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三百名山をめぐりながら、四万十川の川下りも実現! 四国を駆け抜けた田中陽希さんの旅先インタビュー第4弾

田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き」旅先インタビュー
ガイド・記録 2018年06月07日

完全人力での「日本3百名山ひと筆書き」に挑戦中の、プロアドベンチャーレーサー田中陽希さん。約ひと月にわたって四国の三百名山9座を登りながら、四万十川の川下りも達成し、最後はシーカヤックで岡山へ渡りました。四国の旅を振りかえって、お話を聞きました。

POINT
  • アケボノツツジの開花にドンピシャ! 東赤石山から石鎚山まで一気に縦走
  • これぞアドベンチャーレーサー! 憧れの四万十川、全196kmの川下りも達成!
  • 計画を柔軟に変更し寄り道しながら。人力旅を充実させる心の余裕も

―― (編集部)四国に入ってからは、まず、四国山地の北部・東赤石、笹ヶ峰、伊予富士、瓶ヶ森、石槌山までを西へ。4泊5日で縦走はどんなでしたか? ――

四国の山を縦走するのは初めてで楽しみにしていました。あちこちでアケボノツツジが咲いたらキレイだよと聞いていた中で、花を見る機会がなかったのですが、東赤石山に来たところでちょうど花のタイミングと重なりました。
四国山地の山並みの素晴らしさに加えて、アケボノツツジの開花に四国の山の春というのはこういう感じなんだな、と感じました。
笹ヶ峰は、二百名山の時以来でした。あの時は冠雪していて、緊張しながら歩いたのですが、今回は春で、前回とは違う心境。その名の通り笹に覆われている山容を眺めながら縦走することができました。
伊予富士は、各地の「○○富士」のような独立峰ではなく、連山のひとつ。「なんで、‘富士’なんだろう?」と考えていました。稜線歩きの途中から、灌木帯から笹の山頂が飛び出して見えてきて、「富士」の名前にふさわしい登りを体験しました。

縦走最後の石鎚山は、GWの初日、好天と重なって、本当に登山されている方が大勢いました。「こんなに登りに来るの?」って。百名山の時には通行できなかった三の鎖も登れました。
四国一、西日本一の高さを誇る人気の山だなと改めて感じました。
縦走を通して、例えば笹(イブキザサ、ミヤマクマザサ、ミヤコザサ)に覆われるような、四国には四国の独特の山の景色があって、より深く四国の山の良さを知ることができました。

――縦走中は、赤石山荘、丸山荘で山小屋泊でしたね。どんな山小屋でしたか?――

赤石山荘は無人の山小屋でしたが、内部は長い時代の流れを感じさせてくれ、利用料の2000円は管理人室の扉にポストのような差し込み口があり、封筒に必要事項を記入して入れるシステムで面白いと思いました。 丸山荘さんは、小さな民宿のような山小屋で、もともとは山の銅山のための飯場のような存在だったようです。陽気で世話好きな方が食事を出されていたんですが、山小屋なのに、焼き肉が食べられました。
試行錯誤しているうちに、山の人にウケが良いのは焼き肉ということがわかって、それ以来焼き肉にしているとか。ご飯もたっぷりで、口コミで人気になっていて、泊まりに来る方も多いんだそうです。

――出発前から「楽しみ」と言っていた「パックラフトでの四万十川の川下り」も実現しました。アドベンチャーレーサー田中陽希さんの、登山とは違う力が発揮されました。実際に下ってみていかがでしたか?――

四国の南側に足を踏み入れるのは今回が初めてで、四万十川もずっと行ってみたかった憧れの川です。川下りは、三百名山の旅の計画段階から予定していました。 当初は、三百名山の合間に、中流域から河口まで、という計画だったのですが、「四国カルスト」を見に行こうと行程を変更したことによって、不入山の「四万十川源流点」に行けることがわかって。 アドベンチャーレーサーとしての魂に火がついたというか、どうせなら源流点から河口まで行ってみよう、と計画を変更することになりました。

四万十川源流点の標柱から川下りをスタート。アドベンチャーレーサー魂に火がついた

源流から徒歩でスタートし、漕ぎ始めは最初の沈下橋付近から

源流点から15~16kmほどは川沿いを歩いて下り、最初の沈下橋付近で、ようやくパックラフトを浮かべて川下りを開始しました。これまでのアドベンチャーレーサーとしての経験とスキルを活かすことができ、初めての川でありながら、どこに瀬があるのか、どこが難しいのかを見極めながら、漕ぎ進みました。
中流域で、いったん川下りを中断し、4泊5日かけて三百名山の三本杭と篠山を登って、中断地点まで戻ってきて、川の続きを漕ぎ下りました。

西日本で一番長い四万十川は、実際に下ってみるとゆったりとした流れで蛇行が多い川でした。つまり、ありのままの川の流れが残っている川、人の手が加わっていない川で、「日本最後の清流」と呼ぶにふさわしい景色でした。 一方で、まだ禁漁期だったので、川で仕事をしている漁師さんはほとんど見られませんでした。四万十川と、そこで生活を営む地元の方にも、もっと会ってみたかったとも感じました。

途中、5日間の三百名山登山を挟んで、四万十川の196kmを海まで下りきった

――計画だけじゃなく、興味を惹かれたことにも立ち寄って。人力旅を楽しんでいますね――

九州北部から島根の三瓶山まで、1日1山を経験して、「このくらいなら寄り道しても行けるな」という感覚というか、「計画を変えても、寄り道して見たいものを見て、というのができるな」という確信を得られたというか、これが自分にとって、とてもよい経験になりました。
九州では「ゆっくり旅しよう。極力走らないようにしよう」としていたんですが、本州に入って中国地方を経て、四国に来てからは、「寄り道を楽しむためには、途中のロードを走って時間を稼いでもいいかな。走るのもメリハリがついていいかな」と柔軟に考えるようにもなりました。
日程に縛られず、プレッシャーが少ないので、「肩の荷が降りている」と言ってもよいのかもしれません。三百名山に登り、その間はつなぐだけ、ではなく、各地の日本一を訪ねたり、美味しいものを食べたりして、自分の旅を楽しんでいます。

三本杭、篠山では、山名の由来や山と人の関わりを尋ねて登った

――四国では、宇和島から「現存十二天守巡り」というのが加わりました――

三本杭(滑床山)に登ったあと、宇和島市に下り、宇和島城に立ち寄った時に、「現存十二天守」という存在を知りました。全国で12箇所残っているうち、四国には4つもある、ということです。 すでに松山城は過ぎてしまったのですが、これから先、自分のルートに近く、立ち寄れるところはできるだけ寄ってみようと考えました。

「現存十二天守」の存在を知り、四国では3つを訪ねた。旅の楽しみがまたひとつ加わった

――四国の太平洋側、高知県を横断して、四国山地の最後として、三嶺と剣山を縦走しました――

高知・徳島県境の京柱峠というところから入山して、小桧曽山、矢筈山、さらに、矢筈峠に下ってから、綱附森を経由して、お亀岩避難小屋、西熊山、三嶺、剣山と1泊2日で縦走して歩きました。
三嶺の西側から、ミヤマクマザサに覆われた気持ちのよい稜線を歩きました。
九州で大崩山がそうだったように、三嶺も地元の方がオススメしたくなる自慢の山で、四国を代表する山のひとつ。
2年半ぶりだったのですが、今回初めて西側から縦走することができて、三嶺の山の良さを改めて感じることができました。
赤い色のツツジだけでなく、白いツツジもあり、高揚感に包まれたまま、笹の稜線を剣山までつないで歩いてきました。

――ここまで三百名山のうち34座を登り終え、徳島県つるぎ町での旅先交流会を経て、香川県にはいり、金比羅宮、讃岐富士(飯野山)、丸亀城と名所を立ち寄って、シーカヤックで岡山・倉敷に渡りました――

四国の旅は、山も川も城もあってとても充実していました。この先、中国地方の山に登り、近畿地方に入っていきます。どんな景色が待っているか、どんな出会いがあるかを楽しみに進んでいきたいと思います。応援よろしくお願いします。

徳島県つるぎ町は巨樹が多い。交流会の前に日本一の大エノキに立ち寄った

つるぎ町での交流会は平日夜にも関わらず130人ものファンが集まった
*****

再び本州に戻って、すでに大山を登り、中国地方から、近畿地方の山へ向かっている田中陽希さん。テレビ放映、事務局サイトなどをチェックし、これからも応援していこう。

取材日:2018年5月30日
写真提供:グレートトラバース事務局

関連リンク

人力10,000kmの山旅。日本3百名山ひと筆書きに挑戦中の田中陽希さんを応援しよう!
もっと知りたいという方は、ウェブサイトで。
グレートトラバース事務局ウェブサイト
http://www.greattraverse.com/

 

まとめ (山名は「ヤマケイオンライン」の山の紹介ページへのリンクします)

東赤石山 [2018年4月26日]

笹ヶ峰 [2018年4月27日]

伊予富士 [2018年4月28日]

瓶ヶ森 [2018年4月28日]

石鎚山 [2018年4月29日]

三本杭 [2018年5月9日]

篠山 [2018年5月11日]

三嶺 [2018年5月21日]

剣山 [2018年5月21日]

 

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田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き」旅先インタビュー

 

記録・ルポ 日本の山
教えてくれた人

田中 陽希

1983年、埼玉県生まれ、北海道育ち。学生時代はクロスカントリースキー競技に取り組み、「全日本学生スキー選手権」などで入賞。2007年よりチームイーストウインドに所属する。陸上と海上を人力のみで進む「日本百名山ひと筆書き」「日本2百名山ひと筆書き」を達成。イーストウインドの次期キャプテンとして期待される。
2018年1月1日から「日本3百名山ひと筆書き グレートトラバース3」に挑戦中!

http://www.greattraverse.com/

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