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中央アジアのスイス キルギス・アルティンアラシャン:トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」(4)

トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」
ガイド・記録 2018年07月11日

トレッキングをテーマに300日間で世界一周旅行をした山野夫婦が、訪れた五大陸50超のトレイルからおすすめの場所を振り返るトレイルトラベラーズ​「世界のトレイルを巡る旅」。第4回目は、中央アジアのキルギス編。国土の約40%が標高3000m以上の山国・キルギス。東部の天山山脈のふもとに位置し、羊たちで賑わう草原と遠くに連なる雪をかぶった山々が美しい、天然温泉地アルティンアラシャンへのトレッキングの様子をお伝えする。

 

遊牧の民が行き交う、中国と地中海をつなぐシルクロード

2016年5月11日(世界一周29日目)

「カラコル? カラコル?」

旅行者であることが一目でわかるような大きなバックパックを背負った僕らを見つけると、絶対にオレの客にすると言わんばかりに、複数のドライバーが僕らの腕を摑んで引っ張り合う。もみくちゃにされて少し戸惑ってしまうこんな場面も、どこか懐かしかった。昔バックパッカーで旅をした頃に同じような経験をしていたからだ。

前の日の夜にデリーからキルギスの首都ビシュケクに入った僕らは、天山山脈へのトレッキング拠点となる東部の街カラコルへ向かうため、ビシュケクの東バスターミナルを訪れていた。マルシュルートカと呼ばれる乗り合いバスで移動する予定だったが、結局、最初に僕の腕をつかんだドライバーの車(乗り合いタクシー)で向かうことにした。

ソビエト連邦時代の画一的な建物が碁盤状の区画に整然と並ぶビシュケクの街を抜けて郊外へ出ると、美しい草原が広がる。車窓には春の訪れを感じさせる緑豊かな光景がどこまでも続いていた。

このあたりは古くから遊牧の民が行き交う、中国と地中海をつなぐシルクロードなのだ。

車窓に広がるビシュケク郊外の風景

 

中央アジアのスイス、アルティンアラシャン

2016年5月13日(世界一周31日目)

最後の丘を越えると視界が開け、何軒かの山小屋が見えてくる。スイスのような穏やかな景観に息を飲んだ。

アルティンアラシャンだ。

このあたりは夏の放牧地ということで、草原には馬や羊がのびのびとしている。遠くには「テント峰」と呼ばれるパラータ山が雪を抱いて輝いて見える。

一昨日無事にカラコルまで移動した僕らは、雨のため一日予定を繰り延べて、今日から一泊二日のトレッキングに来ていた。小さな乗合バスを登山口のところで降り、アラシャン川沿いを緩やかに登ってきた。

山の斜面にはすらっとした天山トウヒの木が立ち並び、遠くには雪をかぶった山々が連なる。足元は咲き乱れる野花とアラシャン川の青く透き通った雪解け水が美しく、新緑の季節を楽しみながらのトレッキングとなった。

休憩を挟みながら歩いて6時間ほどで目的地アルティンアラシャンへ到着した。

遠くの雪山を眺めながら春を感じさせるトレイルを気持ち良く歩いていく

 

草原を移動する羊たちと馬に乗った羊飼い

 

いくつかある山小屋の中から、僕らは川を渡ったところにある小屋を選んだ。到着すると暖かい紅茶とパンやお菓子が振舞われる。客人をもてなすこのあたりの文化だ。キルギスのお菓子は素朴だが美味しい。

そしてお茶の後は温泉へ。現地語で「黄金の温泉」という意味のアルティンアラシャンは、山奥の秘湯としても有名で、山小屋の受付でカギを借りて入る貸切温泉となってる。とは言ってもコンクリートで固めただけの簡素な湯船だ。お湯は無色透明だがやや硫黄の香りがする。高めの湯温は冷えた体を暖めるにはちょうど良い。

キルギス料理の夕食をいただき、部屋の薪ストーブで暖まりながら就寝。そして翌朝は周辺を散策する。小高い丘に登ってのどかな景色を楽しんだ僕らは、すっかりキルギスの魅力に取り憑かれてしまった。

川の近くにあるのが温泉小屋

 

夕食はキルギス料理のプロフ

 

翌朝小高い丘に登り、一帯を眺める

 

遊牧生活の住居・ユルタでキャンプ

2016年5月15日(世界一周33日目)

ビシュケクとカラコルの間には、琵琶湖の約9倍の大きさを持つ大きな塩湖イシク・クルがある。その大きさと美しさから、別名「キルギスの海」や「中央アジアの真珠」とも呼ばれている。波がなく穏やかで、水は青く透き通り、湖の遥か向こう側には、雪をかぶった山脈が連なる。

今日は湖岸に建てられたユルタでキャンプすることにした。ユルタとは遊牧生活を支える移動式住居のことだ。今ではほとんどの人が定住生活を送っているが、キルギスの人々はかつて羊や馬などとともに季節ごとに移動する遊牧生活を送っていた。移動式といっても作りはしっかりしていて、中も広い。

ユルタから湖を眺め、夕食までの時間をのんびり過ごす。やがて日が沈み、あたりは暗闇に・・・。周囲に明かりはなく、夜は満天の星空が迎えてくれた。

宿泊したユルタと目の前に広がる塩湖イシク・クル

 

ホストファミリーが生活するユルタの内部

 

秘境感たっぷりのトレッキングエリア

キルギスは、国土の約40%が標高3,000m超の山国です。僕らは一泊二日でアルティンアラシャンまでの往復トレッキングを行いましたが、さらに足を伸ばし、アラコル湖やカラコル渓谷等と組み合わせた数日間のトレッキングも可能です。

秘境感のある美しい自然に加え、遊牧民族やシルクロードなどの歴史・文化、羊肉を使ったキルギス料理なども楽しむことができます。

キルギス・アルティンアラシャンでのトレッキングに関する準備やアクセス、ルート、気候や装備については、トレイルトラベラーズのブログにもまとめていますので、よろしければご覧ください。

羊肉入りのうどん「ラグマン」

 

記録・ルポ 海外
教えてくれた人

Trail Travelers 山野尚大・優子

山と旅の愛好家。経営コンサルタントとして平日の激務と休日の山ごもりを両立させる日々から、結婚を機に心機一転、夫婦で絶景トレイルを巡る世界一周の旅に出発。2016年4月からの300日間で、五大陸の50超のトレイルを歩く。「Trail Travelers(トレイルトラベラーズ)」を立ち上げ、旅行と組み合わせたトレッキングの楽しみ方を発信中。
【ブログ】
http://trailtravelers.net/
【Facebook】
https://www.facebook.com/trailtravelers/
【Instagram】
https://www.instagram.com/trailtravelers/

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