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冬山特有の遭難多発、トラブルに対応できる訓練を! 島崎三歩の「山岳通信」 第141号・142号

島崎三歩の「山岳通信」
その他 2019年03月12日

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年3月8日に配信された第141・142号では、冬山特有の遭難事象が多発していることに触れ、体力・技術に見合った登山を呼びかけている。

 

3月8日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第141・142号では、2月19日~3月2日に起きた13件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

 

  • 2月19日、北アルプス乗鞍岳で、47歳の男性が乗鞍岳・位ヶ原から下山中にアイゼンをひっかけて転倒・滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は、県警山岳遭難救助隊、北アルプス南部地区遭対協救助隊員により救助された。

  • 2月22日、中央アルプス中岳で、41歳の男性が木曽駒ヶ岳から千畳敷に向けて下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

木曽駒ヶ岳の滑落負傷山岳遭難の現場の様子 (長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)2月27日付)

  • 2月23日、八ヶ岳連峰南沢で、48歳の男性が南沢を登山中に発病し、体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 2月23日、八ヶ岳連峰南沢小滝で、67歳の男性がアイスクライミング中に滑落し、負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 2月24日、北アルプス乗鞍岳で、単独で入山した54歳の男性が、乗鞍岳から下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は、県警ヘリで救助された。

  • 2月24日、北アルプス唐松岳で、52歳の男性が唐松岳から下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は、県警ヘリで救助された。

  • 2月25日、北アルプス乗鞍岳で、単独で入山した34歳の男性が乗鞍岳・剣ヶ峰から下山中に、アイスバーンで滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

北アルプス乗鞍岳の滑落現場の様子 (長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月6日付)

  • 2月25日、中央アルプス木曽駒ヶ岳で、単独で入山した45歳の男性が木曽駒ヶ岳から下山中にアイゼンを引っ掛けて転倒し、負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

  • 2月25日、北アルプス唐松岳で、43歳の男性が八方尾根をスノーボードで滑走中に滑落して行動不能となる山岳遭難が発生。大町署山岳遭難救助隊員、北アルプス北部地区遭対協救助隊員が男性を救助した。

  • 2月26日、北アルプス乗鞍岳で、42歳の男性が乗鞍岳・剣ヶ峰から下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 3月2日、志賀高原旭山で、単独で入山していた44歳の男性が下山しないとの通報があり、中野警察署・山岳安全対策課及び志賀高原地区遭対協隊員で捜索中に、男性は無事自力で下山した。男性は旭山付近で道に迷っていた。

  • 3月2日、北アルプス乗鞍岳で、50歳の男性が乗鞍岳でバックカントリースキー中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

北アルプス乗鞍岳の滑落現場の様子 (長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月6日付)

  • 3月2日、北アルプス稗田山で、バックカントリースノーボードをしていた37歳の女性が、崖から転落して負傷する山岳遭難が発生。付近のスキー場パトロール隊員が救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

2月4週は、6件の遭難が発生しています。アイスクライミング中での転落事故が後を絶ちません。地形や人工物を利用して、素早く確実な支点を構築する技術や様々な状況下でも安全に登りきる技術など、高度な技量が必要です。万が一を考えて危機感を持って、慎重な行動をしてください。
また、下山中において、疲労による集中力の欠如、アイゼンのひっかけ等による滑落事故も多発しています。雪山の技術に、雪上に腰を降ろして斜面を滑り降りる「シリセード」という技術がありますが、例年「シリセード」中の事故が散見されます。特にアイゼンを装着したままシリセードを行い、アイゼンをひっかけて負傷する事案が見受けられます。
シリセードは雪の状況をよく判断して、必ずアイゼンを外し、停止する技術を身につけてから行ってください。自分の体力・技術に見合った登山計画を立ててください。

2月5週は、7件の遭難が発生しています。アイスバーンでの滑落、アイゼンのひっかけによる遭難が多発しています。3月に入り、日中は暖かい日もありますが、標高の高い山域では氷点下になります。雪上でのアイゼンを装着した歩行訓練を事前に行ってから入山しましょう。
また、バックカントリー滑走中による遭難も後を絶ちません。バックカントリーでの滑走は、雪崩、立木への衝突、道迷い等危険の高いスポーツです。樹林帯ではヘリコプターでの救助が困難であり、地上から救助に向かわなければならず、相当の時間を要します。自分たちでトラブルに対応できるよう、セルフレスキューやビバーク訓練を行ってから入山しましょう。

 

バックカントリー 危機管理 遭難・事件
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