このエントリーをはてなブックマークに追加

アルプス山脈トレッキングの穴場!? 7つ氷河湖と白い山肌が美しいスロベニア・トリグラウ国立公園を歩く:トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」(8)

トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」
ガイド・記録 2018年10月25日

旅と組み合わせて気軽に楽しめる世界のトレイルを紹介する連載「世界のトレイルを巡る旅」。トレッキングをテーマに300日間で世界一周旅行をした山野夫婦が、訪れた五大陸50超のトレイルからおすすめの場所を振り返る。第8回目は、山と湖が美しい中央ヨーロッパの国スロベニアが舞台。緑豊かな牧草地、美しい氷河湖のさらに向こうに、石灰岩の白い山肌を持つトリグラウ山がそびえ立つ。三つの頂を持つこの山は国旗にも描かれたスロベニアの象徴。様々な表情が楽しめるトリグラウ国立公園でのトレッキングの様子をお伝えする。

 

不思議な色に輝く、いくつもの湖

2016年7月8日(世界一周87日目)

旧ユーゴスラビア連邦のひとつだったスロベニアは、バルカン半島北西端に位置する。この国のシンボルであるトリグラウ山は、イタリアから続くユリアンアルプスの最高峰で、ここを中心に広がるトリグラウ国立公園には、いくつもの登山道と山小屋が整備されている。

今回僕らはこのトリグラウ国立公園を二泊三日で歩く。スロベニア有数のレイクリゾート、ブレッド湖のさらに奥、ボーヒン湖が今回のトレッキングのスタート地点だ。

アルプスの瞳と称されるブレッド湖


ボーヒン湖西岸からしばらくは緩やかな林道だが、途中から本格的な登山道に。標高差500mぐらいの、遠くから見るとほとんど壁のようなところをジグザグに登っていく。

厳しい登りを越えた先、周りを高い岩山に囲まれて外界から遮断されたような場所に湖があった。「黒い湖」と名付けられ、その静けさがどこか神秘的に見えた。

山の中にひっそりと佇む黒い湖


そこからさらに先、苔むしたトレイルや、花畑の広がるトレイルを越えていく。やがてセブンレイクと呼ばれるエリアへ。U字谷が広がる穏やかなエリアで、その名の通りいくつもの湖が点在している。トリグラウ国立公園の見どころのひとつともいうべき、歩くのが楽しくなるトレイルだった。

今日の目的地は湖のほとりにあるトリグラウセブンレイク小屋。可愛らしい小屋と温かいスロベニア料理が僕らを迎えてくれた。

今日の目的地セブンレイク小屋

 

荒涼とした白の世界に現れた動物

2016年7月9日(世界一周88日目)

朝は風がなく、湖面は鏡のように周りの景色を静かに写し込み、ただ湖の色だけが、光の差し込み具合で様々な表情に変化していた。

セブンレイクを越えると、徐々に登りに変わる。標高とともに草花の緑と石灰岩の白のバランスが反転し、遂には雪が一面に積もったような白の世界へと変化していった。

森林限界を超えると石灰岩の世界へ


突然、「ピャーッ」という甲高い口笛のような鳴き声が聞こえ、周りを見渡すと、岩の上に1匹のアイベックスが姿を現した。間近に見せつけられた、その反り返る立派な二本の角と岩山を駆けるたくましい脚が、なんとも格好よく見惚れてしまった。

甲高い鳴き声で仲間に僕らの存在を伝えていたのだろうか


しばらく進み、峠を越える。雲がなければここから最高峰のトリグラウが見えるはずだが、今日は残念ながら厚い雲に覆われ眺望はない。

峠の向こうの急峻な下りを行くとドリッチ小屋だ。ここから最高峰のトリグラウに登る人も多く、本格的な岩登りの装備をした登山者が多く見られた。

僕らはトリグラウ山頂方面には進まず、そのままさらに下り、ヴォドニコウドム小屋へ。ここも快適で居心地のよい場所だった。

ヴォドニコウドム小屋近くは緑が美しい場所だった

 

顔を出した三つの頂

2016年7月10日(世界一周89日目)

三日目は快晴で、昨日は雲がかかって見えなかったトリグラウが綺麗に顔を出している。スロベニアの国旗にも描かれている三つの頂も確認できる。カメラの望遠レンズからは、隣の小トリグラウの岩壁に列をなして登る登山者や、小トリグラウからトリグラウまでの岩稜を進む登山者が見えた。

トリグラウは、スロベニア人なら一生に一度は登るべき山と言われているらしいが、難易度は高い。ヘルメットやハーネス、ザイルを使って登るような岩稜に挑戦しなければならない。富士山に登るのではなく、北アルプスの岩稜を歩く感じだ。ようやく見ることができたトリグラウに挨拶をし、僕らは下山を開始した。

雲ひとつない青空の下、トリグラウがくっきりと見えた


樹林帯や草原地帯を4時間ほど下ってようやく広い牧草地にたどり着く。ここまで来ると家族連れのハイキング客も増え、にぎやかになる。最後はモストニツァ峡谷を抜けてゴール。バスが来るまでアイスを食べて三日間のトレッキングのゴールを祝った。

気持ち良い草原を抜けていく

 

物価は控えめながらアルプス山脈のトレッキングを満喫できるトレイル

スロベニアのトリグラウ国立公園は、アルプス山脈の一部であるユリアンアルプスに位置し、牧草地、湖、岩場と、変化に富む景観を楽しめるトレイルでした。道は目印があり、山小屋も整備されていることから、距離は長いものの比較的歩きやすいトレイルだと思います。

観光客が訪れるような場所では英語はほぼ通じ、バス、電車なども利用しやすく、それでいて物価は他のアルプス山脈の国々に比べると控えめ。隣接する他国からのアクセスも良いのでオーストリアやイタリア、またクロアチアの旅行と組み合わせて、アルプス山脈トレッキングを楽しむのにオススメの場所のひとつです。

スロベニア・トリグラウ国立公園でのトレッキングに関する準備やアクセス、ルート、気候や装備については、トレイルトラベラーズのブログにもまとめていますので、よろしければご覧ください。

スロベニア料理のソーセージとザワークラウト

 

教えてくれた人

Trail Travelers 山野尚大・優子

山と旅の愛好家。経営コンサルタントとして平日の激務と休日の山ごもりを両立させる日々から、結婚を機に心機一転、夫婦で絶景トレイルを巡る世界一周の旅に出発。2016年4月からの300日間で、五大陸の50超のトレイルを歩く。「Trail Travelers(トレイルトラベラーズ)」を立ち上げ、旅行と組み合わせたトレッキングの楽しみ方を発信中。
【ブログ】
http://trailtravelers.net/
【Facebook】
https://www.facebook.com/trailtravelers/
【Instagram】
https://www.instagram.com/trailtravelers/

同じテーマの記事
南半球のトレッキング天国ニュージーランド:トレイルトラベラーズ 「世界のトレイルを巡る旅」(18)
旅と組み合わせて気軽に楽しめる世界のトレイルを紹介する連載「世界のトレイルを巡る旅」。トレッキングをテーマに300日間で世界一周旅行をした山野夫婦が、訪れた五大陸50超のトレイルからおすすめの場所を振り返る。第18回目は、ニュージーランド。ニュージーランド最高峰のマウントクックを望むミューラーハットルート、山岳風景と苔生すブナ林が美しいルートバーン・グリーンストーントラック、マオリ族の聖地トンガリロ・ノーザンサーキットを歩いた様子をお伝えする
嵐の大地パタゴニア:トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」(17)
旅と組み合わせて気軽に楽しめる世界のトレイルを紹介する連載「世界のトレイルを巡る旅」。トレッキングをテーマに300日間で世界一周旅行をした山野夫婦が、訪れた五大陸50超のトレイルからおすすめの場所を振り返る。第17回目は、嵐の大地とも言われる南米大陸南端の地パタゴニア。アルゼンチン側では難攻不落の尖塔セロトーレ、クライマー憧れの山フィッツロイを巡り、チリ側ではトーレス・デル・パイネ国立公園内を巡ったトレッキングの様子をお伝えする。
アンデスの分水嶺:トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」(16)
「世界のトレイルを巡る旅」の第16回目は、南米ペルー、アンデスの核心部とも言えるブランカ山群サンタクルス谷。5000m級、6000m級の山々がひしめくアンデス山脈の天井が望める場所を3泊4日で歩いた様子をお伝えする。
アフリカの大自然トレイルを歩く:トレイルトラベラーズ「世界のトレイルを巡る旅」(15)
「世界のトレイルを巡る旅」第15回目はアフリカのトレイルを紹介。赤土の大地と緑のオアシスのモロッコ・トドラ渓谷、草原で覆われた南アフリカ・ジャイアンツカップトレイル、天空に浮かぶ王国レソト・サニパスを歩いた様子をお伝えする。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇時々晴
明後日

(日本気象協会提供:2019年6月19日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW C3fitから「風が抜けるサポートタイツ」登場!
C3fitから「風が抜けるサポートタイツ」登場! メッシュパネルが生み出す通気性を、高橋庄太郎さんがフィールドテスト。暑い季節もサポートタイツを使いたい方、必見!
NEW ココヘリ。遭難者を探し出す捜索ヘリサービス
ココヘリ。遭難者を探し出す捜索ヘリサービス 「会員制捜索ヘリサービス“ココヘリ”」。発信される電波で位置を特定、万が一、登山者が動けなくても探し出せる!
NEW 飛騨から登る北アルプスフォトコンテスト開催!
飛騨から登る北アルプスフォトコンテスト開催! 今年も開催! 飛騨から登る北アルプスフォトコンテスト。小林千穂さんを審査員に迎え賞品も豪華に! 投稿お待ちしています!
NEW 花の盛期に訪れた森吉山。北秋田の魅力を紹介
花の盛期に訪れた森吉山。北秋田の魅力を紹介 秋田県にある花の名山・森吉山。最盛期を迎えた山上のお花畑と山麓の豊かな森。マタギ文化にも触れた2泊3日の山旅を掲載!
NEW グレゴリー「ズール」&「ジェイド」の快適性を背負って実感
グレゴリー「ズール」&「ジェイド」の快適性を背負って実感 モニターレポート第4弾は「フリーフロート・サスペンション」によって、歩きやすく荷物が軽く感じたという、ばななちゃんのレポ...
高山植物の女王・コマクサに会える山へ
高山植物の女王・コマクサに会える山へ ほかの植物が生息できないような砂礫地で、孤高に、可憐な姿を見せるコマクサ。殺風景な風景に力強く咲く「女王」を見られる山へ...
NEW サロモンから独創的なバックパック登場!
サロモンから独創的なバックパック登場! あなたの登山をより軽快にするバックパックシリーズ「OUT」の特徴をチェック!
尾瀬の自然に会いに行こう!「尾瀬ナビ」公開
尾瀬の自然に会いに行こう!「尾瀬ナビ」公開 のんびり湿原散策に爽快な山登り…。尾瀬のシーズンが始まります。尾瀬をもっと楽しめるキャンペーンもご紹介。
梅雨時期こそ登りたい、登るべき山
梅雨時期こそ登りたい、登るべき山 雨降りの中で登山をするのは、やはりオススメできないが、梅雨時の今こそ登りたい山はたくさんある!
NEW コンパクトに収納! ドリッパー&クッカーセット
コンパクトに収納! ドリッパー&クッカーセット 連載「高橋庄太郎の山MONO語り」。わずか285gの「チタンドリッパー&クッカーセット」を使い、山で本格コーヒーを味わう...
レンゲツツジが山肌を彩る季節です
レンゲツツジが山肌を彩る季節です 初夏の時期、山肌を朱色に染めるレンゲツツジ。例年は6月下旬がピークだが、今年は今が最盛期。行くなら今でしょ!
夏山に向けて登山ボディになろう!
夏山に向けて登山ボディになろう! 夏山シーズン目前、今からでも間に合います。身体のリセット・メンテナンスの面から登山のトレーニングを指南。登山のための身体...