このエントリーをはてなブックマークに追加

はじめに揃えるべき登山の必需品。山岳ガイドに教わる“登山 はじめの一歩”(3)

山の疑問・難問、山岳ガイドが答えます!
道具・装備 2018年05月31日
はじめに揃えるべき道具を知りたい

質問: はじめての登山は、スニーカーを履いて、ビニールのカッパを肩がけバックに入れて持って行きました。でも山で会う人たちは、全身を登山用具で揃えた登山者ばかりで、自分の装備が心配になりました。また登山に行きたいと思っていますが、絶対に用意した方が良い道具って何ですか?

 

一番はじめに購入したいのは“登山靴”

登山道は、泥の傾斜地や、岩の道、大小さまざまな石が散乱するガレ場など、不安定な場所が至る所にあります。スニーカーはソールが平らで柔らかいので、ぬかるんだ斜面には底が食い込まず滑り、岩の道では岩肌に馴染まず歩きづらく、ガレ場では足首がグラグラして捻挫の危険性があります。登山を始めるのであれば、まず登山靴(トレッキングシューズ)を準備すると良いでしょう。


靴を選ぶ時は、自分がどの程度の登山を目標としているのかを考えてください。岩場の多い変化に富んだ山で、重い荷物を背負って登るようなハードな登山を目標としているのなら、靴は、ある程度の重さと硬さと深さがあって“足をシッカリと保護してくれる靴”が必要になります。森林限界を大きく越えない、穏やかな山の縦走などを目標としているのなら、軽く、適度な柔らかさがあり、足首程度の深さの登山靴が歩きやすいでしょう。“足をシッカリと守る”と“軽快に登る”は両立が難しく、登山靴の種類が異なります。目標とする登山を想定し、登山靴のタイプを決めましょう。

また、足の形は人それぞれ。前後の長さは合っていても足全体に圧迫感があったり、逆に、靴の中で足が不安定であったり、靴が足の形に合っていないと行動中ずっと痛みを伴ったりすることになります。それでは登山が楽しめません。登山靴は店舗で試着をして、自分の足に合った登山靴を用意します。

∇関連記事
:登山靴探しは1日にしてならず! 登山靴の正しい探し方

 

リュックサック(バックパック)も必須アイテム

登山用の持ち物は、必ず“リュックサック(両肩で背負うタイプのバック)”で運びます。歩行中に両手が使える利点のほかに、手に何も持っていないことで、手からの落下物をゼロにすることができます。山道、特に傾斜の強い道で、上から固さのある物を落とすと、後から登ってくる登山者を怪我させてしまうこともあります。

また、「肩がけバック」では、歩行中にバランスを崩しやすくなります。片方の肩だけに荷重がかかり、長時間の歩行に向いていません。はじめは、家にある簡易的なデイバックでもOK。とにかく両肩に背負う形状のバックで登山に向かいましょう。

「この際、ちゃんとした登山用のリュックサックを準備しよう!」と思ったら、登山用具専門店で、体形(背中の長さなど)に合ったものを選んでください。最初はシンプルで、上部に雨蓋のついたタイプが使いやすいと思いますが、こればかりは個人の好みによります。大きさは、日帰りで25L程度、山小屋泊の登山を考えているなら、35L程度が一般的です。

∇関連記事
:できるだけシンプルなデザインを選ぼう! 失敗しない中型ザック選び
:山小屋泊デビューにもピッタリ! 軽快に山を歩けるザック

 

カッパ(レインウェア)は、雨よけ以外の活用も

「降水確率ゼロ!」「今日は快晴!」でも絶対に用意してほしいのがカッパです。できればゴアテックスに代表される防水透湿性の素材を使ったタイプがベストです。山は天候が変化しやすく、急な雷雨に備えて雨具が必要だとは周知のとおりですが、それだけではありません。現在販売されているカッパは、ウインドブレーカーの役目を十分に果たします。強い風が吹いていて体温を奪われそうな時にも、風を通さないカッパが役に立ちます。

また、何かのトラブルで下山できなくなった時は、着られる物を全部着て、上からカッパを着ればより安心です。どんな小さな山だとしても、山に行く時はカッパを用意するように勧めています。

∇関連記事
:着心地がすべて! 初めてのレインウェア選び
:レインウェア、これを買えば間違いない! -いまどきレインウェアの選び方 1-

 

ヘッドランプ(ヘッドライト)も絶対用意して

「えっ? ヘッドランプ?? 今日は、午後2時には下山する予定だから必要ないよ」と言う方がいます。登山では、道が崩れていた、道迷いをして引き返したなど、予定外のトラブルで下山が遅れる事がしばしばあります。特に、晩秋は日没の早さに慌てる事も多くあります。山中で日が暮れてしまうと、辺りは真っ暗で登山道すら判断できず、身動きがとれなくなってしまいます。ヘッドランプは、カッパと同様に出番がなくても、必ず携帯する習慣をつけてください。

 

ギアではないけど、絶対に携帯するもの

以前は、このほかに水筒が必要なギアと言われていたのですが、ペットボトルの登場で、必需品ではなくなりました。ただ、グループでお茶や、スポーツドリンクではない“真水(500CC程度)”は持っていくる習慣をつけましょう。熱中症、小さな傷の最初の汚れ落としなど、使う機会は多々あります。他にも便利な装備はありますが、絶対に不可欠な装備は、この5つでしょう。

 

登山用具は、必ず専門店で実物を手にして用意することをお勧めします。最近、なんでもネットで購入する方がいますが、靴もカッパも実際に着用しなくては自分に合ったものを購入する事はできません。また、登山用具専門店であれば、自分の登山スタイルや目標に合わせたギアの選び方を相談にのってくれる事が多いです(「多い」と書いたのは、登山知識、登山経験のある店員の全くいない、登山用具店もあるからです)。自分の信頼できる登山用具店で、時間をかけて間違いのない装備を準備してください。

登山靴 ザック
教えてくれた人

山田 哲哉

1954 年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。著書に、登山技術全書「縦走登山」(山と溪谷社)ほか、「奥秩父、山、谷、峠そして人」(東京新聞出版局)など多数。
 ⇒山岳ガイド「風の谷」

同じテーマの記事
ショルダーベルトが当たる鎖骨が痛い! 鎖骨にひびかない背負い方、パッキング方法を考える
テント登山派で、重い荷物を持って歩いている‟セットアッパー”さん。痩せ型体形のせいか、とにかくショルダーベルトが当たる鎖骨が痛いそう。今回は、昔、同じ悩みのあった山岳ガイドの山田さんがその悩みに回答する。
花粉症だけど春の山へ行きたい。東京近郊で花粉の少ない山ってあるの?
風の冷たさが和らぎ、外へ出かけたい気持ちの高まる春。その一方で花粉の飛散が始まり、山へ行きたいけど花粉症が辛くて・・・という方も多いだろう。そんな悩みを持つ登山者のひとり‟くしゃみ大魔王”さんの質問に山岳ガイドの山田さんが回答!
雪山での歩行時間。無雪期用のコースタイムって参考になる?
雪山の山行計画を立てるとき、無雪期用のコースタイムは、どれくらい参考になるだろう。今回は、山岳ガイドの山田哲哉氏に雪山でかかる歩行時間について話を伺った。
正しく使えてる? 雪山でのピッケルの持ち方・活用法
雪山で多様な使い方ができるピッケル、正しく使えていますか? また、もともとは足場切りの道具だったということを知っていましたか? 今回は、ピッケルの役割を改めておさらい。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇時々晴
明後日

雨のち曇
(日本気象協会提供:2019年5月27日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 飛騨から登る北アルプスフォトコンテスト開催!
飛騨から登る北アルプスフォトコンテスト開催! 今年も開催! 飛騨から登る北アルプスフォトコンテスト。小林千穂さんを審査員に迎え賞品も豪華に! 投稿お待ちしています!
NEW 花の盛期に訪れた森吉山。北秋田の魅力を紹介
花の盛期に訪れた森吉山。北秋田の魅力を紹介 秋田県にある花の名山・森吉山。最盛期を迎えた山上のお花畑と山麓の豊かな森。マタギ文化にも触れた2泊3日の山旅を掲載!
NEW サロモンから独創的なバックパック登場!
サロモンから独創的なバックパック登場! あなたの登山をより軽快にするバックパックシリーズ「OUT」の特徴をチェック!
NEW カリマー「リッジ」完成度の高さをスキー山行で実感
カリマー「リッジ」完成度の高さをスキー山行で実感 スキー滑降時にもバランスが良く、ストレスを感じることがなかったというヨッシーミューラーさんのレポートをチェック!
NEW 尾瀬の自然に会いに行こう!「尾瀬ナビ」公開
尾瀬の自然に会いに行こう!「尾瀬ナビ」公開 のんびり湿原散策に爽快な山登り…。尾瀬のシーズンが始まります。尾瀬をもっと楽しめるキャンペーンもご紹介。
NEW 連載「山MONO語り」 新基軸の小型バックパック
連載「山MONO語り」 新基軸の小型バックパック ライター高橋庄太郎さんによる連載。今月はブラックダイヤモンドの小型パックをチェック! 小さくても魅力満載!
グレゴリー「ズール」&「ジェイド」がモデルチェンジ!
グレゴリー「ズール」&「ジェイド」がモデルチェンジ! フィット感と通気性を兼ね備えた軽量バックパックが更に進化。 グレゴリーの新たな「ズール」&「ジェイド」をチェック...
箱根――、火山が生んだ恵みの数々を満喫
箱根――、火山が生んだ恵みの数々を満喫 20km四方とコンパクトなエリアに、ユニークで魅力ある山容を作りだしている箱根。登山と同時に、温泉や海の幸も楽しんじゃお...
「令和」の山、万葉集の山への誘い
「令和」の山、万葉集の山への誘い 新年号が「令和」に決まった。早速、令和に関連した山に行ってみよう! 太宰府周辺の山、万葉集にちなんだ山を紹介
春~初夏にツツジがキレイな山
春~初夏にツツジがキレイな山 花数が多いうえに花も大振りで存在感がある山、ツツジ。一斉に咲くと、ピンク、赤紫、白などの色が山の斜面を染める。
新緑が輝く季節、緑を満喫する山
新緑が輝く季節、緑を満喫する山 山肌の色が枯野色から緑色へと急激に変わる季節。山の緑が最も美しい時期に、緑にこだわって行くのにオススメの山。
山で便利・安心! 登山用アプリ&GPS
山で便利・安心! 登山用アプリ&GPS スマートフォンの普及で高価で手の届かなかったGPS機器が誰でも使える! 初心者向けのノウハウから裏技まで、登山アプリとス...