登山にはモバイルバッテリーは必携! お守りがわりに持って行けば、万が一の時に安心

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登山アプリに頼れば頼るほど、登山中にスマートフォンのバッテリーが切れることは一大事となる。今や登山者にとってモバイルバッテリーは必須装備。もしもの時のためにも、スマホ+登山アプリ+モバイルバッテリーが新たな「三種の神器」ともなりえる。

 

 

こんにちは、ジオグラフィカという登山用GPSアプリを開発している松本といいます。今回は、前回に引き続きバッテリーについての話題です。

★ジオグラフィカ iPhone版
★ジオグラフィカ Android版

 

登山にはモバイルバッテリーは必携です!

前回、スマートフォン(以下、スマホ)のバッテリー消費について説明しました。登山は行動時間が長く、その間に充電するのは難しいので、スマホの消費量の目安を知っておき、バッテリーを余裕を持って利用する必要があります。それでも、前回に説明したとおり、機内モードにすれば一般的なスマホであれば20~30時間はログを記録できます。

★前回記事:スマートフォンのバッテリー問題を知れば、登山中も安心してスマホを使えます

とは言っても、使い方次第では15時間や10時間に縮まることもあるうえに、行動中は足りても帰りの車や電車で電池切れになってしまうのも困ります。今やスマホをお財布代わりに使っている人も多いので、バッテリーが切れたら一大事です。また、万が一遭難したときには、通報するには結構な電力が必要になるので、安全対策のうえでも無駄なバッテリー消費は避けたいものです。

そこで登山でスマホを持っていく際には(もちろん携帯電話でも)必ずモバイルバッテリーを持っていくことを心がけましょう。市販のバッテリーはいろいろな容量のタイプがありますが、だいたい以下のバッテリーを用意できれば十分ではないかと思います。

  • 日帰りで3,000~6,000mAh程度
  • 1~2泊で6,000~10,000mAh程度
  • 3~5泊で1,5000~20,000mAh程度

1日に1,500mAh程度使うとしても、10,000mAhあれば2泊の山行でも余裕が出ると思います。行動終了後にSNSに発信したり、帰りの電車で動画鑑賞をするなどしたりしてバッテリーを大量に使うのなら、その分多く見積もってください。

容量が大きいモバイルバッテリーは当然、重量も大きくなります。荷物を軽くしたいのであればバッテリー消費を抑えましょう。ふだん自分がどのくらいバッテリーを使うかを把握し、必要な分+アルファを持つのが大事です。

これは登山でガスコンロに使うガス缶を、どれだけ用意すればいいのかと同じことですよね!

Column スマホに移るのは“わずか” 60%!?

表示されているモバイルバッテリー容量ほど充電できない気がする、と考えている人は多いと思います。例えば、モバイルバッテリーの容量が10,000mAhだったなら、バッテリー容量2,000mAhのスマホを5回満充電にすることが出来るはずが、実際には3回程度だった、という経験を持っている人もいるのではないでしょうか。

これは、モバイルバッテリーからスマホにエネルギーを移す時に4割程度が変換ロスで失われるためです(熱になるので充電中は暖かくなります)。先の例では、10,000mAhの6割で6,000mAhが実際にスマホに移せる容量となり、6000÷2000で3回となります。

充電回数を知りたいときは、モバイルバッテリーの容量を6掛けしてからスマホのバッテリー容量で割ってください。

 

モバイルバッテリーのよくある失敗に学ぼう

モバイルバッテリーに関してよくある失敗は、こんなところでしょうか。

  • モバイルバッテリー自体を忘れる。
  • 充電忘れ。
  • ケーブル忘れ。
  • ケーブルの断線。
  • 見積もりの甘さによる容量不足。

当たり前のようなことですが、どれもよくあることで、どれか一つでも欠ければ充電できなくなります。必ず出かける前にチェックしてください。もし行動中に充電できないことに気づいた場合、ログの記録をやめるなど、ただちに省エネに舵を切りましょう。

バッテリーはジップロックのような防水パックに入れて、断線対策のため予備ケーブルも用意しておこう

 

見積もりが甘くてモバイルバッテリーが足りなそうなときも、残りの行程を考えて適切に消費量をコントロールしてください。

スマホは電池が切れたらただの「お荷物」です。万が一切れてしまったときのために、スマホだけに頼らずに紙の地図とコンパスを持ち、正しく使えるようにしておくことも大切です。

登山アプリだけに頼らず、紙の地図も用意して、正しく使えるようにしておくことも大切

 

バッテリーを劣化させない方法

スマホのバッテリーは2年も使えば劣化して容量が減ってきますが、使い方次第ではもう少し寿命を伸ばすことも可能です。ぜひ、以下の方法を試してみてください。

  • 充電中は満充電のまま放置しない。日常的には80%程度になったら充電をやめましょう。
  • 高温に弱いので真夏の車内や、冬でも直射日光が当たる場所に放置するのはやめましょう。

高温と満充電での放置はバッテリーの寿命を縮めてしまいます。登山では朝イチで満充電にしておいたほうがいいのですが、日常的には80%程度までに抑えておくのが寿命を伸ばすのによいとされています。

また、満充電や空っぽで長期間放置するのも故障の原因になります。長期間保管するときは残量を50%にして電源を切ってください。

最近、iPhoneにはバッテリーの劣化を確認する機能が付きました。iOS11.3以降なら、本体設定→バッテリー→バッテリーの状態から確認できます。

Androidスマホは「AccuBattery」などのアプリで劣化具合を確認できます。劣化させないように注意すれば3~4年使うことも可能です。

 

 ■まとめ

  • モバイルバッテリーを必ず持ちましょう。変換ロスで実際は容量の6割程度しか充電できません。
  • モバイルバッテリーはケーブルを忘れれば、ただのお荷物。ケーブルなど忘れ物のないように。
  • スマホのバッテリーは、高温や満充電のまま放置することで劣化します。

プロフィール

松本 圭司

アプリ作家、ライター、料理研究家などマルチに活躍する山好き。江戸川区在住。

アプリの代表作「ジオグラフィカ」は多くの登山者に利用され、GPSアプリに関する講演・講習なども行う。

ほか、国土マップR、アルパカナビ、速攻乗換案内、雨かしら?雨時雨などもリリースする。クリーン&ビルド株式会社所属。

山で便利・安心! 登山用アプリ&GPS徹底使いこなし術

かつては高価で手の届かなかったGPS機器は、スマートフォンの普及・登場以来、誰もが使えるものになった――。初心者向けのノウハウから、GPSの裏技まで、登山アプリとスマホGPSを120%使いこなし術を解説します!

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