降水確率0%でも雨に降られ、100%でも雨が降らない。知っておきたい降水確率の話

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

登山の予定が決まったら必ずチェックする天気予報。なかでも降水確率は、当日の持ち物を決めるだけではなく、山に行けるか、また、コースや時間の調整が必要かどうか、山行計画を大きく左右する要素となる。今回は、意外と知られていない“降水確率”の定義について話を伺った。

 

山へ行く際、非常に気になることのひとつに、雨があると思います。気象庁では、1980年から降水確率を発表するようになり、雨が降るかどうかの目安に利用されるようになりました。

気象庁のホームページから引用すると、降水確率の定義は次のような内容です。

a) 予報区内で一定の時間内に降水量にして1mm以上の雨または雪の降る確率(%)の平均値で、0、10、20、…、100%で表現する(この間は四捨五入する)。

b) 降水確率30%とは、30%という予報が100回発表されたとき、その内のおよそ30回は1mm以上の降水があるという意味であり、降水量を予報するものではない。

 

そもそも、降水確率0%でも雨に降られ、100%でも雨が降らない

例えば、私が住んでいる神奈川県厚木市の降水確率を知りたいとき、気象庁ホームページの「天気予報」から神奈川県西部を見ます。今日が8日だとした場合、明日9日の降水確率を見てみると、6時から12時の間は10%となっています。この10%が意味するのは、同じような大気の状態が過去100回あったとしたら、そのうち10回は、1mm以上の雨か雪が降ったという意味になります。

横浜地方気象台発表の天気予報 2018年10月8日5時(気象庁HPより)

 

ただ、この予報で注意が必要なのは、降水確率0%のケースです。四捨五入されて10%刻みになるので、降水確率が4%だとしても0%と発表されます。ということは、0%だからといって雨が降らないということではないことです。

また、降水確率が95%だとしても100%と発表されるので、0%でも雨が降り、100%でも雨が降らないということになるのです。

 

降水確率は、降水量ではない

また、勘違いしやすいのは雨量と降水確率との関連性についてです。100%とあると大雨が降るイメージがある人もいるかもしれませんが、それは違います。9日6時から12時の間に、神奈川県西部のどこかで雨が降るかどうかの確率なので、雨の降る時間や量、広さを示しているわけではありません。降水確率が10%だから小雨で、100%だから大雨ということでもありません。

 

降水確率0%で、身体が濡れる程度の雨が降っていても、予報通り!?

もうひとつ注視したいことは、「1mm以上の雨か雪」の定義です。実際、どの程度の雨が1mm以上なのでしょうか?

一概にいえないので説明が難しいのですが、街で降水量1mmの雨の場合、“傘をさす人とささない人がいる”、降水量2mmになると“多くの人が傘をさしている”状況とイメージするとわかりやすいでしょう。

例えば、霧雨の場合は1時間に1mm以上にならないこともありますので、そもそも雨マークになりません。ただ、霧雨でも1時間も降られれば、身体はしっかり濡れてしまいます。この場合、気持ち的には天気予報では0%なのに、雨に降られて“天気予報が外れた”と思ってしまいますが、事実としては“天気予報が当たった”ということになるでしょう。

降水確率の意味を正しく理解して、登山計画に上手に活用してください。そして登山当日、予想していた天気と違っても一喜一憂しないようにしたいところです。

プロフィール

上村博道

気象予報士の資格をもつ登山ガイド。安全登山の指導を行っている。 国内では北海道・積雪期日高山脈全山縦走、積雪期知床半島縦走など積雪期の長期山行を行う。海外では、エベレスト8848m、デナリ 6194m、アコンカグア6960mに登頂。
⇒BLOG:ヒロい自然の中で・・・

歩きにすと倶楽部

山岳ガイドの太田昭彦が主宰する会員制の登山教室。30代から70代の会員の方が観音参りなどのウォーキング、高尾山のハイキングから日本アルプスまでの山歩きを自分の体力や経験に応じて楽しんでいる。
http://www.alkinistclub.com/

太田昭彦部長の「大人のワンゲル部」―リーダーとしての力を身につけよう―

登山初心者や、すでに山登りをしているが登山についての基本的な知識を学ぶ機会のない方を対象に、自分の力で安心して山登りが出来るようになって欲しいとの願いを込めて、登山の知識や技術を学ぶ“大人のワンゲル部”を創部しました。メンバーは部長に太田昭彦。コーチに上村博道&絵美という経験豊富な登山ガイドです。この機会にあなたも知識を身に付け、ぜひ自立した登山者の仲間入りをして頂ければ幸いです。(部長・太田昭彦)

編集部おすすめ記事