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日帰り登山で重宝する24Lのデイパックを、富士山展望の毛無山でチェック! グレゴリー/サルボ24

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2018年05月29日

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今月のPICK UP GREGORY(グレゴリー)/サルボ24 [サムソナイト]

価格: 16,000円+税
容量: 24リットル
容量: 1080g

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デイパックでも仕様はホンモノ。登る前に細部をチェック

日帰り登山を中心に活躍する小型パック。出番が多いサイズ感だけあり、各メーカーから豊富な種類が用意されている。そのなかには他に類を見ない革新的なものもあれば、定番のディテールをブラッシュアップし、さらなる使いやすさを目指したタイプもあり、それぞれに進化を遂げている。

グレゴリーの定番シリーズのひとつが「サルボ」だ。メインの荷室の開閉にはジッパーを使い、荷物の出し入れがスムーズなタイプである。しかし以前から継続する「サルボ」シリーズではあるが、今期は多くの部分がリニューアルされ、もはや新作といってよい。今回はこの人気「新作」モデルのなかの容量24Lモデル、すなわち「サルボ24」をチェックしていきたい。ちなみに、サルボには他に18Lと28Lが用意され、サルボのハーネスを女性仕様にした「スーラ」にも18L、24L、28Lというラインナップがある。

サルボシリーズの最大の特徴は、「ベイパースパン」というサスペンションシステムを採用した通気性のよさだ。これはメッシュ状の背面パネルとハーネスのコンビネーションで腰から背中にかけて程よい弾力性を保ちながら、高い通気性を確保しているものである。

上の写真は背面の様子。背中の中央部は粗目のメッシュで、その左右は少し細かなメッシュになっているのがわかるだろう。また、腰の部分にはフォーム材のパッドが入っており、フィット感を高める役割を果たしつつ、肉抜きして孔を空けることで軽量化と通気性の向上を促している。サルボは背面パネル、ハーネス、そして使用生地がどれも軽量なものを使用しており、総重量は1.02kg。一方で、ワイヤーのフレームでバックパックを安定させることで耐荷重11.3㎏を実現し、中型パック並みの実力を持っている。

ショルダーハーネスは上部で左右がつながり、背中にフィットしやすい形状だ。この部分のパッドが肉抜きされているのは腰の部分と同様で、背負ってみるととてもソフトな感触である。

 

柔らかさという意味では、右の写真のウェストハーネスのパッドも同様。この部分の素材は吸水性が高く、ウェア越しに吸い取った汗をすみやかに乾燥してくれる。

サルボにはいくつもの細かな工夫が込められているが、ショルダーハーネスにつけられた短いテープ状のパーツもそのひとつだ。

これはサングラスをかけておくためにつけられたもので、伸縮性があるために、サングラスがぶらつかない。場合によっては、ハイドレーションシステムのチューブを固定したり、小型ポケットを取り付けてもよいだろう。「サングラスクイックストゥ」という名称のパーツではあるが、この部分に限らず、各パーツは個人の考えで多目的に使えばいい。


富士山展望を目指し標高を上げると、汗抜けの良さを実感!

さて、今回は山梨県・静岡県境の毛無山へ。先日もこの連載のテストで使った三ツ峠山から縦走することもできる、富士山の外輪山の一角である。

まずは登山口から不動の滝見晴台を目指していく。頭上には雲がかかっていて、薄暗い。雨が降らないことを祈るばかりだ。

薄曇りということもあって、サングラスをかける必要はなかった。僕はサングラスをショルダーハーネスに取り付けたままにしていたが、紛失の恐れを減らすために結局はポケットに収納することにした。サルボにはフロント上部にポケットがあり、その内側は柔らかで肌触りがよいメッシュ素材が使われていて、サングラスをダイレクトに入れても傷がつきにくい。冬季はゴーグルを入れることも可能なほど比較的大きな作りで、スマートフォンを入れたときはディスプレイの傷つきを抑えられる。とはいえ、ソフトな感触ではあるが、ハードケースではない。サングラスなどを入れた場合は、間違って押しつぶさないように注意してほしい。

 

このポケットやメインの荷室を開閉するためのジッパーには大きな引き手がついている。コードの半分以上は樹脂で覆われ、つねに開いた状態だ。だからどんなときでもすぐに指をかけられ、簡単に開閉できる。地味な部分だが、効果的な工夫である。

フロントポケットの裏側、つまりメイン荷室の内側にはメッシュポケットもつけられている。この部分のポケットはとくに珍しいものではないが、重要なものを固定できるキークリップも付属し、やはり便利だ。

 

ウェストハーネスの左右にもポケットがあり、上から見たときの厚みは4cmほどもあって、その気になれば手がすべて入ってしまうほどの容量である。小型パックのわりには大きく、収納性は良好といえよう。

フロントにはメッシュポケットも。木の枝などが引っかかっても破れにくい丈夫さをもちながらも伸縮性に富み、使い勝手がよい。

行動中に脱いだウェアなどを一時的にキープするのに便利だ。バックパックの左右にはこの部分と同じ素材を用いたサイドポケットもつけられている。

相変わらずの重苦しい天気の中、僕は少しずつ標高を上げていく。気温は思ったよりも高く、僕は途中からTシャツ姿になった。すると、背面のメッシュパネルに風が流れ込むのが実感でき、汗ばんだ背中がすうっとする。これなら背中の汗も乾きやすいはずだ。上着を着ていたときも風は通っていたのだろうが、薄着になると、その効果が肌感覚でわかる。

 

見晴らし台では不動の滝を眺めて一休み。このとき、背中から下ろしたバックパックのウェストハーネスのパッドはいくらか湿っていたが、10分もするとかなりドライになっていた。やはり速乾性は高いようである。

その後も登り続けると、富士山展望台に到着。先ほどまでの重苦しい雲の上はいまや足よりも下になり、雲海が広がっている。その先には残雪を身にまとった富士山がそびえ、すばらしい眺望だ。

標高を上げれば晴れるかもしれないと期待はしていたが、これほどの絶景が拝めるとは思いもしなかった。下界にいる人は、稜線がこれほど晴れているとは思いもしないだろう。

ここでも休憩しながら、各部をさらにチェックしていく。とくに念入りに確認したのはサイドポケットである。さて、以下の2枚の写真を見て、違う部分がわかるだろうか?

 

左右の写真の違いは、左はボトルがポケットにただ入っているだけなのに対し、右はポケットに入れてからコードをかけていることだ。このコードはピッケルやトレッキングポールを取り付けるのにも利用できるものである。

サルボは比較的深いサイドポケットを持っているが、小型パックゆえに、その深さには限度がある。僕が今回持参してきた1リットルのボトルを入れたときも上部は露出してしまい、しかもメッシュポケットの伸縮性の強さで上に押され、歩いていると少しずつはみ出した部分が増えてきていた。そのまま使っていれば、いずれポケットから落ち、紛失してしまうかもしれないという状態になりかねない。

しかし絶妙な位置に取り付けられたこのコードによって、確実にキープ。これで安心してボトルをしまうことができる。

ただし、背負ったままでコードをかけたり外したりするのは難しいので、行動中にこまめに水を飲みたい場合はコードをかけないほうがいいだろう。

歩きながら水を補給するならば、ハイドレーションシステムの利用が便利だ。サルボのメイン荷室の背中側にはハイドレーション用の水筒を入れるポケットがあり、水を入れた状態でクリップで吊るせるようになっている。

  ここから延ばしたチューブはショルダーハーネスの各種パーツに通し、胸元に固定できる。口をつけるバルブ部分は行動中にブラついて邪魔になりがちだが、僕は先ほど紹介したサングラスクイックストゥのテープを使って固定した。

しかし、その位置よりも少し下にはつまみが付いたコードが別途付けられ、バルブを固定できるようになっている。コードには伸縮性があるので、一般的にはこちらのほうが留めやすいだろう。

僕自身はサングラスクイックストゥの位置のほうが使いやすかったので、今回はこのパーツは利用しなかったが、そのあたりは人それぞれ。自分が使いやすければ、それが正解なのである。

外輪山の稜線まで登りつければ、山頂はもうすぐだ。途中には「北アルプス展望台」という看板がつけられた岩場がある。じつはこの名称、僕には納得しかねるもので……。

  目の前に見えているのは、あきらかに南アルプスなのである。北アルプスも見えないことはないが、はるか遠くだ。どうしてこんな名称になってしまったのだろうか? この看板を作った人が間違えたのではないかと思われる。


定番・完成形ともいえる「サルボ24」に、あえてリクエストするとしたら‥

山頂に着いたときも、富士山は雲海の上にそびえていた。この天気、この景色は、ここまで自分の足で登ってきたことへの山からのごほうびだ。

しかし雲は厚みを増しており、その位置はさらに下がっている。下山を進めれば、再び薄暗い雲の下だ。気は進まないが、30分ほどしてから下山を開始することにした。

ところで僕は今回、念のためにトレッキングポールを持ってきていたが、山頂まで使わなかった。毛無山は稜線まで思いのほか急登が続く。膝や筋力に自信がない人は、下山時だけでも利用したほうがよいかもしれない。

その場合、サルボにトレッキングポールを取り付ける方法には2つある。ひとつはサイドポケットにそのまま入れる方法。上部をストラップで固定でき、シンプルながらも確実だ。もうひとつは、先ほどボトルを固定するのに使ったコードと、下部のループを連動させる方法である。

  サイドポケットが汚れるのを嫌う人は、コードとループを連動させる固定方法がよいだろう。しかしその場合、トレッキングポールは1本しか取り付けられないうえに、コードをボトルにかけなれなくなるためにボトルが上に押し出されやすく、落下/紛失の恐れは高まる。このコードとループの組み合わせがバックパック正面の左右に一組ずつあれば、トレッキングポールを2本固定したり、ボトルとトレッキングポールで使い分けたりできるのだが、残念ながらサルボには左の一方にしか付属していない。だが現在のサルボの形状から見て、右側にもう一組取り付けるのは、微小な変更で済みそうである。次回のリニューアルに期待したい。また、最近の小型パックはレインカバーの付属が一般的になりつつあるが、サルボにはついていない。雨のことを考えれば、別途購入しておくとよいだろう。

「進化する定番」としてのサルボは、やはり安定した実力を持っていた。背負い心地は柔らかく、通気性は上々であり、しかも容量のわりに重い荷物を入れても体への負担は少ない。個人的には、落ち着いた色合いも気に入った。改善してもらいたい点があるとしても、先ほど述べたようにコードとループがもう一組ついていてほしい、という程度のことだ。これから蒸し暑くなっていく季節、心地よく使っていくことができそうである。

 

登った山
毛無山
山梨県・静岡県
標高1964m

関連する登山記録はこちら

ザック 日本の山
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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