつあるかご存知?
王道の北アルプス縦走コースを歩こう
王道の北アルプス縦走コースを歩こう 森林限界を越えた稜線に、果てしなく続く縦走路。稜線歩きの醍醐味を思う存分楽しめる、北アルプスの縦走コースを紹介。
憧れの3000m峰に惜しい山に注目
憧れの3000m峰に惜しい山に注目 夏はやっぱり3000m峰に挑戦! と言いたいところだが、惜しい山にも3000m以上の魅力がたっぷりです。
名峰・那須岳登山へ! 個性豊かでダイナミック
名峰・那須岳登山へ! 個性豊かでダイナミック 活火山の茶臼岳、峻険な朝日岳、最高峰の三本槍岳ほか、花畑の稜線や温泉など魅力満載の那須連峰。ほかにも湿原・お花畑・温泉と...
ツラく、キツく、長い急登の登山道を制す
ツラく、キツく、長い急登の登山道を制す 長い急登を汗水流し、気合と根性を振り絞って、延々と登った先にある素晴らしい景色と充実感を味わいたいなら、ココに決まり!
南・中央アルプスの王道の縦走コースを歩こう!
南・中央アルプスの王道の縦走コースを歩こう! 北アルプスに比べると、登山者を受け入れる体制は整っていないのが南・中央アルプス。だからこそ魅力がタップリなのです!
夏山に向けて登山ボディになろう!
夏山に向けて登山ボディになろう! 夏山シーズン目前、今からでも間に合います。身体のリセット・メンテナンスの面から登山のトレーニングを指南。登山のための身体...