このエントリーをはてなブックマークに追加

秋田県・秣岳、岩手県・南本内岳――。混雑を少しだけ避けて東北の美しい紅葉を探す山旅へ

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2018年09月26日

山が最も彩られる季節、秋。赤・オレンジ・黄色など、さまざまな色に山肌は彩られる。山の秋は短く、紅葉の見頃は1~2週間。その短い適期に一挙に人が押し寄せるので、「名所」と呼ばれる場所は混み合う。混雑を避けながらも最高の紅葉を楽しめる場所を、週刊ヤマケイから紹介する。

 

紅葉シーズンを目前に控え、紅葉狩り登山の計画を立てている読者も多いと思う。北アルプスの涸沢など、有名な紅葉スポットに注目の目が集まるが、人気の紅葉スポットはその分混雑が予想される。静かな山を訪れたい人にとっては、この時期の登山は少し閉口してしまうかもしれない。

しかし、有名な紅葉スポットから、ほんの少し視線をずらすだけで、有名な紅葉スポットに勝るとも劣らない景色を楽しめ、かつ静かで落ち着いた山旅ができる場合もある。

そんなとっておきの紅葉スポットを、週刊ヤマケイからピックアップして紹介する。

 

「日本一の紅葉」の栗駒山に隣接する秣岳

天狗平の西側から見た栗駒山の紅葉(写真=曽根田 卓)


秋田県・宮城県・岩手県の三県にまたがる栗駒山。近年、栗駒山の紅葉は秋のお彼岸のころに見ごろを迎えます。紅葉期の栗駒山は、日本一の紅葉とも称される絶景を見に多くの登山者が訪れます。登山道の細い場所ではすれ違いのために渋滞することも多く、時間に余裕を持った行動が必要です。

南側の小岩峰から見た秣岳(写真=曽根田 卓)


そのすぐ西隣にある秣岳(まぐさだけ)は栗駒岳の喧騒から離れることができます。2017年9月24日は、須川温泉を起点に、栗駒山の西側に位置する秣(まぐさ)岳を周回するルートを歩いてきました。

秣岳への道は天馬尾根コースともいわれ、天狗平から先は栗駒山本峰のメインルートから外れるので、静かな山歩きが楽しめます。登山道の一部は泥濘の場所がありますが、秣岳周辺はしろがね湿原が広がり、灌木の紅葉と湿原の草紅葉が一度に楽しめます。

展望岩頭から秣岳を望む(写真=曽根田 卓)


下山後は車道歩きになりますが、途中にあるシラタマノキ湿原やイワカガミ湿原に立ち寄るのもよいでしょう。

「栗駒のモン・サン・ミッシェル」と称される、しろがね湿原(写真=曽根田 卓)


このときは紅葉は山頂付近が見ごろですが、須川温泉付近まで紅葉前線が降りてくる2週間後まで紅葉狩りが楽しめます。

須川温泉から天馬尾根コースを通り秣岳を周回するコース ⇒詳細地図はこちら

 

灌木の紅葉が見事な焼石連峰の寂峰、南本内岳

岩手県の南部、秋田県鏡にほど近い位置に連なる焼石連峰。花の百名山や二百名山にも数えられ、美しいお花畑の広がる山としても、紅葉が美しい山としても知られる山です。

草紅葉が美しいお花畑の湿原(写真=曽根田 卓)


その焼石連峰のいちばん北側に位置するのが南本内岳(みなみほんないだけ)です。この山に西和賀町側から登る場合、約10kmもある未舗装の林道走行を余儀なくされるため、登山者が極端に少なく、山の奥深さと相まって、ほとんど誰にも会わない貸し切りの登山が楽しめます。

尾根コースから南本内岳を見上げる(写真=曽根田 卓)


ブナの原生林を抜けると、お花畑と称する湿原が現れます。夏場は様々な高山植物が咲き乱れる別天地です。しかし南本内岳を訪れるベストシーズンは秋の紅葉期です。お花畑から尾根コースの周回路は灌木地帯となっていて、焼石連峰でも有数の紅葉が見られるスポットとなっています。

南本内川源頭の色鮮やかな紅葉(写真=曽根田 卓)


この山に訪れた2017年10月1日は、午前中は霧雨が降るあいにくの天気でしたが、お昼過ぎから一気に晴れ間が広がり、南本内岳一帯に広がる紅葉の錦絵を堪能できました。

>尾根コースから色鮮やかな西側の紅葉を望む(写真=曽根田 卓)


北東北の紅葉は次第にブナ帯の黄葉へ移り変わっていきます。高山の雪の便りもまもなく聞けるでしょう。

西和賀町側から南本内岳を登るコース ⇒詳細地図はこちら
記録・ルポ
教えてくれた人

曽根田 卓

1958年仙台市生まれ。山岳写真集団仙台所属。東北の静かな山をこよなく愛している。共著に『分県登山ガイド3 宮城県の山』、「季節の山歩き」(山と渓谷社)のガイド記事執筆。『山と高原地図 栗駒・焼石』(昭文社)の調査執筆担当。
⇒ (続)東北の山遊び 

週刊ヤマケイ

旬の登山情報、山に関するさまざまなエトセトラをタイムリーに、そしてスピーディーにお届けするサービス。
メールアドレスを登録するだけで、毎週木曜日にあなたのPC、スマホに最新山岳情報をお届け !もちろん購読は無料。
 ⇒詳細・購読希望はこちら!

同じテーマの記事
初冬の鈴鹿・鈴北岳、御池岳をのんびりテント泊山行。霧氷で化粧した早朝の山頂を満喫する
霧が発生した朝に気温が氷点下まで下がると、落葉した枝に付いた水滴は凍りつき、「霧氷」という神秘的な風景を見せてくれる。三重県・滋賀県県境にそびえる鈴北岳・御池岳、初冬の早朝には美しい霧氷を体験できるかもしれない。
陽だまりハイクと遅い紅葉を鎌倉アルプスで楽しむ。相模湾、富士山の眺望と史跡巡りも満喫
寒さが一段と厳しくなる時期、陽だまりを受けた遅い紅葉を味わいながら、風情豊かな史跡散策を兼ねたハイキングをするのはいかがだろうか? 晴れた鎌倉アルプスの尾根を歩けば、眼下に秋色の市街と、その先に富士山や相模湾を望める。
室生山地最高峰の倶留尊山で晩秋を堪能、枯野にススキの穂が輝く曽爾高原、池ノ平の絶景
緑の草原だった場所は、すっかり枯野となってしまうが、この枯野が広がる風景もまた趣がある。三重県と奈良県の県境にそびえる倶留尊山は、ススキの穂が黄金色に輝き、晩秋の風情が楽しめる。
加治丘陵(入間市)――、心地良い里山、ユニークな童話の世界、紅葉並木を駅から駅までハイキング
日中の太陽の光は弱く・短い晩秋、長時間の行動となる登山はなかなか難しい時期に差し掛かる。そんなときはアクセスの良い、近郊の山に行くのがおすすめ。西武池袋線の駅から駅まで歩け、遅い紅葉も楽しめる加治丘陵はいかがだろうか。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇のち雨
明後日

雨のち曇
(日本気象協会提供:2018年12月10日 11時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 特集 スノーシューで雪山を楽しもう!
特集 スノーシューで雪山を楽しもう! 冬到来、雪の山をスノーシューで楽しんでみては? スノーシュー体験ルポや、エリアガイド、スノーシューツアーも紹介!
NEW 丹沢・大山方面の登山計画に! 【登山地図掲載】
丹沢・大山方面の登山計画に! 【登山地図掲載】 丹沢・大山方面への登山を安全にできるよう、コースマップ、アクセス情報&バス時刻表、山小屋一覧を掲載!
ひざの悩みにメディカルサポーター
ひざの悩みにメディカルサポーター 薄く、フィットして、ズレにくい。高機能な「フェイタス(R)メディカルサポーター」の秘密とは?
NEW 細部まで凝った作りのシュラフを、十勝岳で試す
細部まで凝った作りのシュラフを、十勝岳で試す 連載「高橋庄太郎の山MONO語り」。北海道・十勝岳で、凝った作りの寝袋、ニーモの「ラムジー15」をチェック!
NEW 年末年始は山小屋で過ごしませんか?
年末年始は山小屋で過ごしませんか? 冬季・年末年始の山小屋営業情報をピックアップ! 年末年始を年越しで過ごしたい登山者のみなさま、ぜひご活用ください!
NEW 2017年の年越しを山小屋で過ごしました
2017年の年越しを山小屋で過ごしました ライターの小野泰子さんが山小屋の年越しイベントを初体験! 年末年始の赤岳鉱泉と行者小屋の模様をレポートしました。
平成最後の紅葉シーズン、最終盤へ――
平成最後の紅葉シーズン、最終盤へ―― 紅葉シーズンは残り僅か。秋を堪能した人は、その美しい山の情景を紅葉写真コンテストにご応募ください!
JR青梅線の駅から行く奥多摩エリアの山
JR青梅線の駅から行く奥多摩エリアの山 都心と奥多摩を結ぶJR青梅線に乗って駅を降りれば、そこはもう登山口、駅から登って駅から帰れる、魅力たっぷりの山を紹介!
気軽に楽しめるけど、意外と手強い筑波山
気軽に楽しめるけど、意外と手強い筑波山 「東の筑波、西の富士」と称えられる茨城のシンボル、筑波山。春夏秋冬・東西南北、いつでも・どこからでも楽しめる山。
初詣では、安全登山を山で祈願しよう!
初詣では、安全登山を山で祈願しよう! 初登山と初詣を一緒にしてしまうゼ! 山の頂上や山腹にある有名な初詣スポットを教えます!
雪山の学び場、八ヶ岳へ
雪山の学び場、八ヶ岳へ バラエティに富んだコース、アルペンムード漂う山々、そして営業小屋。雪山を学ぶなら八ヶ岳がオススメだ。
冬だ! 富士山の見える山へ行こう!
冬だ! 富士山の見える山へ行こう! 日本一の山・富士山は、空気の澄んだ冬はとくに美しい。西は和歌山から北は福島まで――、富士山の見える山を目指してみては?