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雪山の難度を左右する4大要素に注目! リスクを把握して、冬季登山を安全に楽しもう

From 山と溪谷編集部
基礎知識 2018年12月03日

もし初めて雪山にトライするとなった場合、「初心者向けの山」を探して行くことになる。しかし、雪山の場合は夏山での難易度と同じように山の格付けをできるとは限らない。雪山の難易度を決める要素は、以下の4つの要素が考えられる。

 

積雪期にだけ楽しめる絶景や魅力がある!

太陽に照らされて輝く白銀の斜面――、
深く積もった雪原に自分のトレースを残す感触――、
はるか彼方の山々まで見渡せる澄んだ空気――、

夏山とは異なる絶景と達成感を味わえる、それが雪山の魅力だ。しかし、雪山は多くの魅力をもつ一方で大きなリスクを有する。一つの判断ミスが命とりとなる、夏山以上にシビアな世界だ。そこで今回は、なにが雪山の難度を左右するのか、その要素を紹介しよう。

 

雪山の難度の要素は全部で4つ!

  1. コンディション
  2. 岩場や急斜面の規模
  3. 入山者数
  4. 情報量

上記の4つが、雪山の難度を左右する要素となる。それぞれについて簡潔に説明していこう。

 

コンディションって?

コンディションとは、天気や風の強さ、気温、湿度、雪質などの状態のこと。直前に大雪が降ったり、強風が予想される日は難度が高まるのは当然だ。

ほかにも、日本海側の気候の影響を受ける山域は湿った雪質、太平洋側の気候の影響を受ける山域は乾いた雪質となることが多いなど、エリアや標高などによる雪質の違いでも難度は大きく異なる。湿雪はウェアにまとわりつき、ウェアが濡れることで低体温症につながる場合もある。

前夜、多くの雪が降った奥秩父・金峰山の稜線。雪山入門として人気の山も、直前に大雪が降るとトレースが消えたり、天候状況によっては歩行困難に陥ったりというリスクがある

新雪直後の谷川岳・トマの耳。積雪が多いため、東面に雪庇が発達し、無雪期とは異なる様相となる

 

岩場や急斜面の規模とは?

これは夏山でも同様のことが言えるが、険しい岩場や急斜面の続くルートは、高度な歩行技術が求められる。特に雪山では登山靴に12本爪アイゼンを装着するため、雪面ではアイゼンが雪に刺さって歩きやすいが、岩場はかえって不安定になり歩行が難しくなる。

こういった岩と雪のミックス帯を含むコースは充分な積雪登山の経験が必要となるので注意しよう。

八ヶ岳・赤岳の文三郎道上部。山頂直下は岩と雪のミックス帯となる

群馬・上州武尊山。スキー場のリフトを利用できるため、積雪期も入山者は多いが、一歩のミスで滑落につながるような急斜面やナイフリッジもある

 

入山者数が多いとどうなるの?

入山者が多ければ多いほど、雪山としての難度は易しくなる。多くの登山者が歩くことで、雪面は踏み固められるため、歩きやすくなる。また、トレースも明瞭になるのでルートファインディングが不要になる。

上越・谷川岳。晴れた日には登山者が数珠つなぎに斜面を登っていく姿が見られる。天気がよく、雪面が安定しているときは雪山初心者でも登れる山だ

 

情報量ってどんなもの?

スキー場が登山口となっている場合、スキー場のウェブサイトから現地の積雪情報や危険箇所を事前に得たり、登山記録の投稿サイトから直近の積雪情報などを確認したりすることで、雪山のコンディションを把握できる。

無雪期には登山者が多い山でも、ウェブサイトで積雪期の情報入手が難しい場合や、登山記録の投稿がそもそも少ないコースなどはコンディションが把握できないため難度が上がる。

ヤマケイオンライン「みんなの登山記録」やヤマレコなどのインターネット情報を使えば、直近の登山者の記録や、前年の同時期の記録などを簡単に確認できる場合もある。また、ヤマケイオンラインでは、冬季も営業する山小屋などから現地最新情報を掲載しているので参考にしてほしい。

インターネットの情報も、雪のコンディションを知るうえで役立てることもできる

 

以上が雪山の難度を決める4つの要素だ。では、自分に合った雪山はどこか。雪山の初級・中級・上級はどうやって判断すればよいのか。詳しくは、『山と溪谷』12月号を参照してほしい。

特集「雪山登山ルート50選」は、全国の雪山ラバーのためのベストルート集になっている。前述した難度を示す要素の詳細解説のほか、12本爪アイゼンやピッケルといった専用装備がなくても楽しめる初級者向きの雪山、積雪登山装備はもちろんのこと、ロープワークやアイスクライミング技術がなければ登れない超上級者向きの山まで紹介。

雪山登山の基本知識と技術をしっかり身につけて、冬季も安全に山を楽しもう!

 

教えてくれた人

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2020年4月号の特集は「キーワードで知る 山の自然学入門」。なぜこんな美しい形の山が生まれたのだろう。高山植物がそこにしか育たない理由はなんだろう。山域によって森の雰囲気が違うのはなぜだろう。
山の自然の成立の裏側がわかると、山は2倍楽しくなる。
キーワードを手掛かりに、地形・地質から動植物、人の暮らしなど、豊かな山の自然を知る特集です。

⇒ 『山と溪谷』最新号はこちら

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