単独で登山する場合は必ず登山計画を家族や友人に伝えておきましょう。 島崎三歩の「山岳通信」 第109号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年5月2日に配信された第109号では、単独登山の遭難者が多かったことに鑑み、そのリスクと注意点について説明している。

 

5月2日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第109号では、3月27日~4月22日に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 3月27日、八ヶ岳連峰蓼科山で、70歳の男性が蓼科山を登山中に疲労のため行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助され病院に収容された。

  • 4月10日、北アルプス乗鞍岳で、58歳の男性が疲労による体調不良により乗鞍岳三本滝付近で行動不能となる山岳遭難が発生。遭対協隊員により救助され、病院に収容された。

  • 北アルプス白馬乗鞍岳に4月16日から単独で入山していた30歳の男性に対して、連絡が取れなくなっている届け出が4月17日にあり、大町署などが捜索。19日に県警ヘリにより北アルプス白馬岳と小蓮華山の間の稜線で発見救助された。男性は何らかの原因により滑落し、骨盤骨折の重傷を負っていた。

  • 4月18日、北アルプス焼岳で、単独で上高地から入山した25歳のフランス国籍の男性が道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。翌19日に県警ヘリにより救助され、松本市内の病院に収容された。

北アルプス・焼岳の遭難現場の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)4月26日付)

 

  • 4月20日、中央アルプス安平路山で、単独で入山していた45歳の男性の行方がわからなくなる山岳遭難が発生。下山中に道に迷い行動不能となっていた男性を、翌21日に捜索中の県警ヘリにより発見・救助、病院に収容した。

中央アルプス安平路山の遭難現場の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)4月26日付)

 

  • 4月22日、北アルプス北穂高岳で、単独で登山していた35歳の男性が、北穂高岳山頂付近で何らかの原因により滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助されたものの、死亡が確認された。

  • 4月22日、北アルプス爺ヶ岳で、パーティで登山していた43歳の女性が、下山中にアイゼンで足を負傷して行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

登山中に、疲労により行動不能となる遭難が増加しています。登山する前は、必ずトレーニングをするとともに、日程に余裕を持った登山に心がけましょう。
また、この時期は、山はまだ気温も低く、喉が渇かないため、水分補給を怠りがちですが、こまめに水分補給をしましょう。ちょっとした疲労が悲惨な遭難につながることを念頭に、入念な登山計画をたてましょう。

4月になり、気温が上昇し暖かい日が続いていますが、まだ、穂高などの高い山では雪が多く残っているところもあり、場所によっては、ラッセルを強いられるところもあります。積雪情報を入手して、時間・日程に十分余裕を持った登山計画を立ててください。

春山シーズン中、標高の高い山域では、朝は氷点下、日中は10度以上になるなど、1日の中で気温が大きく変動し、残雪も、硬いアイスバーンから滑りやすい溶けたザラメ雪に変化します。この時期に登山する場合は、こうした気温や雪の状況を適切に判断して行動しなければなりません。
また、4月第3週は、単独登山者の遭難が4件発生しました。そのうち2件は、発生当初、行方不明事案として捜索を行った結果、発見救助されたものでした。単独登山は、ルートを1人で判断しなければならず、万一、遭難した際には、救助要請ができないこともあります。なるべく、複数で登山をし、やむを得ず単独で登山する場合は必ず、登山計画を家族や友人に伝えておきましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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