このエントリーをはてなブックマークに追加

50年前の涸沢は今と同様にテントの花が咲いていたが――、創刊999号の『山と溪谷』誌面で振り返る北アルプス

Yamakei Online Special Contents
たしなみ 2018年07月09日

狩猟や信仰ではなく、北アルプスが「登山」として注目されるようになったのは1880年頃からだったという。それから約130年――、創刊999号の『山と溪谷』は北アルプス登山史の大半を誌面で紹介し続けているが、その一部を紐解いてみた。

 

古くから日本の登山をリードする場であり続ける北アルプス。そんな山々を1930年に創刊した『山と溪谷』では、さまざまな形で取り上げ、追い続けてきた。

今回は『山と溪谷』のバックナンバーから、北アルプスの歴史を感じられるものを一部紹介しよう。

 

涸沢に広がる黄色い三角テント(1966年6月号より)

奥穂高岳や北穂高岳の登山基地として、たくさんの山岳テントで彩られる涸沢カール。下記の誌面に掲載された写真をパッと見ただけでは、いまと変わらないように思えるが、テントをよく見てほしい。

昔からテントの花が咲くのは同じだが、色と位置は50年でずいぶん違っている

 

現在では2本のアルミフレームを交差させる自立式ドーム型テントが主流だが、60年代はまだ家型テントやA型テントと呼ばれた非自立式が一般的だった。さらにこの写真をよく見ると、テントの張られている場所にやや違和感を覚える人も多いのではないだろうか。

この写真は、涸沢ヒュッテ付近から北穂高岳の北穂沢を撮ったものであることがわかるが、涸沢小屋とほぼ同じ高さの、北穂沢のガレ場ギリギリのところまでテントが張ってあるのが確認できる。現在では、この位置では落石のリスクが高く、設営地としてふさわしくないが、当時は今ほど落石が多くなかったのかもしれない。

 

昔の北アルプスはゴミだらけだった!?(1971年7月号より)

下のモノクロの写真は、北穂高岳の山頂だ。今では考えられないが、左奥にゴミカゴが2つ、右置には山積みになった大量の空き缶がある。

3000m峰の山頂にゴミ箱!? 50年前は今では考えられない姿があった!

 

70年代初頭は、今のように環境に対するモラルが薄く、ゴミの投棄が当たり前で、登山者の多い山域は山頂であろうとゴミがあふれかえっていた。

現在、美しい山の姿が保たれているのは、山小屋による努力と登山者の意識改善が大きい。

 

山小屋素泊まり450円、弁当100円(1966年6月号より)

下の写真は、槍ヶ岳山荘の山小屋アルバイトを取材したときのもの。食堂に夕食が配膳されている。夏の最盛期、多いときには30人以上のアルバイト従業員が1000人近い登山者の対応をしていた、と記事にある。

従業員も登山者も、いまよりずーっと若かった50年前の北アルプス

 

当時、登山者の中心は20代など若い世代が多かったので、現在よりはアルバイトも集まりやすかったのかもしれない。

アルバイトの給料は、1日3食付で400~500円。素泊まり450円、弁当100円の時代である。当時の物価から考えると決して安い賃金だったわけではないが、ハードな業務なのは間違いない。

 

険しい岩稜帯に立つ山小屋(1969年10月号より)

写真は、昆虫生態研究家で自然写真家の田淵行男さんが戦前に撮影した八峰キレットのキレット小屋だ。

今のキレット小屋は100人宿泊可能な立派な山小屋だが、当時はひっそりという言葉がピッタリ

 

八峰キレットを歩いたことのある人にはわかると思うが、こんな場所に山小屋があるのかと驚くような、険しい岩稜に挟まれた場所である。小さな鞍部にひっそりとたたずむ姿は味がある。

今のように資材をヘリで運ぶことができなかった時代、この難所にどうやって小屋を建てたのかを考えれば――、相当な努力が必要だったはずであろう。

 

山と溪谷 2018年7月号』の特集「旅する北アルプス」では、「登山史」「自然」「山小屋と登山道」をテーマに、北アルプスの今だけではなく、貴重なシーンを知ることのできるバックナンバーを掲載する内容となっている。

なお、続く2018年8月号は記念すべき1000号。その1000号分のバックナンバーを振り返る特別企画も用意しているので、お楽しみに!

 

歴史・文化 知識・雑学 書籍・書評
教えてくれた人

山と溪谷編集部

『山と溪谷』12月号の、特集は『雪山登山ルート50選』。雪山を純粋に楽しむための初級ルートから技術・体力の総合力がためされる上級ルートまで一度は登ってほしい日本を代表する50ルートを、登山のプロが厳選紹介。
別冊付録『星野道夫2019年カレンダー 極北の動物たち』

⇒ 山と溪谷12月号はこちら

同じテーマの記事
レインウェアの常識をくつがえす 透湿性と着心地。ミレー「ティフォン50000ウォーム ストレッチジャケット」
透湿性の高さと着心地のよさで大きな話題を呼んだ、ミレーのティフォン5‌0‌0‌0‌0に、保温力を強化したウォームモデルが登場。裏地に起毛トリコットを採用し、空気を含む層をウェア内にキープすることで、保温力が大いにアップ。
advertorial
アプローチから登頂まで一着で対応、通気性に優れた中綿ジャケット。コロンビア「サンタフェパークフーディー」
朝夕は寒さが厳しくなる秋山では、防寒着選びが悩みのタネだ。フリースでもなくダウンでもないチョイス、それがコロンビアのサンタフェパークフーディー。行動中も休憩中も、すべてに対応できる。
advertorial
着ると実感できる、 最強の汗冷え対策ウェア。ファイントラック「スキンメッシュ」
秋の山は寒暖差が激しいのでウェア選びは重要。特に汗をかいてベースレイヤーが濡れてしまうと低体温症のリスク高まる。肌をドライにキープして濡れ冷えから体を守ってくれるのがファイントラック「スキンメッシュ」。
advertorial
ひと言でいえば「ひと通りの機能が揃ったオールマイティなザック」。山岳ガイド澤田実さんに聞く、グレゴリーのバックパック「パラゴン」の実力
山岳ガイドとして活躍する澤田実さん。ご自身の経験を元に、グレゴリーのバックパック「パラゴン」の使い勝手について教えてもらいました。
advertorial
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

明後日

曇一時雨
(日本気象協会提供:2018年11月16日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 丹沢・大山方面の登山計画に! 【登山地図掲載】
丹沢・大山方面の登山計画に! 【登山地図掲載】 丹沢・大山方面への登山を安全にできるよう、コースマップ、アクセス情報&バス時刻表、山小屋一覧を掲載!
NEW 着たままでも快適へ。マーモット「ウールラップ」
着たままでも快適へ。マーモット「ウールラップ」 マーモットから発売の「ウールラップ」。独自構造の中綿で行動中も快適ゾーンへ。ペイバックキャンペーンも実施中!
NEW 超軽量仕様のテントを北海道・十勝岳でテスト
超軽量仕様のテントを北海道・十勝岳でテスト 連載「高橋庄太郎の山MONO語り」。今回は「ゼログラム」の軽量4シーズンテントを北海道・十勝岳の野営場でチェック!
『山と溪谷』シェラカップ販売のお知らせ
『山と溪谷』シェラカップ販売のお知らせ 『山と溪谷』1000号を記念したオリジナルシェラカップ2種類を、10月10日正午から販売中。詳しくはこちらで。
ひざの悩みにメディカルサポーター
ひざの悩みにメディカルサポーター 薄く、フィットして、ズレにくい。高機能な「フェイタス(R)メディカルサポーター」の秘密とは?
NEW 『山と溪谷』単独行と遭難に関するアンケート
『山と溪谷』単独行と遭難に関するアンケート 『山と溪谷』2019年2月号の企画のために、読者アンケートを行います。単独行を実践する一般の登山者の意見を募集します。
NEW 登山とカメラに関するアンケート
登山とカメラに関するアンケート 山に行って写真を取るは、ごく普通の行為ですが、どんなカメラで、何を、何のために、どんな方法で撮っていますか?
NEW 小林千穂さん、オーダーメイドインソールを試す
小林千穂さん、オーダーメイドインソールを試す 山岳ライターの小林千穂さんが、オーダーメイドでインソールを成形し、穂高岳の山行で試しました。果たしてその使用感は?
NEW 平成最後の紅葉シーズン、いよいよ終盤へ――
平成最後の紅葉シーズン、いよいよ終盤へ―― 山は紅葉シーズン目前! ことしはどんな紅葉の山に行く? 全国の紅葉登山の名所と、紅葉の見頃時期を、ヤマケイオンラインでチ...
登山+紅葉+寺社仏閣で心落ち着く秋を愉しむ
登山+紅葉+寺社仏閣で心落ち着く秋を愉しむ 日本の山には、山岳仏教の修験の場として栄えた場所が数多い。参道沿いやの艶やかな紅葉は、繊細で心が落ち着くような美しさがあ...
隠れた山岳県・福島。ふくしまの山旅をご紹介!
隠れた山岳県・福島。ふくしまの山旅をご紹介! 飯豊山、安達太良山、会津駒など、百名山7座を抱える山岳県、福島の山の魅力を紹介します。写真コンテストも開催中!
気軽に楽しめるけど、意外と手強い筑波山
気軽に楽しめるけど、意外と手強い筑波山 「東の筑波、西の富士」と称えられる茨城のシンボル、筑波山。春夏秋冬・東西南北、いつでも・どこからでも楽しめる山。