冬山は危険と隣り合わせ、危機感を持って慎重な行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第140号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年2月26日に配信された第140号では、冬山は危険と隣り合わせであることに言及、注意喚起を呼びかけている。

 

2月26日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第140号では、2月9日~17日に起きた12件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月9日、中央アルプス宝剣岳で、47歳の男性が宝剣岳へ登山中、足を滑らせ滑落する山岳遭難が発生。木曽・駒ヶ根警察署員及び中央アルプス地区遭対協救助隊員が救助に向かい、10日に県警ヘリが救助したものの、死亡が確認された。

     

中央アルプス宝剣岳の遭難多発現場(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)2月22日付)
 
  • 2月10日、北アルプス焼岳で、単独で入山した28歳の男性が技量不足のため体調不良となり行動不能となる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリにより救助された。

  • 2月10日、中央アルプス仙涯嶺で、44歳の女性が仙涯嶺付近を登山中、足を踏み外し滑落する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助されたものの、死亡が確認された。

  • 2月10日、中央アルプス宝剣岳で、単独で入山した43歳の男性が宝剣岳から千畳敷方面へ下山中、バランスを崩し滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は、駒ヶ根署員、木曽署員及び中央アルプス地区山岳遭対協救助隊員により救助された。

  • 2月10日、中央アルプス宝剣岳で、59歳の女性が宝剣岳へ登山中、足を滑らせ滑落する山岳遭難が発生。女性は山梨県警ヘリで救助されたものの、死亡が確認された。

  • 2月11日、八ヶ岳連峰南沢で、単独で入山した30歳の男性が南沢付近を登山中、何らかの原因で負傷する山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊、諏訪地区山岳遭対協隊員が救助した。

  • 2月13日、野沢温泉村水尾山で、単独でバックカントリースキーをしていた30歳の男性が、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。飯山警察署員、志賀高原地区遭対協野沢温泉班隊員が男性を救助した。

  • 2月14日、北アルプス八方尾根で、56歳の男性が八方尾根スキー場からコース外に出てバックカントリースキーで滑走中に、行動不能となる山岳遭難が発生。男性はスキーパトロール隊員、北アルプス北部地区遭対協救助隊により救助された。

  • 2月14日、北アルプス小谷村稗田山のスキー場付近で、28歳の男性がバックカントリースキーをしていたところ所在不明となる山岳遭難が発生。スキーパトロール隊が男性を発見したものの心肺停止の状態で、翌15日に死亡が確認された。男性はバックカントリースキー中に雪崩に巻き込まれた模様。

  • 2月17日、南佐久郡南牧村で、52歳の男性が湯川氷柱付近でアイスクライミング中に転落して負傷する山岳遭難が発生。男性は県防災ヘリで救助された。

  • 2月17日、八ヶ岳連峰硫黄岳で、単独で入山した61歳の男性が硫黄岳山頂から下山中に、ジョウゴ沢左股付近において道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

八ヶ岳連峰硫黄岳での遭難現場(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)2月22日付)
 
  • 2月17日、野沢温泉スキー場付近で、男性48歳、女性42歳、女性18歳の3名が、スキー滑走中にスキー場のコースから外れて山林内に迷い込み行動不能となる山岳遭難が発生。飯山警察署員及び志賀高原地区遭対協野沢温泉班員が3人を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

2月2週は、6件の遭難が発生して、その内4件が中央アルプスで発生し、3名の方が滑落によりなくなっています。3週は、6件の遭難が発生して、その内1名がバックカントリースキー中、雪崩に巻き込まれ亡くなっています。

圧雪されていない斜面を滑るバックカントリースキーは、常に雪崩の危険と隣り合わせです。また、常に現在地を確認しないと道に迷います。危険が伴うスポーツですので、バックカントリースキー(スノーボード)コースを熟知した者と行動することが最低限必要です。

アイスクライミング中での転落事故も後を絶ちません。地形や人工物を利用して、素早く確実な支点を構築する技術や様々な状況下でも安全に登りきる技術など、高度な技量が必要です。万が一を考えて危機感を持って、慎重な行動をしてください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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