もし初めて雪山にトライするとなった場合、「初心者向けの山」を探して行くことになる。しかし、雪山の場合は夏山での難易度と同じように山の格付けをできるとは限らない。雪山の難易度を決める要素は、以下の4つの要素が考えられる。
太陽に照らされて輝く白銀の斜面――、
深く積もった雪原に自分のトレースを残す感触――、
はるか彼方の山々まで見渡せる澄んだ空気――、
夏山とは異なる絶景と達成感を味わえる、それが雪山の魅力だ。しかし、雪山は多くの魅力をもつ一方で大きなリスクを有する。一つの判断ミスが命とりとなる、夏山以上にシビアな世界だ。そこで今回は、なにが雪山の難度を左右するのか、その要素を紹介しよう。
上記の4つが、雪山の難度を左右する要素となる。それぞれについて簡潔に説明していこう。
コンディションとは、天気や風の強さ、気温、湿度、雪質などの状態のこと。直前に大雪が降ったり、強風が予想される日は難度が高まるのは当然だ。
ほかにも、日本海側の気候の影響を受ける山域は湿った雪質、太平洋側の気候の影響を受ける山域は乾いた雪質となることが多いなど、エリアや標高などによる雪質の違いでも難度は大きく異なる。湿雪はウェアにまとわりつき、ウェアが濡れることで低体温症につながる場合もある。
これは夏山でも同様のことが言えるが、険しい岩場や急斜面の続くルートは、高度な歩行技術が求められる。特に雪山では登山靴に12本爪アイゼンを装着するため、雪面ではアイゼンが雪に刺さって歩きやすいが、岩場はかえって不安定になり歩行が難しくなる。
こういった岩と雪のミックス帯を含むコースは充分な積雪登山の経験が必要となるので注意しよう。
入山者が多ければ多いほど、雪山としての難度は易しくなる。多くの登山者が歩くことで、雪面は踏み固められるため、歩きやすくなる。また、トレースも明瞭になるのでルートファインディングが不要になる。
スキー場が登山口となっている場合、スキー場のウェブサイトから現地の積雪情報や危険箇所を事前に得たり、登山記録の投稿サイトから直近の積雪情報などを確認したりすることで、雪山のコンディションを把握できる。
無雪期には登山者が多い山でも、ウェブサイトで積雪期の情報入手が難しい場合や、登山記録の投稿がそもそも少ないコースなどはコンディションが把握できないため難度が上がる。
ヤマケイオンライン「みんなの登山記録」やヤマレコなどのインターネット情報を使えば、直近の登山者の記録や、前年の同時期の記録などを簡単に確認できる場合もある。また、ヤマケイオンラインでは、冬季も営業する山小屋などから現地最新情報を掲載しているので参考にしてほしい。
以上が雪山の難度を決める4つの要素だ。では、自分に合った雪山はどこか。雪山の初級・中級・上級はどうやって判断すればよいのか。詳しくは、『山と溪谷』12月号を参照してほしい。
特集「雪山登山ルート50選」は、全国の雪山ラバーのためのベストルート集になっている。前述した難度を示す要素の詳細解説のほか、12本爪アイゼンやピッケルといった専用装備がなくても楽しめる初級者向きの雪山、積雪登山装備はもちろんのこと、ロープワークやアイスクライミング技術がなければ登れない超上級者向きの山まで紹介。
雪山登山の基本知識と技術をしっかり身につけて、冬季も安全に山を楽しもう!
山と溪谷編集部
20年前までは否定されてきた単独行はもはや時代の主流である。しかし遭難で窮地に陥る危険は単独行が圧倒的に高い。
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