おすすめは“ペミカン”! 雪山に行くなら知っておきたいごはんの話

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雪山ごはん

質問:雪山で食べる山ごはんは、夏山と違いますか? お弁当でおにぎりを持っていこうと予定していましたが、夏山でも冷えてしまって固くて食べられなかった経験を思い出しました。もしかして、雪山におにぎりを持っていくと凍ってしまいますか? 雪山で食べるごはんについて知りたいです。

 

雪山では、水分を含む食材に注意

本格的な雪山登山では、昼食を、いわゆる“山ごはん”風にどっかりと座って食事を味わう余裕は、案外ないのではないでしょうか。それぞれに食べやすいよう一日ごとにパックした行動食を、寒さと風と雪の中、休憩の度に少しずつ食べているのが現実です。僕の場合はジップロックのMサイズに一日分の「かきの種の小袋」「クリーム付クッキー」「ゼリー」「塩羊羹の小パック」などを詰めて休憩中に食べています。

少し余裕のある穏やかな雪山登山の場合は、おにぎりやサンドイッチなども食べますが、“おにぎり”は、いったん凍結するとご飯粒同士がお互いにくっつくことをやめてしまい、手に持っただけでポロポロとくずれて食べるのも一苦労、味も美味しくありません。水分を含んだ食べ物は凍結することを頭に入れて準備すると良いでしょう。

カレーパンのように、中に具材の入ったパンも寒い時にはコチコチに凍ります。少し凍ったパンくらい、「雪山って、こんなに寒いんだ!」と笑いながら食べるくらいの豪胆さも雪山には必要かもしれません。

 

雪山ごはんのおすすめは“ペミカン”

テント泊や自炊の山小屋泊を予定している場合は、食材が凍結することを頭に入れて準備します。白菜やキャベツは凍りついて透きとおり、キュウリはコチコチの棒になってしまい食べられません。

古くから伝わる雪山ごはんの定番として“ペミカン”を作ってみてはいかがでしょうか? 

ペミカンとは、肉、タマネギ、ニンジン、ジャガイモなどを中華鍋で徹底的に炒めて、少し冷ましてからジプロックに入れて冷凍庫で冷やして固めた保存食です。かつてはラードで炒めるのが主流でしたが、しつこすぎるので、バターを使うと好評です。

山田さんお手製のペミカン。冷凍庫から取り出したばかりでカチコチに凍っている

これをお湯の中に入れて、カレールーやスープの素で味付けすれば、カレーやシチューはあっという間に出来上がり、味噌を入れれば豚汁の完成です。フリーズドライ食品に比べて美味しく、満足感も高く、食材のままで持つよりもコンパクトで軽量です。ぜひ、試してほしい“雪山ごはん”です。

沸騰したお湯の中にペミカンを投入。バターで固めているので、雪山ではまだ塊の状態

火が通っているので、具材が崩れればほぼ完成。今回は高野豆腐を加えた豚汁に

 

プロフィール

山田 哲哉

1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。 著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
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