チャンスを逃すと次はいつ登れるかわからない? 前掛山と日本百名山・浅間山の秋に会いに行こう

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群馬県と長野県の境にある日本百名山のひとつ、浅間山。2018年8月に噴火警戒レベルが引き下げられ、前掛山まで登山ができるようになったのは、記憶に新しい。今回は、地域の自然、文化などの魅力創出・発信に取り組んでいる「こもろ観光局」に、浅間山のおススメコースと秋の魅力を教えてもらった。

 

浅間山は、古くより霊山として登拝されてきた標高2,568mの活火山です。火口のある本峰の“釜山”と第二外輪山の“前掛山”、第一外輪山の“黒斑山”からなる三重式の成層火山で、火山活動レベルに応じた入山規制が行われています。

2018年8月末に、火口から500mを超える範囲に影響を及ぼす噴火の可能性は低くなったと噴火警戒レベルが“1”に下げられ、3年2ヶ月ぶりに噴火口が間近で望める第二外輪山の“前掛山”までの登頂が可能になりました。

ただ、この先またいつ火山活動が活発になり、登山可能な範囲が規制されるのかわかりません。ぜひ、この秋に浅間山を訪れてみてください。

 

首都圏から日帰りも可能ながら、迫力の火山景観と霊山の霊性を満喫

浅間山へは、長野県小諸市にある2つの登山口(車坂峠、天狗温泉浅間山荘)から登ることができます。いずれの登山口も、首都圏から車で約2時間半、軽井沢駅から約1時間、小諸駅(JR小海線、しなの鉄道)から約30分とアクセスしやすく、首都圏から日帰りでの登山も可能です。古来の霊山としての霊性や、浅間山の本峰とその外輪山が織りなす迫力ある火山景観を堪能することができます。

前掛山の裾野に広がる湯の平・賽の河原では、秋のカラマツの黄葉が美しい

 

前掛山までのおススメ2コース。「火山館コース」と「浅間山外輪山周遊コース」

火山館コース
天狗温泉浅間山荘を登山口とする「火山館コース」は往復約6時間半で、前掛山まで楽しむことができます。道々には、鳥居や修練の滝、霊神碑、石道標などがあり、古くからの山岳信仰の対象としての浅間山を感じることもできるオトナのコースです。

「火山館コース」では登山道のいたるところで浅間山の霊性を感じることができる

 

山の歴史を感じさせる苔むした登山道の石道標

 

山荘の横にある浅間神社の鳥居をくぐってしばらく進むと、蛇掘川沿いに広葉樹林の紅葉が続きます。一ノ鳥居をくぐると、道は二手に別れ、右にはそれぞれ不動明王と大日大聖不動明王が祀られている上下二段の滝を抜けるコース、左は尾根沿いを進むコースとなっています。

この2つのコースは二ノ鳥居で合流し、長坂と呼ばれる九十九折の急坂へと続きます。この坂を抜けると、「カモシカ平」という開放的で明るい山岳風景が現れ、迫力ある浅間山の第一外輪山を見上げることができます。その名の通り、カモシカ平周辺では、天然記念物のニホンカモシカを見ることができる機会の多いところ。しばし歩みを止めて、目を凝らしてみてください。

カモシカ平周辺から見上げる迫力の浅間山第一外輪山

 

浅間山麓周辺には多くのニホンカモシカが生息している

じきに、鉄分の沈着により赤く染まった蛇堀川の源頭部が現れます。周辺の硫黄の匂いに、火山を感じるでしょう。ほどなくして火山館に到着します。ここでは、トイレが使用でき、水の補給も可能です。

赤い川と硫黄の匂いは活きた山を感じさせる

 

巻火山館コース:約6時間30分

天狗温泉浅間山荘・・・(1時間55分)・・・火山館・・・(5分)・・・湯の平分岐・・・(20分)・・・賽の河原分岐・・・(1時間30分)・・・前掛山・・・(1時間)・・・賽の河原分岐・・・(15分)・・・湯の平分岐・・・(5分)・・・火山館・・・(1時間30分)・・・天狗温泉浅間山荘

⇒詳細地図はこちら

 

浅間山外輪山周遊コース
車坂峠(高峰高原ホテル前)を登山口として、トーミの頭から、黒斑山、蛇骨岳、仙人岳、鋸岳と浅間山の第一外輪山を縦走し、Jバンドを経由して賽の河原から前掛山へと登る「浅間山外輪山周遊コース」は、日本とは思えない壮麗な絶景を満喫できることで人気のコースです。縦走の際には、尾根上に溶岩破片や白ゾレがあるため、絶景を楽しみつつ、足元にも注意して進んでください。

鋸岳から見上げる浅間山本峰「釜山」と前掛山

 

Jバンドを下る先に広がるのは賽の河原・湯の平周辺の黄金のカラマツ林

 

外輪山周遊コース:約8時間30分

車坂峠・・・(1時間50分)・・・トーミの頭・・・(20分)・・・黒斑山・・・(30分)・・・蛇骨岳・・・(20分)・・・仙人岳・・・(20分)・・・鋸岳・・・(50分)・・・Jバンド・・・(45分)・・・賽の河原分岐・・・(1時間30分)・・・前掛山・・・(1時間)・・・賽の河原分岐・・・(15分)・・・湯の平分岐・・・(5分)・・・火山館・・・(1時間30分)・・・天狗温泉浅間山荘

⇒詳細地図はこちら

 

黄金のカラマツ林を抜けて、いよいよ前掛山へ

火山館コースは、火山館から「湯の平分岐」と「賽の河原分岐」を経て、外輪山周遊コースはJバンドを下り、「賽の河原分岐」を経て、いよいよ前掛山へと足を踏み入れます。

湯の平および賽の河原周辺は、前掛山と浅間山の第一外輪山を目の前に望むことができる迫力のスポットであるばかりでなく、秋にはカラマツの黄葉であたり一面が黄金に染まることで知られています。黄葉の見ごろは、毎年10月半ばから11月上旬です。

湯の平と賽の河原周辺では黄金のカラマツ林と浅間山の第一外輪山を望むことができる

賽の河原分岐を過ぎたあたりからは森林限界となり、いよいよ砂礫の前掛山山腹の急登を登っていくことになります。道は滑りやすく、小石が靴に入りやすいので、ストックとスパッツの使用をおススメします。天気がよければ、北アルプス、中央アルプス、八ヶ岳の奥に南アルプスも望むことができます。

森林限界の先には、砂礫の急登が続く前掛山

 

これまで大きく見えた第一外輪山も眼下に小さくなっていく

約一時間で、2つの蒲鉾型シェルターのある分岐点に到着します。わずかな草だけが生えた荒涼とした砂と岩の大地は、異世界を思わせます。シェルター右手には前掛山の山頂へと至る浅間山の第二火口壁が続き、左手は浅間本峰の釜山に続く道となりますが、現在は立ち入り禁止となっています。

異世界を思わせる砂と岩の景色

平坦でサクサクとした火山灰土の稜線を20分ほど進めば、いよいよ前掛山の頂上です。天気が良ければ、小諸市街地、富士山や中部山岳が見渡せますが、何よりも、あとわずかというところまで迫る浅間山本峰の「釜山」からの大地のエネルギーを感じてください。きっと生涯忘れられない体験となるでしょう。

前掛山の山頂。背後には本峰「釜山」が至近距離で迫る

 

■外輪山周遊コースに便利な「小諸めぐりツアーバス」土日祝日に運行(2018年11月25日まで)

浅間山の周遊登山をしたい! そんなお客さまのたくさんのリクエストに応えて、天狗温泉浅間山荘と高峰高原ホテル間を結ぶ周遊バスが期間限定で運行中。

代金:1,500円(1名様・税込)
小諸観光交流館(小諸駅より徒歩1分)14:00発⇒天狗温泉浅間山荘14:30着/発⇒高峰高原ホテル15:05着/発⇒天狗温泉浅間山荘15:25着/15:30発⇒高峰高原ホテル16:05着/発⇒天狗温泉浅間山荘16:25着/16:30発⇒高峰高原ホテル17:05着/発⇒小諸観光交流館(小諸駅より徒歩1分)17:40着
⇒小諸めぐりツアーバス 詳細

 

■前掛山登頂の記念に(一社)こもろ観光局発行「浅間山登頂証明書」

こもろ観光局では、前掛山まで登頂した方に「浅間山登頂証明書」を発行している。

一通1,000円(送料120円別)。氏名、登頂日、送付先住所、連絡用電話番号と、前掛山の山頂にあるポールと一緒に撮った写真(横長)をasama@komoro-tour.jpまで送付のこと。
⇒浅間山登頂証明書 詳細

 

プロフィール

一般社団法人 こもろ観光局

古くより噴煙あげる浅間山と清流千曲川に生み出された地勢、そしてそこに暮らす人びとの営みとによって歴史が紡がれてきたまち、信州小諸。歴史や魅力を子や孫の世代まで存続させ、「住みたい 行きたい 帰ってきたいまち 小諸」を創る取り組みをしています。

⇒一般社団法人 こもろ観光局

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