アルプスの登山は標高差や距離が里山よりずっと大きいことを知っておこう。島崎三歩の「山岳通信」 第120号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年8月8日に配信された第120号では、12件の遭難事例を紹介。本格的な夏山シーズンに突入して、北アルプスで遭難事故が集中していることを伝えている。

 

8月8日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第120号では、7月23日~29日に起きた12件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 7月23日、北アルプス槍ヶ岳で、60歳の男性が槍沢を下山中に浮石に乗り転倒、負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 7月23日、北アルプス白馬乗鞍岳で、27歳の女性が白馬乗鞍岳白馬大池付近を下山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 7月24日、北アルプス唐松岳で、13歳の男性が唐松岳へ向けて登山中に体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 7月25日、北アルプス唐松岳で、68歳の男性が唐松岳・八方尾根を下山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 7月26日、北アルプス白馬岳で、77歳の男性が白馬大雪渓の岩室付近を下山中、転倒して右足下腿部骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

白馬大雪渓での遭難事故の現場の様子(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月2日付)
  • 7月26日、北アルプス白馬岳で、68歳の男性が白馬岳へ向けて登山中、白馬大雪渓葱平付近で体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 7月27日、北アルプス奥穂高岳で、79歳の男性が奥穂高岳から下山中、疲労により歩行困難となり行動不能となる山岳遭難が発生。県警山岳遭難救助隊員により救助された。

  • 7月25日、北アルプス蝶ヶ岳で、50歳の女性が山小屋に宿泊中に体調を崩し、27日になっても回復せずに自力下山が困難となったことから、27日に救急要請。県警ヘリで救助された。

  • 7月28日、北アルプス燕岳で、35歳の女性が合戦尾根を下山中に、富士見ベンチ付近で足を滑らせ転倒、右下腿部骨折などの重傷を負う山岳遭難が発生。署員及び遭対協隊員により救助された。

  • 7月28日、北アルプス白馬岳で、63歳の女性が白馬大雪渓のケルン付近を下山中、疲労により歩行困難となる山岳遭難が発生。遭対協隊員及び県警山岳救助隊員により救助された。

  • 7月28日、北アルプス槍ヶ岳で、登山者が倒れているとの通報があり捜索を開始し、30日に県警救助隊員がすでに心肺停止状態にある男性を発見した。県警ヘリで収容したものの、31日に死亡が確認された。遭難者は69歳の男性と判明、男性は北鎌尾根を登山中に何らかの原因により負傷し、行動不能となったものと考えられる。

  • 7月29日、北アルプス白馬岳で、71歳の男性が白馬大雪渓・葱平付近を登山中に、落石により負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月4週は北アルプスで12件の遭難が発生しました。そのうち下山中の転倒が5件、登山中の発病や疲労が5件発生しています。
一般的に北アルプスなどの登山は、標高の低い里山の日帰り登山と比べると標高差や距離などが2倍から3倍の行程なります。このようなコースを余裕を持って安全に踏破するためには、相応の体力と事前準備が必要です。
登山はマラソンなどの持久系スポーツと同じくらい負荷の高い運動です。観光や旅行の延長で山に向かうことのないよう、事前の計画と準備をしっかりと行いましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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