ヒツジグサは「未の刻に咲く」は大間違い!? 山で見る花の名前の由来、知っていますか?

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登山中に多く見かける草花の名前、知っておくだけで山の楽しさは広がる。その名前の由来も知っておけば、さらなる世界が広がるもの。梅雨時期~夏に咲く花の名前の由来を、今回は5つ紹介!

 

梅雨時期の登山は湿気も多いため、天気ばかりでなく展望もスッキリしないものですが、山頂からの展望ばかりが山の楽しみではありません。梅雨から夏にかけての時期は、山ではたくさんの野草の花を楽しめる時期なのです。

それぞれの花の名前を確認すると、「なるほど」と思うものもあれば、「なぜ、こんな花の名前なのだろう」と思うものもあります。

生物図鑑が定額制で使い放題となる「図鑑.jp」では、野草の名前の由来や関連する識別ポイントを説明する『野草の名前』シリーズ3冊の掲載を、この6月から追加しました。

そこで、夏の登山で見られる植物の中から、花名の由来について、図鑑jpの投稿写真と合わせて紹介します。

勘違いしがちな由来や、由来を知ることで植物の名前が覚えられるものもあり、興味が尽きないものばかりです。

 

フシグロセンノウ=節黒仙翁な理由

山の樹林帯の中で、オレンジ色の花がよく目立つフシグロセンノウ。鮮やかな色の花に目が行きがちですが、名前の由来は茎と花の両方にあります。茎の節が少し黒く見えることから「節黒」、仙翁寺で植栽されていた仙翁花に似ていることから「仙翁」、それぞれが合わさって「フシグロセンノウ」という名前が付いたそうです。

 

ヒツジグサは未の刻に何が起きる?

湿原の池塘に浮かぶ姿が可憐なヒツジグサ。その名前の由来を「未の刻に花が開くから」と思っている人はいると思いますが、それは不正解。正しくは「未の刻に花が閉じるから」となります。
ちなみに未の刻=午後2時ごろ、または午後1時からの2時間となります。

 

見てのとおりの花名のツリフネソウ

夏から秋にかけての山中の湿地帯でよく見かけるツリフネソウ。漢字では釣船草と書き、その名の通り船を釣ったような形の花からきています。

 

実際は4~5輪だけどクリンソウ

湿原や溪谷など、湿潤な場所に生育しピンク色の花を咲かせるクリンソウ。名前の由来は花が9輪咲くわけではなく、五重塔などの仏塔のうえにある「九輪」(9つの輪がある)に見立てて付けられています。

“九輪”と言いながら実際には、4~5段にしかならないそうです。実際に見ると「意外に大きい」といいう感想の多い花で、高さは40~80cmにもなります。

 

 

花ではなく葉が「車」なクルマユリ

高山帯に鮮やかな赤橙色の花を咲かせるクルマユリ。「クルマ」の由来は、実は花ではなく葉にあります。中間部~下部にかけて葉が輪生する部分を、牛車や輦車(貴人を乗せて人力で引く車)の車輪に見立てて名付けられています。
ちなみに日本で葉が輪生するユリは、クルマユリとタケシマユリの2種だけだそうです。

 

 

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