単独登山で行方不明が3件、必ず登山計画書を提出し家族に連絡を。 島崎三歩の「山岳通信」 第123号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年8月31日に配信された第123号では、25件の遭難事例について説明。うち3件が単独登山で行方不明になっていることに言及している。

 

8月31日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第123号では、8月12日~8月19日に起きた25件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月12日、中央アルプス空木岳で、58歳の女性が空木岳に向けて沢登り中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。同行者の58歳の男性とともにビバークしたものの疲労により行動不能となったことから、翌13日にともに県警ヘリにより救助された。

  • 8月13日、北アルプス明神岳で、54歳の男性が明神岳を登山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警山岳救助隊および長野県遭対協夏山常駐隊が救助に向かい、14日に県警ヘリにより救助された。

  • 8月13日、北アルプス唐松岳で、68歳の男性が唐松岳から八方登山口に向けて下山中に転倒・負傷する山岳遭難が発生。大町署山岳救助隊、長野県遭対協夏山常駐隊により救助された。

  • 8月13日、北アルプス白馬乗鞍岳で、58歳の男性が白馬乗鞍岳から栂池登山口に向けて下山中に転倒・負傷する山岳遭難が発生。長野県遭対協夏山常駐隊員、北アルプス遭対協隊員が同行し下山した。

  • 8月13日、北アルプス五竜岳で、65歳の男性が五竜岳から下山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。長野県遭対協夏山常駐隊員が付き添い、山小屋に収容された。

  • 8月13日、北アルプス槍ヶ岳で、44歳の女性が槍ヶ岳に向け北鎌尾根を登山中に滑落・負傷する山岳遭難が発生。翌14日に県警ヘリで救助された。

  • 8月13日、南アルプス奥茶臼山で、単独で入山した68歳の男性が奥茶臼山から下山中に道に迷い自力下山不能になる山岳遭難が発生。行方不明となり捜索中となっている。

  • 8月14日、北アルプス南岳で、75歳の男性が南岳に向け登山中に足をひねり転倒・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月14日、北アルプス前穂高岳で、45歳の男性が奥穂高岳から前穂高岳に向けて縦走中に滑落し、手足を骨折する山岳遭難が発生。県警山岳救助隊、夏山常駐パトロール隊が救助に向い、翌15日に県警ヘリで救助された。

  • 8月14日、北アルプス白馬乗鞍岳で、43歳の女性が白馬乗鞍岳から栂池登山口に向けて下山中に転倒・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月15日、北アルプス餓鬼岳で、19歳の男性が餓鬼岳から燕岳に向けて縦走中に餓鬼岳剣ズリ付近で滑落・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月15日、北アルプス前穂高岳で、59歳の男性が奥穂高岳から前穂高岳へ縦走中に前穂高岳紀美子平付近で滑落し骨盤骨折などの重傷を負う山岳遭難が発生。県警救助隊、夏山常駐パトロール隊が救助に向かい、17日に県警ヘリで救助された。

  • 8月16日、北アルプス前穂高岳で、75歳の男性が奥又白池に向けて登山中に道に迷い行方不明となる山岳遭難が発生。県警山岳救助隊及び夏山常駐パトロール隊が捜索を行い、17日に松高ルンゼ付近で発見され、県警ヘリで救助された。

  • 8月17日、北アルプス常念岳で、73歳の男性が常念岳の登山道で倒れているのを発見され、県警ヘリで救助されたものの死亡が確認された。男性は登山中に何らかの疾患を発症した模様。

  • 8月17日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、66歳の男性が猿倉登山口から白馬鑓ヶ岳へ向けて登山中に、双子岩付近で疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月17日、北アルプス明神岳で、単独で入山した63歳の男性が明神岳から上高地に向けて下山中、明神岳付近にいることを連絡後に行方不明となる山岳遭難が発生。県警が捜索を行っている。

  • 8月17日、北アルプス前穂高岳で、49歳の女性が前穂高岳から岳沢に向けて下山中に足を滑らせて滑落し、顔などに軽傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月18日、浅間連峰鋸岳で、60歳の男性が鋸岳から火山館に向けて下山中に滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助されたものの、収容先の病院で死亡が確認された。

  • 8月18日、北アルプス北穂高岳で、単独で入山した56歳の男性が南岳から北穂高岳に向けて縦走中、疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月18日、下伊那郡大鹿村鬼面山で、70歳の女性が鬼面山から下山中に滑落する山岳遭難が発生。警察及び消防で捜索したところ、心肺停止状態の女性を発見した。19日、県警ヘリで救助されたものの、死亡が確認された。

  • 8月18日、北アルプス常念岳で、常念岳から常念小屋に向けて下山中に転倒し足を負傷する山岳遭難が発生。翌19日に県警ヘリで救助された。

  • 8月19日、北アルプス北穂高岳で、66歳の男性が北穂高岳から涸沢に向けて下山中に滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助されたものの、収容先の病院で死亡が確認された。

  • 8月19日、上田市菅平高原四阿山で、53歳の女性が四阿山から根子岳に向けて縦走中に転倒して足を負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月19日、下高井郡山ノ内町夜間瀬で、単独で雑魚川に渓流釣りに向かった39歳の男性が道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。捜索中の警察及び志賀高原地区山岳救助隊により発見され救助された。

  • 8月19日、南アルプスで、8月12日から単独で入山した58歳の男性が登山中に行方不明のままとなっている。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

8月3週は25件の山岳遭難が発生し、うち死亡が4件、行方不明が3件、負傷が12件、無事救助が6件でした。

行方不明は3件とも単独登山です。単独の場合、万が一の際に、救助要請ができないリスクがあることに留意するとともに、必ず登山計画書を作成、提出し、家族や同僚などにも渡しておいてください。

また、下山時における滑落事故も多発していますので、登山計画をもう一度見直し、体力に見合った登山を心掛けてください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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