このエントリーをはてなブックマークに追加

信頼できる「山仲間」を作るには? 山岳会への入会は?

山の疑問・難問、山岳ガイドが答えます!
基礎知識 2018年07月23日
信頼できる「山仲間」がほしい

質問:登山を始めてから、ずっと一人で登り続けてきましたが、単独行の限界や危険性を感じています。今よりも更に距離のある縦走登山、雪山やバリエーションルートにも憧れがあって、最近ではクライミングにも興味があるのですが、一人ではできないことが多くあります。本格的な登山をするには、どうしても信頼できる「山仲間」が必要だと痛感しています。信頼できる「山仲間」は、どう作ったら良いでしょうか。山岳会に入会することも考えています。

 

山仲間を作る選択枠が沢山あった昔

僕が登山を始めた頃は、山仲間を作る方法がたくさんありました。会社や地域には色々なレベルの山岳会があり、中学・高校には必ずと言ってよいほど山岳サークルがありました。大学に入れば、ハイキングをするクラブからヒマラヤ登山を目指すような本格的な山岳部まで、多くの登山サークルが存在しました。「山仲間を作り、登山技術を身につけよう」と考えた時、自分の志向やレベルに合わせた選択肢が沢山あったのです。

現在は、登山者の高齢化の中で、山岳会の衰退は確実に進んでいます。自分の時間を割いて、新しい仲間やパートナーを育てる“古いタイプのヤマヤ”が少なくなったのも、山岳会が減っている原因のひとつでしょう。昔は、全く登山経験のない人が新しく仲間になると、登山用具店に一緒に出掛け、登山靴やザックなどの基本装備の購入に付き合い、山の歩き方、地図の見方、天候の判断、雪上やクライミング技術など、一人前のヤマヤになるまで指導したものでした。

クライミングでは、ロープを結び合いクライマーの安全を確保しながら先へ進む

 

山岳会に入るなら、会に貢献する気持ちを持って!

もちろん今でも山岳会の中には、意識的に“一歩上を目指す”グループはあって、丁寧に探せば、あなたにあった会が見つかるはずです。ただ、山岳会は“無償で山に連れて行ってくれる組織”ではなく、自分も“登山活動を盛り上げ、山岳会に貢献する気持ち”が必要です。

残念なことですが、毎週のように何パーティーもグループを組んで登山をしていた山岳会がパタッと活動を弱めたり、単なる飲み会グループになってしまったりするのをしばしば見かけます。それは、主体的に参加し、山岳会をリードする後継者がいなくなってしまい、活動が続けられなくなってしまったのでしょう。

 

信頼できる山仲間がほしければ、信頼される努力をしよう!

今、よく見かける「山の仲間作り」は、SNSを利用したものです。これも、ある一定のレベルなら有効でしょうが、協働行動である登山パーティーを作り上げるには、僕は無理があると思っています。奥秩父のある山小屋に泊まった時、その夜に、SNSで集まった7人のグループがストーブを囲んで「本名はなんて言うの?」「どこに住んでるの?」とか、話をしているのを聞きました。「この人たち、登山届とか計画書とか、どうしてるんだろう?」とあきれた事がありましたが、小屋の主人に聞いたら、「今、そんなの当たり前だよ」と笑われてしまいました。

グループで登山をすることで、必要装備を全体で計画し、荷物を分担することができる。
特に雪山では、ラッセルなどを交代しながら先へ進めるので仲間の存在はありがたい

 

山の仲間作りは、飲み屋で知り合いを作るのとは訳が違います。時には、疲れ果てて荷物を分け合ったり、ホワイトアウトの雪原で一緒にルートを捜したり、ロープでお互いの安全を確保したり、生死が関わってくることもあります。 信頼できる山仲間を作るためには、きっかけは何にしても、自分も多少の犠牲を払う覚悟が必要でしょう。自分が事故を起こした時に助けに来てほしければ、仲間が遭難した時には会社を辞めてでも救助に行く!くらいの気持ちがほしいものです。

教えてくれた人

山田 哲哉

1954 年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。著書に、登山技術全書「縦走登山」(山と溪谷社)ほか、「奥秩父、山、谷、峠そして人」(東京新聞出版局)など多数。
 ⇒山岳ガイド「風の谷」

同じテーマの記事
正しく使えてる? 雪山でのピッケルの持ち方・活用法
雪山で多様な使い方ができるピッケル、正しく使えていますか? また、もともとは足場切りの道具だったということを知っていましたか? 今回は、ピッケルの役割を改めておさらい。
おすすめは“ペミカン”! 雪山に行くなら知っておきたいごはんの話
気温が氷点下まで下がる雪山では、食べものについても気をつけることがある。今回は、山岳ガイドの山田哲哉氏に、雪山で食べるごはんについて、知っておきたいことやおススメのメニューなどの話を聞いた。
雪山に持っていく水の量は? 雪山での水分補給を考える
雪山登山は、無雪期の登山とは違う知識や技術が必要となることが多くある。では、雪山に持っていく水の量や、現場での水の確保についてはどうだろうか? 山岳ガイドの山田哲哉氏に雪山での水について話を伺った。
世界有数の「雪国」。日本の雪山装備を考える
世界有数の豪雪地帯である日本で本格的な雪山登山をするために、安心の服装を準備する際のポイントを山岳ガイドの山田哲哉氏にアドバイスをもらう。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

明後日

(日本気象協会提供:2019年2月20日 11時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 電池持ちが向上! カシオのスマートウォッチ
電池持ちが向上! カシオのスマートウォッチ カシオ「PROTREK Smart」の最新版が登場! 電池持ちを向上させるモードで2泊3日の登山にも対応。詳しくはこちら...
NEW あなたの意見を大雪山国立公園の運営に!
あなたの意見を大雪山国立公園の運営に! 北海道・大雪山での協力金に関する意識調査アンケートにご協力ください。行ったことのない人も、ぜひご参加を!
NEW 極寒の北横岳で厚手ダウンジャケットを試す
極寒の北横岳で厚手ダウンジャケットを試す 山岳ライター高橋庄太郎さんの「山MONO語り」。体感気温-20℃、ハードシェルを備えたダウンジャケットは果たして…。
NEW 特集 スノーシューで雪山を楽しもう!
特集 スノーシューで雪山を楽しもう! 冬到来、雪の山をスノーシューで楽しんでみては? スノーシュー体験ルポや、エリアガイド、スノーシューツアーも紹介!
NEW 紅葉写真コンテスト結果発表!
紅葉写真コンテスト結果発表! 皆さんから投稿いただいた、紅葉写真コンテスト、いよいよ結果発表! 美しい秋の山の風景をご堪能あれ!
NEW 何度登っても魅力な秩父・奥武蔵の山
何度登っても魅力な秩父・奥武蔵の山 のどかな里山を囲むように山々が連なる、埼玉県南西部・秩父・奥武蔵の山々。冬から春は、とく魅力がタップリ!
梅の香りの漂う早春の山への誘い
梅の香りの漂う早春の山への誘い 寒空にほんのりと漂う梅の花の香りは、五感で春を感じさせてくれる。今こそ梅の香りの漂う山へ――
冬でも歩けるアルプス! 全国のアルプスファンへ
冬でも歩けるアルプス! 全国のアルプスファンへ 日本全国にはその数は50以上あるともいわれる「ご当地アルプス」。本場を彷彿とさせる!?
2019年に登るべき山、大集合!
2019年に登るべき山、大集合! 新元号が始まる2019年、今年はどんな山に登ろうかと計画している人――、標高の山、干支「猪」の山など大集合!
気軽に楽しめるけど、意外と手強い筑波山
気軽に楽しめるけど、意外と手強い筑波山 「東の筑波、西の富士」と称えられる茨城のシンボル、筑波山。春夏秋冬・東西南北、いつでも・どこからでも楽しめる山。
冬だ! 富士山の見える山へ行こう!
冬だ! 富士山の見える山へ行こう! 日本一の山・富士山は、空気の澄んだ冬はとくに美しい。西は和歌山から北は福島まで――、富士山の見える山を目指してみては?
冬季営業の山小屋をご紹介!
冬季営業の山小屋をご紹介! 冬季の山小屋営業情報をピックアップ! 冬山を楽しみたい登山者のみなさま、ぜひご利用ください!